ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

政治生活30年の経験と学識を活かし、ポリティカルセオリストの視点から政治の今を語ります。気軽にコメントして下さいね!

赤道&青道って?~大きな便宜供与となる危険性。

2007-09-12 22:22:44 | 市議会議員として
「瀬戸さんが50億で土地を買って、市役所を建てろって言うんですよ。そんなの無理ですよね?」これは木下市長が私の知人に漏らした一言です。

■公有地拡大法って?~松原遊歩道の対岸に5,000坪

今回、松原団地駅から至近の約5,000坪の民間企業所有の土地が売りに出され、大規模なマンション開発が行われるとの情報が草加市を駆け巡りました。都市のこのような大規模な整形地が売りに出されると、これを公共目的で利用することに優先権を与えるため、公有地拡大法という法律が存在しています。

■耐用年数ギリギリで危ない市役所本庁舎はどうする?!

私は、既に耐用年数を迎えようとしており、耐震診断においても建て替えが急務となっている市役所本庁舎や文化会館を、複合施設として建設するために有力な候補地となり得るこの土地を、公有地拡大法の適用を受けて買収することを木下市長に進言していました。しかし取得金額が50億円になると説明したのは木下市長自身でした。私は木下市長が50億円と断言する根拠が分からないまま、それでも取得の努力をするべきだと申し上げてきました。

■草加松原~みんなで整備してきた歴史的遺産の真ん中に?!

「日本の道百選」にも選ばれ、自治大臣賞を受賞している「草加松原遊歩道」を西に、草加市文化会館と草加市民体育館を南に配している最高の立地条件の5,000坪もの土地が、公共目的ではなく、大規模な分譲マンションに変貌してしまうことは、どうしても私には納得ができませんでした。

■50億円もする土地を買うのは無理!~木下市長の主張。

しかし、木下市長はこれを公有地拡大法の適用を受けて買収する手続きは取らず、土地の価格が50億円という高額な物件であることを草加市が取得できない最大の理由として、冒頭のような発言を周辺に漏らしていたようです。

■3県議に50億円で用地取得するよう働きかけ・・・。

木下市長は同時に、この土地が公共用地として有益な土地であり、自らも取得する意向があることを「活用プラン」まで作成して、草加市選出の3人の県議会議員たちに示し、埼玉県の予算でこの土地を50億円で取得するよう働きかけていました。

■50億円/5,000坪の真相!~木下市長の決裁行為の妥当性。

ところが、現在開会中の9月定例市議会に提案された「平成18年度一般会計決算」の審査の中で、この約5,000坪の土地の中に、430坪もの「青道・赤道」が含まれていたことが明らかになり、これを木下市長自身が安価で払い下げる決裁を平成19年2月の段階でしていたことが明らかになり、決算特別委員会で問題になりました。

※これに関連する2つの市長決裁は、起案から市長決裁まで、たった3日間しかかかっていません。

■赤道&青道って?~国から市町村に無償譲与されました。

「赤道」(アカミチ)、「青道」(アオミチ)とは、土地の登記簿に残っている、現在は使われていない昔の道路(赤道)や水路(青道)のことで、もともと土地所有権は国に属していました。

これらの土地が登記簿上、残っていると建物の建て替えが出来なかったり、売却が極端に不利になったりすることから、平成16年に法改正があり、これらの赤道・青道は国から市町村に無償で譲与され、その取り扱いについての権限も市町村長に委ねられることになりました。

■青道・赤道があなたのお家の敷地に残っていたら・・・。

たまたま自分の30坪の敷地の中に、この青道や赤道が残っているようなケースでは、その土地の利用価値が、既にその敷地に居住している市民にしか存在しないような場合も多く、これを市町村長は市民に払い下げることができるようになったというわけです。

その場合でも、無償で払い下げられるわけではなく、相応な土地の鑑定額に基づいて売却されることになります。また、その土地に隣接する住民にも払い下げの権利が生じる可能性も考慮し、近隣住民の承諾が必要条件にもなっています。

■必ずしも払い下げが受けられるわけではない!~小規模な決裁でも・・・。

ほんの5~6平米程度の土地であれば、大きな混乱もなく、決裁も比較的早く行われている場合が多いのですが、その赤道や青道を既存の道路幅員を広げる目的や水路を再整備するなどの必要性が生じた場合は、これを払い下げるのではなくて、「付け替える」(道路の拡幅のための用地と実際の赤道の面積を交換する等の処理)などして、必ずしも払い下げることが前提とはなっていないことがポイントです。

しかも、今回の赤道、青道は全部で約430坪もの広さがあり、売却金額も1億円を超えていたにも関わらず、木下市長は通常の手続きでこれを決裁し、この事実を議会に一切説明していませんでした。

※しかも、この事実を説明しないまま、初めから5,000坪で50億円も取得金額がかかる物件なので、公有地拡大法による購入の手続きは無理であると議会に説明していたことは議会に対する重大な背信行為です。

※木下市長は、今回の払い下げの決裁にあたって「付け替え」を考えなかったのは、職員から起案されてこなかったからで、内部手続きがどのようになっていたのかわからないと決算委員会で答弁しています。これは市長決裁の瑕疵(かし=落ち度)を職員に責任転嫁する発言であり、職員に対する背信行為です。


■赤道・青道1億円/430坪⇒一体として50億円の整形地へ!~約2倍の不動産価値に急騰。

その後、約1億円で払い下げた430坪もの赤道や青道が、これと既存の自社所有地と合わせて、約5,000坪の整形地として50億円でマンション開発業者に転売されたわけですから、草加市からの払い下げによって、不動産価値が3ヶ月で約2倍に急騰したことになるわけです。

既にこの時点で、草加市が払い下げた430坪の土地は、割り戻すと1億円から4億円に跳ね上がったことになり、草加市はたった3ヶ月で市民の財産である430坪の土地について、3億円もの差損を被ったともいえます。自社工場跡地を売却した従前の所有者である企業には20億円以上もの便宜供与をしたことになります。

■赤道・青道の払い下げ後の転売は寝耳に水だった?~木下市長の認識。

木下市長は、「まさか赤道や青道を払い下げた後に、これを含む整形地5,000坪が売却されるとは思いもよらなかった。」と決算委員会で証言しましたが、この企業が自社工場用地を売却処分する意向があることは既に2~3年前から噂されていたわけで、「転売禁止規定」(公有地を取得した後、ある一定期間はその土地を転売することを禁止する特約)もつけられていなかったことに、私は疑義を感じています。

しかも、今回の青道、赤道の決裁にあたり、関係部局からは、都市計画マスタープランや周辺道路環境の改善のために考慮すべしとの指摘があったにも関わらず、道水路の整備のための「付け替え」は行われず、迅速に安価で売却されてしまいました。

■草加市民の最大の宝「松原遊歩道」を借景にマンション開発。

松原団地から至近で、松原遊歩道の対岸にある5,000坪もの整形地は、はじめから50億円の価値があったのではなく、木下市長自身の赤道、青道の決裁のお陰でそのような高額な不動産価値が生み出されたことを考えると、草加市の将来のまちづくりにとって、重大な損失であったと指摘せざるを得ません。

おそらく、もともとは20~25億円程度で取得できた一等地。ここに新しい公共施設ができるのか、分譲マンションができるのか、みなさんはどちらがいいとお感じになるでしょうか?

耐用年数を向かえ、耐震診断で危険が指摘されている公共施設の建て替えはまた先の見えない未来に先送りされてしまいました。

■「得」をしたのは自社用地を売却した企業と冨士製革跡地で撤退した同じ開発業者。

冷静に考えて、この決裁によって得をしたのは、自社所有不動産を従前価値の2倍の値段で売却できた企業と、一度は冨士製革跡地でマンション開発をあきらめたものの、比較できないほど絶好の条件で草加市の最良のマンション開発用地を取得することのできたマンション業者に他ならないのです。

※既に草加市が公有地拡大法によって取得した冨士製革跡地でのマンション開発を検討していた業者が、今回の一等地を買収しました。この立地条件の違いから、実際のマンション1戸当りの販売価格は約1千万円高く設定できるとの不動産関係者の証言を耳にしています。販売戸数500世帯ならば、こちらも50億円。土地買収価格が25億円程度高くても、まだ25億円相当の差益が見込めるとの指摘です。

■自由市民クラブ議員団は「平成18年度決算」を否決!(不認定)

私は自由市民クラブ議員団を代表して、唯一、現在、決算委員会のメンバーとして、この一連の審査をしてまいりましたが、明日、平成19年9月13日の決算委員会での討論・採決にあたり、木下博信市長の平成18年度一般会計決算も、暴力団に104万円を概算払いしたことで不認定となった平成17年度一般会計決算に引き続き、不認定とすることを決意しています。

今後の草加市議会のゆくえを、是非、みなさまにも久しぶりに注目していていただきたいと思います。また、みなさんの率直な声を、私に聞かせてください。久々のブログ再開が、このような悪いニュースになったことが残念です。

一部の人たちのためでない、「だれもが幸せなまち」を創るため、しっかりと成すべきことを成していく決意です。


瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor

キーワード: 赤道、青道、里道、払い下げ、不動産取引、便宜供与、公有地、法定外公共物、普通財産、転売禁止規定、特約、不動産鑑定、路線価、時下、評価額




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1 コメント

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笑顔の裏に大きな利権疑獄 (一心太助)
2010-11-17 01:41:05
今更ながら、瀬戸さんのこの記事を見て思うのは、闇社会の存在です。木下氏が私腹をこやしていなくとも、誰かが彼のこの決裁で大もうけしてるわけです。草加市民もいいかげん目をさまさなくてはならなりませんね。市内土建業者がこの9年間でどうなったか?小野産業との公有地のバータ取引、冨士製革工業跡地の購入、シバソンへお青道・赤道のスピーディーな払い下げと大規模マンション開発、そしてNTT社宅の都市計画事業としての買収。草加駅西口は風俗街と化し、対立する裏社会の勢力が共存共栄。衆愚政治の極み。草加市民はバカにされていますよ。
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