ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

政治生活30年の経験と学識を活かし、ポリティカルセオリストの視点から政治の今を語ります。気軽にコメントして下さいね!

暴力は許しません。~伊藤一長さんのご冥福を祈ります。

2007-04-19 02:23:22 | 市議会議員として

■政治的な背景がある。~伊藤市長凶弾に倒れるとの第一報に触れて・・・

長崎市長が銃撃されたというニュースが飛び込んできたとき、私はこれが政治的なイデオロギーを背景にした事件だと思いました。安倍晋三総理のコメントも、「民主主義に対する挑戦であり、許せない。」というものでした。

世界で唯一の被爆国である日本。その2つの被爆地のひとつが長崎市です。その市長が凶弾に倒れた。恐らく誰しもが、その背後に政治的な背景があることを直感されたことと思います。

■暴力団の身勝手な要求。~草加市の公共工事における恐喝事件に酷似

しかし、城尾哲弥容疑者は草加市で起きた公共工事をめぐる恐喝事件と同様に、自分が運転する高級車が長崎市内の公共工事現場で破損したと主張し、これに対する長崎市長の対応が不服であったことを犯行理由のひとつとして供述しています。

草加市では、公共工事現場における恐喝容疑が確定し服役中のFに対して、平成14年、それとは別の件で事件発生当初から恐喝されていたある建設業者は毅然と対応し、一時的に恐喝をFが諦めかけ、事件が沈静化していました。しかし木下市長の2期目の選挙前にこれが再燃し、平成16年に木下市長が公印文書による業者指導を行って、結果的にFはこの業者から示談金を引き出すことに成功しています。

このようにFは、起訴容疑事実以外にも複数の示談金を引き出していたことが分かっていますが、その内の一件はあろうことか、木下市長自身が議会に「Fは一般市民である。」と虚偽の説明をして、議会の同意も得ずにFに104万円の賠償金と称する金員を市民の税金から概算払いしていたわけです。

■草加市が原因?~暴力に対する甘い対応が暴力団を助長する。

このことを考えると、同じような事件を起こした城尾容疑者にとって、草加市長のFの要求に対する対応は、まったく正反対の対応をした長崎市長に対する恨みを助長させるきっかけになった可能性もあるのですから、私は怒りと寒気を覚えます。

暴力団は自分の私利私欲のために、勝手な妄想と自分本位の論理で不当要求し、それらに毅然と対応するものを逆恨みする。だれもこのような不当要求に屈しさえしなければ、このような不当要求は無くなっていくはずなのに、草加市長の対応はやはり脇の甘い対応であったと、私は草加市議として恥ずかしく思います。

不当要求に対して毅然と対応した長崎市長。

不当要求に対して言いなりに対応した草加市長。

■歴史を分ける大きな事件なら信念が貫けるのか?

民権運動家が暗殺され、デタントを唱えた大統領が暗殺された、60年代のアメリカ。まさにこれらはデモクラシーに対する挑戦でした。大きな歴史の流れの中で、大きなデモクラシーの拡大のうねりの中で、暗殺された活動家も大統領もアメリカの歴史に名を残しました。それは活動家が活動家としての、大統領が大統領としての使命と信念を貫き通した結果でした。

大きな政治の流れの中だから、政治家もそれに殉ずる覚悟で最初から厳しく毅然と対応できるのでしょうか?

これがあまりにも日常的に社会に溶け込んだ、私利私欲で近づいてくる暴力団の小さな要求であれば、めんどうなことにならないために、安易な対応が許されてしまうのでしょうか?

どんな暴力も同じです。デモクラシーの敵なのです。決して許してはならないのです。

■日常的な暴力排除の姿勢が何よりも大事。~甘い対応はタブー

私は全国の首長という首長が、議員という議員がすべて、暴力団という反社会的な勢力とあらゆる関係を断ち切って、彼らのいかなる要求も撥ね退けるという断固とした決意表明がなされないかぎり、同類の事件は起き続けるだろうと思います。

伊藤一長市長の死は、あらためてこの社会から暴力を排除する決意を私たちに迫る事件であったと私は受け止めています。

漫然と政治を行っていてはいけない。暴力との小さな妥協は大きな社会の歪みにつながる。

世界平和のために、核廃絶のために戦い続けた伊藤一長市長のご冥福を心から祈ります。

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor


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4 コメント

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お悔やみ (バットマン)
2007-04-19 09:45:18
長崎市の伊藤市長が暴力団員の凶弾により亡くなられたことに対して、心よりお悔やみ申し上げます。

瀬戸さんが書かれたように、私も長崎市と草加市との不当要求対応の違いについて考えさせられました。

暴力排除がかけ声だけに終わらないように、そして木下市長には、前回(F氏の事件)の不祥事に対してしっかりとした責任をとってもらうことを市民として強く願っています。
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Unknown (ようすけ)
2007-04-19 18:24:50
伊藤市長のご冥福をお祈りしますと共に、ご遺族の方には謹んでお悔やみ申し上げます。

今回の事件は伊藤一長さんという個人を殺害しただけでなく、長崎市長と言う公職にある公人を殺害したものです。犯行の背景にあるものからすると、これは単なる恨みによる殺人ではなく、テロ行為といえると思います。

草加市の事件では殺人事件に発展しなかった点を除けば、瀬戸さんの書かれたとおり、長崎の事件と草加の事件は、全く同じ内容の事件だと思います。
両市の相違点は、暴力団の不当要求に対して、長崎市は毅然とした態度で要求をはねつけたのに対し、草加市は暴力団に屈したと言うことです。それも、草加市長は自ら暴力団と関係を持ち、要求に屈しているのです。

バットマンさんと同じく、私も木下市長には草加市での事件に対して明確な責任をとることを強く願います。
それと共に、木下市長を支援している市議会議員には、悪いものは悪いと言う意識を持ち行動に示すと言うことを強く願います。昨年の市長不信任案への反対は、いまだに強いいきどうりを感じます。
こうした一部の市議会議員が、草加市の市政をゆがめているのではないでしょうか。

草加市の事件を風化させることなく、なお一層の問題の追及と、安心して暮らせる町にするため、議員も市民も一丸となって対処せねばと思います。
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暴力団との小さな妥協が・・・ (パペポ)
2007-04-20 00:48:17
「暴力団との小さな妥協が、社会の大きな歪みにつながる。」

まさに、そのとおりですね。

城尾容疑者が草加市で藤沢がまんまと市長との関係をチラつかせて金を公共工事現場で業者から何度も取り上げていたことを知ったら、さぞ長崎市長は疎ましく思えたことでしょう。怨み骨髄ですね。

ヤクザって、そんな世間に背を向けた人たち。

木下市長みたいな市長では、草加市にヤクザが増えるの当たり前だし、毎日、きっと弱い誰かが泣いているんだと思います。何とかしないといけないですね。
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伊藤一長市長のこと (大浦お慶)
2007-04-28 00:21:24
 初めまして、長崎の大浦お慶といいます。
長崎のいっちょうさん事件のことを、明日英会話教室で
話すのでどこか、事件のことを書いているところはないか
探してきました。
 いっちょうさんは、気軽に声をかけてくれる、気さくな
方で、市民にこれほど親しまれた人はいないと思うくらいでした。平和活動以外にも、伝統工芸育成事業など、その功績は数え切れないでしょう。あんなに長崎を愛した人が、市民から愛された人が、殺されるなんて、今でも信じられません。悪名高き、裏金事件の時も一長さんやけん…て終わったんです。

 私の事務所が市役所に近いもので、よくお会いしました。
「おはようございます。どうね(調子は)?」そんな声をかけてくれる市長だったんです。
 事件の数日前、黒い宣伝カーがいつものようにわーわーいってました。ところが、いつもと違う言い方、殺気立っているんです。Bloodthirsty 電話したんですが、警察に。もっと言えば良かった。残念で残念でまだ、あきらめきれない。

 選挙の結果はご承知の通りですが、市長の人気と家族は別物。政治家の世襲制をどう考えますか?
梨園の世界じゃあるまいし、真喜子さんみたいにお父さんについて、勉強していたならまだしも。

 一長さんは、市長としては最高だったけど、家族の教育には
手がまわらんやったかなぁ。あの醜態は、ショックの上塗りで恥ずかしかったです。

 悲しかです、花を持っていきたくても、選挙中はカメラがあって…という人がとても多かったこと。
 私は仏教徒ですが、市民葬をしてほしかったなぁ。

どうも長くおじゃましました。
 
 
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