ちびたの日常

のんびり息子と猫たち&イギリス人ハニスケと

叩くと言うことの続き

2013-02-12 | 家族のお話
昨日、母が私に「なんで私の孫に手を出すのかと言いたかったけど・・・」という話しになった。

その話しをしているときに私のばあちゃんのことを思い出した。


ばあちゃんがまだ呆ける前、私に親戚のおばちゃん達夫婦の話をしてくれた。


二人は仲がいいときもあるけれど、喧嘩をすると激しくて病弱で育って人一倍小柄だったおばちゃんのことをおじちゃんはよく叩いた。


ばあちゃんもじいちゃんも見ていないときが多かったようで、おばちゃんはよく知らないうちにアザを作っていた。


子供達にはそんなに手を挙げていたようには見えないけど、とにかくおばちゃんは叩かれていた。


そんなおばちゃんが叩かれるところをひいばあちゃんが偶然見てしまった。


ひいばあちゃんはおばちゃんよりもっと小さくて、歯が一本しかない南の島から引っ越してきたのんびりと優しい人だった。


90歳にもなろうかというひいばあちゃんは、孫のおばちゃんの顔を今にも殴ろうと手を振り上げたおじちゃんに必死で笑いながら優しく
「けいちゃんは体がよえでねえ。こめしねえ。そんげたたかんじおっくいやんなあ・・・」
(けいちゃんは体が弱いからね。小さいしね。そんなに叩かないでおくれ・・・)


と深々と頭を下げてお願いをした。

姑のその姿を見てばあちゃんは涙が流れたと言った。孫を守るために孫ほど離れた男に頭を下げてお願いをしたひいばあちゃんのことをばあちゃんはなんとも言えない気持ちだったようだ。

人の子供に手を挙げるという心の葛藤は本当に簡単なことじゃないはずだ。軽々しく出せないはずだ。

心が泣いている。手を挙げなければならない自分に泣けてくる。だから伝えたいことが伝わるんだ。


気に入らないことがあったからとすぐに手を出していたおじちゃんは、おばちゃんを殴らなかった。


小さな小さな年寄りが、孫を守るためにどんな思いで頭を下げたか。それくらいしかできなかったのかもしれないけれど、それが精一杯のことだった。


ばあちゃんは私に言った。

「じいちゃんだってどっかで喧嘩して怒って帰って来てもお前が笑えば抱き上げてもう笑っていたんだよ。そんなお前を誰かが傷つけたら簡単には許しはせんやろね。お前もいつかわかる。」そういわれた。


そして昨日母が息子が描いた小さい頃の絵を眺めながら「たったこれだけの切れっ端でも捨てはならん。あの子が気に入らないからとかくだらんことで手を挙げられていたりしたらお前がなんごちうちげん孫を叩かんないかんとかって乗り込んでいくやろね」


お母さんはあのときのひいばあちゃんと同じなんだろう。


力を使うということの重さを私は先祖から受け継いでいるんだと思う。

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