7月21日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
世間は神のごときもの
事業が大きくなってくると、仕事もだんだんと複雑になって、そこにいろいろな問題が起こってくる。
私は、この問題をどう考え、どう解決すべきかと日々の必要に迫られて、その解決策の根本を求めていくうちに、“世間は神のごときもの、自分のしたことが当を得ていると、世間は必ずこれを受け入れてくれるにちがいない”という考えに行きついた。
正しい仕事をしていれば悩みは起こらない。悩みがあれば自分のやり方を変えればよい。世間の見方は正しい、だからこの正しい世間とともに、懸命に仕事をしていこう……こう考えているのである。
2013年7月21日天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
天声人語
▼大家(おおや)の誘いで店子(たなこ)の面々が花見に繰り出すのが、ご存じの落語「長屋の花見」。勇んで出かけたものの、重箱のかまぼこは月形に切った大根、卵焼きは黄色いたくあん。お酒も番茶を薄めた「お茶(ちゃ)け」――
▼そんな噺(はなし)もふと浮かぶ、ウナギの品薄異聞である。高騰がおさまらぬ中、ナスをウナギに見立てた「なすの蒲焼(かばや)き重」が人気だそうだ。お代は800円ながら、群馬県のある食堂で土日には100食ほども出るのだという
▼バーナーで焦げ目をつけ、たれを塗る。見た目も味もいけるらしい。ウナギは生態に謎が多く、形とぬめりの連想から、昔は「山芋変じてウナギになる」などと言われた。ナスが身代わりとは、人間の食べる知恵に本物がびっくりだろう
▼あすは土用の丑(うし)の日だが、炎暑の季節の風物詩も年を追うごとに心配が募っている。養殖用の稚魚は極度の不漁から回復の気配がない。今年は8月3日に「二の丑」もあるのに、香ばしい煙の向こうに絶滅危惧のランプがともる
▼かつてウナギは特別なごちそうだった。〈儲(もう)けたら来いといふ鰻屋(うなぎや)の看板〉と川柳にあるから、おいそれとは手が出なかったのだろう。いつしか手頃になって、ついつい食べ過ぎたようだ。世界の消費量の7割を腹に収める日本への、欧米の目はきびしい
▼「串打ち3年、割き8年、焼き一生」という日本の食文化の粋である。何とか資源を守りつつ、長いつきあいを続けたいものだ。もともと蒲焼きは待つ料理。少々の辛抱はしかたがない。