ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

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耐震強度偽装とマンション診断

2006-02-04 15:45:10 | 市議会議員として
総合コンサルタント⇒ヒューザー⇒木村建設⇒平成設計⇒姉歯設計とイーホームズが連携して耐震強度を偽装して建築費を浮かせる手口で劣悪なマンションを乱売したこの事件が、その他のマンションに住む住民やマンション管理組合の皆さんの不安をも増幅させているのではないかと思います。

■民間検査機関を視察

先日私は、草加市議会建設常任委員会の委員として、民間検査機関である「財団法人さいたま住宅検査センター」を視察してきました。どんな建物を建てるにしても、建築確認申請というものを提出して役所の許可を取ることが大前提のルールであり、構造計算書というのは一定の規模以上の建物について、申請書類に添付することが義務付けられています。

この申請手続きの数は、当然のことながら都市部や人口密集地域であればあるほど増加する傾向にあり、その申請手続きを役所に代わって行うのがいわゆる民間検査機関というわけです。これは運転免許センターで実技試験を受けなくても、認定教習所の所定のコースと検定を受ければ実技試験がパスできる仕組みと似ています。

■構造計算は特殊な能力

今回、私たちが視察したのは平成12年3月に埼玉県住宅供給公社が全額出損し、県知事の許可を受けて設立された「財団法人さいたま住宅検査センター」です。この機関は県下に7箇所の事務所を持ち、独自に構造計算の専門員が複数居て、トリプル・チェックを行ってきたそうです。

理事長の説明によれば、ニュース等でも指摘されているように、構造計算書を読み解くには、テキストだけではなく、現場経験、つまり自分が構造計算した建物が実際に竣工しているケースがないと出来ない特殊能力を必要とする分野だそうで、さいたま住宅検査センターには大手設計事務所での実務経験のある職員を採用しているとのことでした。

■建物の検査業務の実態

建物の検査業務には、建築確認の他に、中間検査(建物基礎)、完了検査が段階ごとにあるのですが、建築確認はおこなっても完了検査は受けないケースが過去には多く、平成15年では完了検査の受検率は53%だったそうです。これが検査機関の啓蒙活動などの成果で、平成17年には68%まで向上しており、今回の一連の事件の影響で、この受検率がさらに8割、9割と伸びていく見通しだそうです。

■耐震診断業務を拡大

そこで、私も現在住んでいる分譲マンションの管理組合理事長を入居開始当初3年間務めたこともあり、果たして現在自分が住んでいるマンションの安全性はどうなのかを調べる方法がないかが大きな関心事であることを引き合いに、今後の検査機関としての業務のあり方について質問しました。

今後、さいたま住宅検査センターとしては平成18年度から、「耐震診断業務」を積極的に行っていくために、現在、内部調整中であるとのことです。また、安心してマンションを購入していただくために、「耐震診断」の受診の有無を「重要説明事項」に加えるなどの働きかけも行っていく考えだそうです。

■確認業務の民間委託の成果

今回の視察で一連のお話しを伺って感じたことは、必ずしも建築確認業務を民間に委託したことが悪かったとは言い切れない気がいたしました。彼らが検査業務だけで経営を成り立たせていくためには、広く国民やエンドユーザーから信頼が得られるようなきめ細やかな検査システムを社会のルールとして作っていくことが求められているのであって、これら民間検査機関の働きかけによって、例えば完了検査の受検率が向上したり、より精度の高い耐震診断結果報告書などが作られることによって、住宅購入前に私たち国民やエンドユーザーが物件の安全や性能を確認できるようになることは望ましいことだと思います。

■マンション選びのチェックポイント

より精密な耐震診断を受けていることや、様々なきめ細やかなオプション付の完了検査を受けていることが、マンションなどの建築物件購入に際しての付加価値となっていくことは望ましいことではないでしょうか。

しかしながら、現時点で既に分譲マンションに入居している人々にとっては、このような問題がないことを前提にこれまで暮らしてこられたわけで、自分の住むマンションがきちんと設計されているか、設計どおりに建設されているのかを調べる方法があるのかないのか、あった場合に費用はどれ程かかるのか、耐震診断に問題があった場合、耐震補強工事は可能なのか否か、その費用はどれ程かかるのか等、どこに相談したらいいかが分からないという漠然とした不安をお持ちのことでしょう。

■既存マンションの耐震診断

これらの不安を払拭するための検査業務が民間検査機関の新たな営業分野になっていきますから、様々な情報を集めて、信頼できる民間検査機関を選び、相談することが第一歩ということになります。

財団法人さいたま住宅検査センターは県内シェア6割強という実績があります。またもともと埼玉県住宅供給公社の出損で設立されており、今回の耐震強度偽装事件発覚後の国や県の監査でも大きな問題は指摘されていないようです。また、コストについてお伺いしたところ、まだ価格設定の詳細は決定していないとのことでしたが、おおむね30世帯クラスのマンションでは数十万円の耐震診断費用になるのではないかとのことでした。

あなたのマンション管理組合でも、耐震診断を受けてみられてはいかがでしょうか。


瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor

■関連リンクはこちらです。
[耐震強度偽造事件] 「盗っ人たけだけしい」 横浜市長がヒューザー批判 - goo ニュース
[教えて!gooコミュニティー] 耐震偽装問題
[教えて!gooコミュニティー] 耐震強度偽装問題についてです
[教えて!gooコミュニティー] 地震発生、耐震偽装マンションと普通の住宅の公的支援
[教えて!gooコミュニティー] 耐震強度偽装問題での国交省認定ソフトについて
国土交通省ホームページ:「構造計算偽装問題とその対応について」


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