高沢一基(かずもと)の陣中日記

板橋区議会議員・「高沢一基(かずもと)」のオフィシャル日記です。

議案に対する討論を行いました!

2017-03-07 12:47:13 | Weblog
本日の板橋区議会本会議で、議案「訴訟上の和解について」の賛成討論を行いました。本議案は、反対討論3名、賛成討論1名(高沢)ののち表決され、賛成多数で可決されました。

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只今より、民進党板橋区議会議員団を代表して、議案第二十三号「訴訟上の和解について」に対する討論を行います。

 本議案は、板橋区が平成二十六年三月二十八日付で行った懲戒免職の処分に対して、その取り消しと慰謝料の支払いを求める東京地方裁判所での訴訟について、裁判所の勧告に基づく和解を行おうとするものです。
和解内容は、「懲戒免職処分の取り消し」、「定年退職金と解決金の支払い」、「区は、原告がホタル生態環境館において長年にわたりホタルの飼育に従事してきたこと、平成二十五年まで開催されたホタル夜間特別公開に尽力したこと、ホタルの累代飼育に係る特許の取得に尽力したことを認める」、「原告は、処分説明書に記載された事務処理に、区職員の懲戒処分に関する指針に該当する行為があったことを認める」などです。
板橋区が本年二月に作成した「ホタル生態環境館に関する検証報告書」によると、本事件において、原告の元職員は「本件懲戒免職処分において処分理由とされた元職員の各行為は、いずれも上司の承認を得るなどして区の業務として行ったものであり、各処分理由は事実誤認に基づくものであるから懲戒理由になり得ない。したがって、本件懲戒免職処分は社会通念に照らして妥当性を欠き、裁量権を逸脱・濫用した違法な処分である」と主張しているとのことです。一方、板橋区は「区が業務として他の自治体に対して技術支援を行うのは原則として特許発明に係るもののみである。また、他の自治体への協力は、特に公務扱いとする意思決定を経ない限り業務に含まれていない。そして、区は、処分理由とした元職員の各非違行為を公務として応諾したことはないから、事実誤認がないことは勿論、社会通念上妥当性を欠くものともいえず、裁量権を逸脱・濫用したと認められる余地はなく、本件懲戒免職処分に何ら違法な点はない」と主張して来ました。
 こうした主張をもとに、平成二十六年七月から口頭弁論期日九回、弁論準備手続期日十回、和解期日三回の計二十二回の裁判が開かれて来ましたが、本年一月二十四日、東京地方裁判所より和解勧告がなされました。
 板橋区は懲戒免職処分が正当であったと主張して来た訳ですが、裁判所からの強い勧告を受けたこと、このまま訴訟を続けた場合に板橋区にとってさらに厳しい判決となる恐れがあること、原告が譲歩したことなどを理由に和解を受け入れる方針になったとのことです。
 私は、板橋区が本件懲戒免職処分を正当だと認識しているのであるならば、厳しい判決が出されたとしても、最高裁まで争い、板橋区の正当性を主張するべきであると考えました。お互いの主張が違うから裁判になっているのであり、和解をするということは、自ら懲戒免職処分が間違っていたと認めたと思われるおそれがあります。このことは懲戒処分の取り消しについて、和解の場合は板橋区自身が取り消しを行うのに対して、判決による取り消しは司法権によって取り消されるということを考えても理解されると考えます。
 しかしながら、最終的に本議案に賛成することに決めたのは、原告が裁判では否定していた懲戒処分となった非違行為を本和解案で認めたと板橋区が言明したことによります。裁判を継続した場合、裁判所は原告の非違行為を認めながらも懲戒免職処分が過剰であったとして処分取り消しを命じる可能性が高いと私は推測しますが、万が一、判決においてこれらの非違行為が認められなかった場合は、板橋区の懲戒処分が全否定されてしまいます。
 和解案において原告が認めた処分説明書自体は非公開ではありますが、「ホタル生態環境館に関する検証報告書」には処分説明書記載の非違行為六点を掲げています。

 一、特定の営利企業への便宜供与。「静岡県C町で施工されたホタル水路整備について、D事業者を紹介し業務を請け負わせた。ホタル生態環境館施設において、区の本来業務でないハチ飼育をA事業者に認めるなどの便宜を図った」

 二、当該企業の経営に深く関与及び自らも営利事業に携わったこと。「D事業者が静岡県C町に提出した『業務代理人等通知書』には、主任技術者と記載され業務にも携わった」

 三、区に歳入されるべき特許実施料金について損失を招いたこと。「『ホタル飛翔に関する事項[最低五年間]』を提出し、区に歳入するべき特許実施料金の免除を約束した」

 四、上司の判断を仰がず契約を行うなどの極めて不適切な行為。「A事業者との間で在来種クロマルハナバチ飼育に関する『業務提携契約書』を締結した。A事業者及び財団法人Bとの間で、ハチの『売買契約書及び秘密保守契約書』を締結した」

 五、区の本来業務ではない作業を同僚の再雇用職員等に行なわせたこと。「区の本来業務ではない、宗教法人Eから送られてきたホタルの仕分け作業を同僚の再雇用職員等に指示し行なわせた」

 六、区職員以外の第三者に施設の鍵を渡し、解錠・施錠を行なわせたこと。「平成二十五年十二月六日深夜の施錠及び七日朝の解錠、平成二十六年一月十七日深夜の施錠及び解錠について、区職員以外の第三者に鍵を渡し、施設の解錠・施錠を依頼した。また、同様の行為を八年ほど前から年数回行っており、その際の取締簿について、自身が施錠・解錠を行ったように装い虚偽報告を行った」

 本件和解案の成立によって、以上六点の非違行為を原告が包括的に認めたと板橋区が言明したことは、重要な点であると考えます。たとえ、原告がこれら六点の非違行為を認めていないと主張したとしても、和解案に示された「懲戒処分に関する指針に該当する行為があったことを認め」たことは、明確であります。

つまり、「懲戒処分に関する指針」に示された「不適正な公文書の取扱い、勤務態度不良、公金公物処理不適正、営利企業等の従事、虚偽記載」を原告は、和解書上、認めたと理解されます。この点を鑑み、懲戒免職処分を自ら取り消すこと、定年退職金約一千九百六十六万円及び解決金約三百五十二万円が支払われることを涙を呑んで受け入れ、本議案「訴訟上の和解について」に賛意を表します。

 最後に、板橋区に対する要望を申し述べます。本事件が発生した背景には、板橋区の管理監督体制の不備や懲戒免職処分に対する認識の甘さがあったものと考えます。「ホタル生態環境館に関する検証報告書」で示された「勤怠管理の適正化について」「懲戒処分について」「少人数職種における人事異動のあり方について」の再発防止に向けた取り組みを着実に実施し、区民の信頼回復に全力を注ぐことを要望します。また、本事件を特殊な事例として忘却することなく、現在及び将来の区政運営に資する教訓とすることを強く望みます。更に、板橋区民及び世論に対する坂本区長の責任ある説明を強く強く求めます。
 以上で、議案第二十三号「訴訟上の和解について」に対する賛成討論を終了いたします。ご清聴、ありがとうございました。