加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

「コパクト・シティ」に関する考察(その1):エコポイント導入事業はその内実を作る

2005-11-06 00:43:56 | Weblog
 現在まちづくり三法の見直しに関する議論が政府のみならず自民党・公明党でも行われていますが、いずれの場でも今後のまちづくりの概念として語られているキーコンセプトが「コンパクトシティ」です。
 そこで、これから数回にわたり、「コンパクトシティ」について様々な側面から考察してみたいと思います。
 その基本的な考えは、地域コミュニティを重視し、中心市街地を中心にこれまで整備された社会的インフラを効率よく活用した都市・まちづくりということを意味しています。
 中心市街地には下水道、歩道、街路灯なども整っています。多くの自治体関係者が「これを生かさないのはもったいない」というように、都市機能の郊外への分散を防ぎ、公共投資や行政コストを抑えようという狙いも込められています。
 このように「コンパクトシティ」の概念は広いものです。商業だけではなく交通、住宅、文化、教育、医療、福祉、環境、景観、防犯など、都市・まちづくりのあらゆる課題が含まれます。ある意味では「何でもあり」の世界なので、地方自治体も飛びつきやすい概念です。 すでに「コンパクトシティ」宣言をする都市も出てきています。
 青森市、諫早市(長崎県)、都城市(宮崎県)など、いずれも文化や教育、福祉などを考えながら商業機能の拡散を防ごうとしてきました。まちづくりを真剣に考えると、図書館や学校、病院など、都市の公的機能との連携は自然な流れだったのです。
 しかし、ここで大いに考えなければならない大きな問題があります。それは、「コンパクトシティ」を語るとき、改めて商業に焦点を当てて考えないと、議論がぼけてしまうことです。「コンパクトシティ」の商業的課題は「にぎわい回復」です。しかしこの「にぎわい」は、週末だけ、イベント開催時だけのにぎわいだけでは意味がありません。日常生活をサポートする良質の商品・サービスをきちんと提供できるお店が機能したにぎわいでなければならないのです。
 言ってみれば、「コンパクトシティ」の言葉の響きはいいのですが、そこにおける商業のあり方が見えないという状況にあるのです。少なくとも、手探り状態にあるということでしょう。
 「エコポイント導入推進事業」は住民に対して交付されるエコポイントを登場させるのみならず、ポイントなどとの相互交換を進めることにより、この大事な課題に回答を与えようというものです。