高沢一基(かずもと)の陣中日記

板橋区議会議員・「高沢一基(かずもと)」のオフィシャル日記です。

30年度予算に対する討論を行いました!

2018-03-26 15:35:00 | Weblog
本日は板橋区議会第一回定例会の最終日でした。私は会派を代表して、予算案等に対する討論を行いました。その原稿を掲載しますので、お読み下されば幸いです。

ただいまより、民進党板橋区議会議員団を代表して、議案第一号・平成三十年度東京都板橋区一般会計予算、議案第二号・同国民健康保険事業特別会計予算、議案第三号・同介護保険事業特別会計予算、議案第四号・同後期高齢者医療事業特別会計予算、議案第三十二号・同一般会計予算に対する修正動議について、討論を行います。

 平成三十年度の一般会計予算は、歳入歳出が約二千九十二億七千万円で、前年度予算比・約二十三億七千万円の増であり、緩やかでありますが、予算規模が拡大していることが読み取れます。しかし、平成二十九年度の最終補正予算である約二千百二十七億二千万円と比べると、約三十四億五千万円の減となります。三十年度内に於ける経済の行方が注目されます。
 歳入につきましては、地方消費税交付金が国の精算基準の変更により、前年度比で約十一億五千万円、九・八パーセントの減を見込んでいるものの、自由に使うことができる経常的な収入である特別区税と特別区交付金等は増収の見込みです。
特別区税は、前年度比・約十五億三千万円増、最終補正予算比・約七億五千万円増の約四百六十一億八千万円であり、納税義務者が前年度比・八千九十四人増、最終補正比・二千二百七十六名増の三十万一千二百四十八人と見込まれています。
また、特別区交付金は、前年度比・約五十三億円増、最終補正比・約三十一億七千万円増の約六百九十六億円となっています。特別区交付金は、景気の回復傾向を見込んでおり、前年度比八・二パーセントの増ですが、特別区税は前年度比で約三・四パーセントの伸びに留まっており、これは、企業収益が増加しても、その利益が個人に回っていないことの一端と言えると思います。
 更に、米国トランプ大統領による鉄鋼やアルミニウムへの追加関税や我が国の自動車産業への一方的な批判等、保護主義的な言動や政策による我が国及び世界経済への悪影響も懸念されます。こうした先行き不透明な経済環境の中、各種基金からの繰入金を前年度比・約二十四億五千万円の削減としたことは、将来の公共施設や教育施設の改築、更には住民福祉を維持していくために必要なことであり、一定の評価を致します。
 一方、使いみちが自由な収入が、人件費・公債費・扶助費等の経常的支出に当てられた割合を示す経常収支比率は、適正水準である七十から八十パーセントの間にあった平成十九年以降、八十パーセントを超えています。二十三年度の九十一・一パーセントから改善されつつありましたが、二十九年度決算見込みでは八十五・七パーセント、本年度予算での比率は八十五・九パーセントと悪化しています。
こうした財政の硬直化により、政策をも硬直化されることが、危惧されます。
JR板橋駅前B用地再開発に関するインターフォーラム構想、「公共施設等の整備に関するマスタープラン」に基づく個別整備計画の再編、ふるさと納税への対処等に表れている区長及び区当局の言動は頑なであり、硬直しているように感じます。区長も、常に区及び区民の為に何が一番良いことかお考えのことと存じますが、板橋区の発展と区民の幸せの為に、柔軟な発想による合理的なご判断をされることを望みます。
更に、地域包括ケアシステムのように、施策そのものが基礎的自治体に任されたり、児童相談所の設置のような権限の移譲も、次々になされています。このような地方分権の流れの中では、財政の硬直化をより一層避けなければ、政策も硬直化してしまいます。柔軟な政策を進める土台として財政の硬直化を防ぐ為、不断の努力による行財政改革を求めます。
更に、特別区債については、前年度比・約八億円増の約三十三億二千万円と発行額が微増、返済に当たる公債費は、前年度比・約六億八千万円減の約二十九億七千万円であります。公債費負担比率は、二十九年度決算見込みで三・六パーセント、三十年度予算見込みで二・四パーセントであり、財政が硬直化しているとされる十五パーセントより低く抑えられています。また、特別区債全体の残高は、予算ベースでは前年度より増加していますが、三十年度決算では減少することが見込まれています。引き続き、適正な債権管理を行い、今後の施設更新等に備えて頂きたいと考えます。

 続いて、何点か個別の施策について、意見や要望を申し述べます。
 まず始めは、ふるさと納税についてです。ふるさと納税については、地方の自治体に於ける独自の財源確保策としての有効性があるものの、過度な返礼品競争を生み、地方交付税の恩恵に浴さない東京都の自治体では、住民税を奪われたままとなる等、本来の税のあり方に反する現象も生じて問題となっています。板橋区は、ふるさと納税の不当性を訴えていますが、悪法といえども法です。ふるさと納税という制度がある以上、いくらその不備や不当性を訴えても、税源の流出は止まりません。現に、ふるさと納税による三十年度の影響額は、十億一千万円もの大幅な減収を見込んでいます。昨年の予算総括質問でも提案しましたが、区内の事業者と連携して魅力ある返礼品を用意し、ふるさと納税を実施すべきと考えます。そうすれば、減収を取り戻すだけでなく、「板橋ブランド」のイメージアップを図ることも出来ます。区内には、健康機器メーカーのタニタ、ポテトチップで著名な湖池屋・ヤマヨシ、食品関係ではエスビー食品・オリエンタル酵母等があります。また、光学関係だとトプコン・日本電産コパル、帝京病院や日大病院と連携して人間ドックを提供しても良いかもしれません。攻撃は最大の防御です。区内事業者と連携したふるさと納税の実施を求めます。
 また、平和公園の新中央図書館、加賀の史跡公園、東板橋のこども動物園等、財政負担が大きい施設整備が続きます。独自財源の確保の視点からも、生産年齢人口を増加させるような魅力ある中央図書館・史跡公園・こども動物園の整備を求めます。更に、スポーツでも魅力ある板橋区にする為に、小豆沢公園のスポーツ公園化を着実に進めるとともに、荒川河川敷の駐車場進入路のアスファルト舗装については、国との協議を進め早期に実現させることを求めます。
 次は、「公共施設等の整備に関するマスタープラン」に基づく個別整備計画についてです。これは先の代表質問でも触れましたが、新しく加わった施設、計画が進んでいない施設、計画と現状が異なっている施設が増えています。計画の再編に当っては、柔軟な発想で取り組むとともに、机上での検討だけでなく、区議会での議論も汲み取るべきと考えます。
また、老朽化が進むのは、公共施設や小中学校だけではありません。既に取り組んではいますが、橋梁等についても更新時期を集中させないよう、計画的な改修・架替えをしていかなければなりません。
 次に、再開発について述べます。JR板橋駅前B用地については、柔軟な発想に基づいて再検討し、公共施設床の活用は必要最小限にして、地代収入を得るべきと考えます。また、高島平グランドデザインに関しては、旧高島第七小学校だけでなく、周辺との一体開発の方向性を、早期に示して頂きたいと思います。
 更に、東武東上線大山駅付近の鉄道立体化については、東京都が事業主体だからと任せるのではなく、板橋区が機関車であるとの自覚を持って、東京都を牽引して行く必要があります。長年の悲願である東上線連続立体化を現実的に進める為に、大山駅周辺の立体化に積極的に関与して、早期の完成を目指すことを求めます。
 次は、児童相談所機能を有した仮称・板橋区子ども家庭総合支援センターについてです。地域に根ざした基礎的自治体としての特徴を活かして児童相談所の設置を決定されたことを評価致します。東京都への職員派遣による研修をこれからも進めるとともに、有為な人材を確保するための方策を立てて行かなければなりません。
 保育については、引き続き保育所の整備や定員拡大を進めるとともに、新たなニーズである休日保育についても具体的な検討と導入をしなければならないと考えます。また、施設による保育だけでなく、家庭福祉員の待遇改善や在宅子育ての支援拡充等、多様な子育てへの支援を進めるべきでしょう。
続いては、教育についてです。
 全小中学校への授業用ICT機器の整備も評価するものですが、効果的なICT機器を導入しても、教員による活用に差があっては意味がありません。ICT機器を活用した授業法の研修等を強化して、教員の指導力向上を目指さなければなりません。
 また、コミュニティスクール推進委員会の設置は、全校でコミュニティスクールを実現する為には必要なことでありますが、地域の力を活用する施策を次々に追加して行くのではなく、学校運営連絡協議会・学校防災会議・学校公開連絡会・学校地域支援本部等との整理・統合を進めるべきと考えます。コミュニティスクール推進委員会は、こうした課題を、地域の方々と一緒に検討出来る貴重な会議体ですので、積極的な運用に期待致します。
 個別の施策についての最後は、防災についてです。
 災害に強い街づくりを進める為には、住民の理解や防災の知識を有する人材づくり等が必要ですが、街そのものを強くすることも欠かすことができません。板橋区では、木造住宅の耐震化助成事業・細街路の拡幅助成事業等を実施していますが、なかなか実績が上がりません。区民への周知・働きかけを徹底する必要があります。また、街頭消火器やスタンドパイプの設置も拡充するべきですし、区民消火隊への支援も、より一層充実させるべきと考えます。更に、改めて一般質問等で取り上げたいと思っていますが、東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」の結果が発表され、五段階の危険度評価の内、板橋区内で一番高い四という評価が、唯一、宮本町に下されました。都の調査結果を受けて、防災に係わる各種事業を宮本町で重点的に実施することも求めます。
 続いて、三特別会計について申し述べます。
国民健康保険事業特別会計につきましては、前年度比・約百九億円の減ですが、歳入については、後期高齢者医療や社会保険への移行者が増えたこと、歳出は被保険者の減とともに、高額薬剤を前年度で高く見込んでいたこと、他は制度変更による組み替えであり、問題はないと考えます。また、繰入金が前年度比・約十一億四千万円の減となっていることは歓迎されます。会社員等、社会保険に加入している納税者の負担感情からも、一般会計からの繰入金は慎重にあるべきと考えますので、今後とも適切な運営を求めます。
 介護保険事業特別会計につきましては、前年度当初予算に於ける保険給付費の見込みが高かった為、約五億二千万円の減となっていますが、これからも増え続ける介護認定者を見据えながら、制度を維持・発展させていく為に財政面への注目も重要であります。
 後期高齢者医療事業特別会計も、保険者数の増加により介護保険と同様に注目が必要と考えます。
 以上述べて来た通り、議案第一号・平成三十年度東京都板橋区一般会計予算、議案第二号・同国民健康保険事業特別会計予算、議案第三号・同介護保険事業特別会計予算、議案第四号・同後期高齢者医療事業特別会計予算につきましては、いずれも原案に賛成致します。
 また、議案第三十二号・平成三十年度東京都板橋区一般会計予算に対する修正動議につきましては、修正理由とされる事業が、いずれも単年度ではなく、継続的に実施することが想定されるものであるにも関わらず、財政調整基金からの取り崩しだけに依存していることは、将来の施設更新や住民福祉の維持に対して無責任であることから、反対致します。
 これにて、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。