記録破りの今年の夏でした。クーラーとかいう文明の力を借りて、部屋の中で過ごすことが多く、どうにか熱中症にも罹らず、立秋も知らぬ間に過ぎ去っておりました。20日を迎え、今年の夏を一寸振り返ってみました。「打ち水」とか「縁台」はとっくの昔に頭の中から消え去っております。まして、昔日の真夏の風物詩であった「風鈴」なんてものはどの家からもその姿を消して見ることすらできません。「それが現代だ」と、簡単にも割り切ることも80歳の年寄りにはできません。
どうしたことか訳もあるわけではありませんが、8月の20日になって、明け方、ふと、私の頭の中に、その風鈴という言葉が出てきたのです。
「ああ、今年はすっかり忘れていた」
と、早速、机の引き出しを探しました。何時であったかははっきりと覚えていないのですが何処かで買ったことがある南部鉄製の風鈴が、2つ、角の方に隠れるように置いてありました。10日の菊ではないのですが、遅まきながらに窓辺に吊るしました。生憎、今は風のありません。その短冊が小憎らしそうに、だらりと吊り下がっております。
風鈴の 音聞こえぬぞ 涼風よ そよろとでも来 吾窓辺には
窓辺にも 風鈴下げて、待ちし風 どこ吹く風と そよろともなし
またまた駄歌を、お笑いくだし
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