加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

「コパクト・シティ」に関する考察(その8):「日本型コンパクトシティ」の意味するもの

2005-11-20 00:42:21 | Weblog
 今までの「コンパクトシティ」論を参考にして、21世紀の日本の都市像を考えてみましょう。「日本型コンパクトシティ」とは何かということです。
 21世紀の日本の社会は歴史的転換期を迎えています。人口減少、少子高齢化、経済構造の転換、中心市街地の衰退が基調としてあり、地球規模の環境問題への対応能力を高めるために、持続可能な成熟した都市型社会に移行しなければならない時期に来ています。
 では、持続可能な成熟した都市型社会とは何なのでしょうか。まず、成熟社会とは、量的な拡大の社会から、多様性と個性、歴史性と文化、貨幣的な価値だけではなく非貨幣的な価値やより広い人間的な価値が大事にされる社会のことであると思います。
 次に都市型社会とは、都市を中心とした社会です。このことは農村や山村や多くの自然的な地域を無視するということではなく、都市がそれらの地域とお互いに支えあう構造になっていることが必要です。このことは、都市が環境、資源、経済などを一方的に消費するのではなく、都市が農村や山村などとの共生の関係の中で独自の文化を持っていくということです。
 そして何よりも、21世紀の日本の都市には持続可能性が求められます。ここでいう持続可能性とは、地球環境のみならず、人口構造、経済、社会、文化などいずれの側面においても持続可能性が求められていると、私は考えています。
 幸いにして、このような21世紀の都市像を実現しうる積極的な動きも各地で見られるようになって来ました。上からの動きでは、地方分権、まちづくり条例、まちづくりセンターなどの動きです。また、各自治体がPI(パブリック・インボルブメント)=市民参加を勧めるようになっています。下からの動きとしては、これまで見られなかった多様な市民組織、NPOなどが各地域で誕生し、上からの動きと下からの動きが相呼応して、「協働によるまちづくり」が進展しています。
 次回はこのような動きの中で、「日本型コンパクトシティ」の具体像を提示してみたいと思います。