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48 尿は体液ではありません

2006年06月03日 06時54分56秒 | 根拠なき体質説

 汗や涙、鼻水などと同様、尿も「人体から出てくる液体なんだから、体液の一種である」。そう思い込んでいる方が少なくないのではないでしょうか。もしかして、あなたも?
 岩波書店『広辞苑』(第5版)には、「【体液】動物体内の脈管または組織・細胞の間を満たすすべての液体の総称。血液・リンパ液・脳脊髄液など」と書かれていて、汗や尿など体外に出てきた液体まで体液に含めるとは書いていません。ほかの国語辞典も似たりよったりで、明記されてはいないものの、体内から体外に出てくる液体は体液でなく、体内の液体だけを体液と呼ぶことになっているようです。
 手元の百科事典や医学専門書の記述をまとめてみますと、体液とは「人体を構成する60兆個の細胞内に充ちている細胞内液と、細胞へ栄養分や酸素を運び込み、老廃物を運び去る機能を有する細胞外液(血液・リンパ液・組織液など)との総称」という定義が正しいように思われます。
 聞きなれない「組織液」とは何なのか。『岩波生物学辞典』(第3版)には、「細胞間にあり細胞の環境となっている液体成分。細胞に栄養を供給し、細胞からの排出物をうけとる。毛細血管から血漿が生理的に濾出したもので、大部分はリンパ管に入ってリンパ液となり、ふたたび血管系にもどる。組織液の病的に増加した状態を浮腫または水腫という」、と書いてあります。
 この説明で組織液は尿と関係ないことがわかりました。血液やリンパ液が尿と同種の液体でないことぐらい、誰でも知っています。したがって、腎臓で作られ、尿路を通って膀胱に溜まった尿は、体外へ排出されるものであるからして絶対に体液と呼ばれるものではないはずです。
 でも、それなら涙(pH7.2~7.5)や唾液(pH5.6~7.6)、胃液(pH1.0~1.5)、膵液(pH8.0~8.5)、胆汁(pH6.5~7.9)、腸液(pH7.7)、精液(pH8.1~8.4)などは体液と呼ばないの?
 「レイプ被害者の衣服に犯人の体液が付着していた」などとテレビドラマで刑事役が言ったとき、その体液が血液か唾液か、なんて思い迷う視聴者は一人もいないのではないかしら。
 体液という言葉について、世間一般に通用している概念はかなりあやふやなようです。が、これ以上あまり深く追求しないで先へ進ませていただきます。
(Dr.中島健次著「出てますか?弱酸性尿」の第1章「尿について、ちょっとだけ勉強しておきましょう」p15~16から一部修正して転載)