ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

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違憲審査権を発動させる参議院審議の無効を最高裁に提訴せよ!

2015-09-19 02:18:03 | 政治を志すものとして


参議院平和安全法制特別委員会
法案反対委員 各位

拝啓 秋冷の候 皆様には、日本の平和主義、民主主義、立憲政治を守るために、大変、ご尽力を頂いておりますことに、心から敬意と感謝を申し上げます。

■委員外委員の委員会介入と記録されていない再開宣言

さて、福山哲郎委員(民主党)の安保法制に対する反対討論は、分かり易かったと思います。なるほど、あの参議院平和安全法制特別委員会の採決行為は、委員長をドーム状に取り巻いた議員たちは、委員外委員だったのですね。委員会室には委員外委員が傍聴の為、着席すべき席があり、会議規則が厳しく定められているはずで、委員会エリアには踏み込むことなどできないルールになっているはずです。
委員外委員の排除を行うべき特別委員長がその職責も果たさず、議事進行すべき自らの発言が傍聴者にも、国会中継を見ていた国民にも理解できないような状況で、与党委員だけが自席についたまま、訳も分からずに佐藤委員の合図で起立を繰り返したあの光景は、到底、正常な委員会運営ではありませんでした。
さらに、採決行為に入る前に委員会開会の宣言がなされておらず、その時刻も不明だったとのことです。「プレイボールのコールがないままに、採決が行えるはずがない。」との福山委員の指摘は的を射ています。もちろん、数の力によって一方的に決められた言論封殺も民主主義の本旨を踏みにじる行為であり、委員会審議そのものに違憲性を感じます。

■最高裁判所の違憲立法審査権を機能させるためのご提案

このような参議院の審議が憲法違反であるという訴訟を、是非とも安保法制反対議員全員で最高裁に提訴して頂きたいと思います。憲法には、最高裁判所の違憲立法審査権について、次のように規定されています。
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。— 日本国憲法第6章第81条
しかし、我が国の三権分立をきちんと機能させるためには、実は最高裁判所が、もしくは地方裁判所が、いかに違憲立法を審査し、憲法に照らして法律の無効を決定するかといった手続きが何ら決められていません。法律自体が抽象的な理由で憲法に違反していることを証明することのできる抽象的違憲審査制は日本では採用されておらず、最高裁は単独で法律自体の違憲性を審査することができません。

つまり残念ながら、日本における違憲立法審査権は、いわゆる付随的違憲審査制といって、抽象的違憲審査制のように、法律自体が違憲であることを審査できず、具体的な訴訟事件の形でのみ、最高裁判所は違憲審査権を発動させることができるわけです。

■アメリカが始める対イスラム国の戦争に自衛隊が参戦する前に

具体的に、来年のアメリカ大統領選挙の後に、例えば新しいアメリカ合衆国大統領が、大統領権限の発動によって、イスラム国に空爆や掃討作戦を実行する時に、今回の安保法制によって、日本の自衛隊は前線のアメリカ軍の兵站を務めるために、自衛官に対して、中東派兵の命令を下すことになるでしょう。その時に、自衛官自身がその命令は違憲であるから、従わない、もしくは命令に従わないことによって、人事上の不利益を負えば、その自衛官が裁判所に提訴することはできる可能性はあります。
しかし、そのような事態になった時には、日本の自衛隊員たちは既にアメリカが始める中東戦争に巻き込まれていることになります。もしも、自衛隊がそのような対イスラム国の戦いに参戦すれば、東京の地下鉄はイスラム国によるテロのターゲットとなり、私たちは地下鉄にさえ、安心して乗れなくなります。さらに、数多く存在する中東地域の日本人学校がイスラム国兵士によって占拠され、後藤健二さんが殺された時のように、大きなナイフが日本人の子どもたちに向けられてしまってからでは遅いわけです。

従って、参議院平和安全法制特別委員会の法案反対議員は、自分たちの議員としての言論封殺をされ、職責を果たすことすら妨害されたことを法的に整理して、今回の法案審議が憲法上無効であることを最高裁判所に提訴することで、安保法制の廃法(廃案)を勝ち取るべきです。論点はシンプルです。皆様が憲法によって与えられた国会議員としての職権と権利が侵害されたのです。今回の国会手続きが憲法違反なのです。
また、その訴訟が結審するまで、法律の効力を無効とする仮処分を勝ち取って頂きますよう、宜しくお願い申し上げます。

敬具

瀬戸健一郎(せとけん)
Kenichiro Seto (Setoken)


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1 コメント

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阿修羅掲示板に転載させていただきました。 (戦争とはこういう物)
2015-09-19 10:01:42
 福山議員質疑についての解説が解りやすかったので、阿修羅掲示板に転載させていただきました。
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