ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

政治生活30年の経験と学識を活かし、ポリティカルセオリストの視点から政治の今を語ります。気軽にコメントして下さいね!

安保関連法案を認めるな!~立憲政治と平和主義を守るために。

2015-09-01 00:27:12 | 政治を志すものとして
※日本の政治史の一大転機に!~安保法案反対を訴える国会周辺に集まった12万人の一般国民 2015.8.30


■本物の愛国心、本物の誇り。

倍晋三内閣は国民ではなく、アメリカを見ている。思えば、日本の武装解除がGHQの統治目的であったために、世界情勢の見通しにも現実にも縛られずに描いた憲法が日本国憲法である。戦争のない世界を、ただその理想と理念だけで描いたからこそ、1週間でドラフトできたのだ。

これを「押し付け憲法」だと断じ、War Guilt Information Programによって、日本人が「洗脳された」と主張し、戦後70年の日本史を「自虐史」だと主張することは、私から見ると正に自虐的である。

■平和主義と戦力の放棄~日本国民の厳然たる意志

憲法がGHQの都合によってドラフトされたというのが事実であったにせよ、日本国の歴史教育が日本人の精神的武装解除のためであったというのが事実であったにせよ、日本国憲法に織り込まれた「平和主義」と「戦力の放棄」は厳然と日本国民によって支持されてきたというのが事実ではないか!

■日本国の物理的武装解除と日本国民の精神的武装解除

私が憂うのは、米国の都合に踊らされる戦後政治史の愚かさの方だ。確かに平和憲法は米国が日本を物理的、精神的に武装解除するためのものであり、東京裁判もその後の戦後教育と日本国内の情報統制において、日本人に戦争に対する日本軍部の戦争犯罪とそのことに対する罪責感を日本国民に植え付けるための演出の舞台であったのは事実だ。

■日本の戦後70年は、占領70年だった

しかし、その後、朝鮮戦争が始まるとまた、米国の都合で警察予備隊を組織し、自衛隊が出来、中東戦争に自衛隊の支援を取り付ける必要に迫られた米国の都合から、PKO活動が始まり、ついに、対テロ戦争に対応する米国の都合と米国の軍事費削減、しかし米国の軍産複合体の売り上げの一部はしっかりと日本に押し付け、確保するために、今回の安保関連法案の一括強行採決という仕掛けが動き出したわけだ。

砂川判決が自衛権の行使容認のバイブルであるかのように語り継がれるが、そもそも「あらゆる武力の行使、すなわち戦力はこれを永久に放棄する」のであれば、自衛のための戦力も日本国憲法は禁止しているのだ。

※日本国憲法第9条 1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
※つまり、自衛のための戦争だって条文では「認められていない」というのが正しい条文意思説による憲法解釈なのだから、アメリカが始めた朝鮮戦争という事情から、憲法を議論することなく警察予備隊を作った時点で、日本国の立憲主義の揺らぎは既に始まっていたのだと私は考えています。


これでは日本の戦後70年はつまり、米国による占領70年だと断じて過言ではない。日本国も日本国民ももっと毅然と平和憲法を掲げて米国にノーと言えるようにならなければ、本物の独立は遠いだろう。

■十字軍の歴史に日本を巻き込むな!~対テロ戦争の真実

しかも、対テロ戦争と言えば、テロを仕掛けた側が一方的に悪い。たしかにそのような側面は事実であるが同時に、米国が巻き込まれている対テロ戦争とは実は、十字軍の歴史に遡る、キリスト教国とイスラム教国の戦いであり、ユダヤ民族とアラブ民族といった異母兄弟の中東地域の家督相続争いがその源流なのだ。

※「アメリカの外交政策とパレスチナ問題の本質については、下記、参考ブログ記事を参照して下さい。

日本はそのような歴史と何の関係もない。しかし、アメリカ合衆国との同盟関係を理由に日本国がこの対テロ戦争のために再武装すれば、そして自衛隊の海外進出が現実の想定となれば、日本はユダヤ・キリスト教国側の一員となり、イスラム教過激派のテロのターゲットとなる。

日本を十字軍の歴史に巻き込んではダメだ!むしろ、和平に力を果たすべき唯一の先進資本主義国は我が国・日本国なのである。

■立憲政治と平和主義を守れ!

もう少し、視野を世界に!世界史に意識を向けて、日本国の政治家は働く必要があるのである。
最後に立憲政治(憲政)について一言。

安倍晋三内閣が今回の安保法制を成立させたいならば、まず最初に憲法改正の発議をすべきであり、国民投票に付して過半数の国民の賛同を得てから、国会に提案すべきものであるから、正に立憲政治、憲政に対する冒とく以外の何物でもない。

私も近々、駅頭や街頭に出て、演説活動を再開しようと思う。

瀬戸健一郎(せとけん)
Kenichiro Seto (Setoken)

この記事へのコメント募集中!
facebookの記事にコメントのスレッドがありますので、こちらをクリックして下さい。

参考ブログ記事:
*せとけんの『新しい憲法のはなし』~終戦70年版
*イスラム国の人質事件に思う~アメリカの外交政策とパレスチナ問題の本質(過去ログ)
*せとけんの『集団的自衛権の憲法解釈』国会論戦に思うこと
*軍事力よりも強い外交カード~それは青少年の国際相互理解の推進だ!
*等身大の日米関係を築く!~瀬戸政治の原点『マンガdeせとけん』


<キーワード> 安全保障,安保関連法案,立憲政治,憲政,民主主義,デモクラシー,安倍晋三,自民党,民主党,非自民勢力の結集,憲法,第9条,平和主義,個別的自衛権,集団的自衛権,警察予備隊,自衛隊,自虐的歴史観,戦力の放棄,GHQ,マッカーサー,占領70年,戦後,終戦,敗戦,太平洋戦争,アメリカ合衆国,米国,連合国,東京裁判,戦争犯罪,戦犯,歴史教育,プライド,誇り,愛国心,罪責感,War Guild Information Program,ウォー・ギルド・インフォメーション・プログラム,WGIP,機密文書,青少年交流,平和外交,十字軍,ユダヤ教,キリスト教,イスラム教,対テロ戦争,聖戦,パレスチナ,イスラエル,エルサレム,聖地,アブラハム,イサク,イシュマエル,サライ,サラ,ハガル,旧約聖書,創世記,先進資本主義国


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2015-09-01 15:49:05
GHQの原案には、現行の9条条文以外に、自衛のための戦争放棄の条文も別途あったのだが、自然権の放棄は不可能として自衛戦争の放棄のほうは採用されずに、日本側に提案された経緯があるそうです。 ただし、吉田茂は憲法改正のための国会質疑において、共産党に自衛のための戦争放棄とは如何なものかと質問され、自衛の名の下に侵略戦争が行われる事もありうるので云々、と、誤解した振りをしていたようですね。 
返信する
自衛権の範疇 (瀬戸健一郎)
2015-09-06 01:08:35
領土、領海、領空の圏内で防衛措置を講じる。それでは公海上にある危機を未然に叩くことは出来るか?自国に向けて発射されるミサイルはどの時点で破壊するのか?領土、領海、領空の外に居る国民の救済、救助は出来ないのか?自然権としての自衛の権利もその範疇を議論していくのは困難な作業です。

だからこそ、全国民的な議論が必要なのではないでしょうか?日本のジャーナリストが殺害されたイスラム国の事件の時にも、人質もしくは拘束された法人救助が出来ないもどかしさから、特殊部隊が救助の為に派遣できないのかと考えた方も多かったのではないかと思います。

さらに、同様の事件が繰り返されないように、空爆などの相応な報復攻撃をするべきだと考える人々もおられたのではないかと思います。

報復は感情の連鎖を産み、感情の連鎖は戦争を双方に正当化させる。そして必ずしも先に手を出した方が悪いという単純な議論にはならない。

なぜなら、先に手を出させるという外交工作も過去の歴史の中には散見されるからです。

「あらゆる国際紛争の解決の手段として、戦力を永久に放棄する」という日本国憲法の条文から読み取れる理念は、そのような様々な議論を包摂しているとも言えることから、日本国民の総意として、仮にその成立過程がどうあろうとも、この平和憲法は支持され続けているというのが厳然たる事実だというのが、私の主張です。

それを基本的な共通認識として、日本国と世界の平和をどのように実現させて行ったらいいのかを、地球的視野で全国民的に議論していきたいものです。

そのためには、過去の戦争のメカニズムを、その本質をきちんと見極めていかなければならないのだと思います。

貴重で適切なコメントを頂き、誠にありがとうございました。さらに議論を深めて参りましょう。
返信する

コメントを投稿