8月16日(火)晴れ
昼寝から覚めたら田中勝義さんの眼差しがあった。いつになく?はりのある笑顔である。
13・14と王子の劇場で上演した「神様が降りてきた夏」が連日大入り満員で内容もこの上なく充実していたという。こんな嬉しいことはそうはなかろう、僕も心から喜んだ。
この劇のパンフレットに田中さんの文章が載っている。
制作総指揮 田中勝義
むかし少年少女がいた。演劇の面白さと出会い、寝食を忘れて芝居づくりに熱中した。
知らない人生、掴みがたい表現を手探りする昼の闇があり、孤独に模索し激しく議論する白熱の夜があった。彼らの所属する演劇部は40余
名の部員を擁し、笑いと涙とせめぎあいの中で、ふと友情が匂い立った。活動場所の小ホールはいつも彼らの熱気で燃えていた。
「かっちゃん」と呼ばれる男がいた。演劇の魅力にとりつかれ、家庭を顧みず、少年少女たちとの芝居づくりに没頭した。彼らが凛として「ワ
タシハ今ココニイル!」と叫び、自己を表現し、個性を花開かせる瞬間を、男は愛した。人が人になろうとするときのさまざまなドラマを、男
は見てきた。
20年の歳月が流れた。むかしの少年少女は、舞台俳優・声優・劇作家・演出家・舞台スタッフとなっていた。「もう一度あのころのメンバー
で芝居づくりをし、自分の原点を確かめ、前進したい」と彼らは願った。‥‥稽古場の椅子に座って、男は、20年という時間の重さとともに、
このひたむきな人びとと道連れになったことを、自らの人生のかけがえのない幸福の一つに感じているのだった。
「脚本」の菅野さんとともに
出典●http://blog.goo.ne.jp/ita-maki/e/5c5a656e55e3db3282e64fe5619f9f7a
駿台学園という高校で演劇部の顧問をしてきた田中さんが70を迎えた年に昔の生徒たちが相図ってこれ以上はないというプレゼントをしたのではないかと僕は思っている。こんな喜びを味わうことができる人がそうはいるとは思えない。暑い盛りに過酷な練習の日々だったに違いないが、これで勝義さんの寿命は10年は伸びるかもしれない。
9月になると学校も始まる。ゆっくり体を休めてもらいたいものだ。退院したら去年と同じように静かな山里にご一緒できるといいなあ。
盡田(つくしだ)モリノスという出演者の日記と友人の観劇記を勝手ながら紹介させてもらいます。
「神様が降りてきた夏」●http://blog.goo.ne.jp/madammammy/e/145b9f4fa500acdcff995569ad6fe163
モリノスの日記●http://www.prayerties.com/cgi-bin/diary/morinosu/picmail.cgi