<水をめぐるあらそい>
21世紀は資源の世紀である。石油のピークアウトとまで10年を切った
ともいわれる。もう一つの大きな問題は「水」である。
「20世紀の戦争が石油をめぐって戦われたとすれば、21世紀は水をめ
ぐる争いの世紀になるだろう」、戦争の世紀と呼ばれた20世紀の終わり、
世界銀行副総裁のイスマイル・セラゲルディン氏が1995年に発した有名
な言葉は、現在の気候変動による危機を示唆している。
日本は比較的水に恵まれた国である。しかし、世界の事情はそうでない。
インドでは借金して井戸を掘ったものの水がでない、タイでも穀倉地帯の
水不足が深刻だという。東京大学の沖大幹教授の試算によれば、水を
安定的に得るのが困難な人たちが世界に25億人にのぼっているそうだ。
それが今世紀半ばには40億人に増えるそうだ。そうした世界の水事情を
どうみればいいのだろうか。