私の町吉備津

岡山市吉備津に住んでいます。何にやかにやと・・・

御子は、更に・・・

2020-03-23 10:01:10 | 日記
 大兄の襲来に備えて宇遅能和紀郎子<ウヂノワキイラツコ>は謀を設えます。
 「偽の皇子を高い台の上に座らせてその周りに多くの役人を配して、さも、皇子に額ずくような動作をさせて、そこにあたかも皇子がいるように思わせます。
 更に、兄王が宇遅河の岸辺に来られた時のために、はではでしく飾り付けた舟を止めて、ご丁寧にその船の舵を飾り立てます。そしてその上に今度は
 「サネカズラの根を臼で搗いて、その滑りやすい部分を船の中の
                      “箐椅<スバシ>”
 (宣長は「竹などを簀<ス>に編んで、そこらあたりに敷いて船の中をあちらこちらに行きかう時に使った敷物」だとしております。)
に塗り付けておいたのです。敵が船に乗り込んできた時、何も知らずにその簀子を踏むと滑って転ぶようにしておいたのです。

 このように準備をしておいて、その上で、「和紀郎子」は粗末な布衣に褌一丁といういで立ちで舟の楫の傍に立っていました。