加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

「コパクト・シティ」に関する考察(その7):欧米の理論と手法から学ぶもの

2005-11-18 00:40:43 | Weblog
 ここで欧米で展開されている「コンパクト・シティ」論をまとめてみましょう。様々な論調を整理すると、以下の9つに集約されると思います。
①高い居住と就業などの密度
②複合的な土地利用の生活圏
③自動車だけに依存しない交通
④多様な居住者と多様な空間
⑤独自な地域空間
⑥明確な境界
⑦社会的な公平さ
⑧日常生活の自足性
⑨地域運営の自律性
 欧米から学ぶべきは、このような「コンパクト・シティ」を実現する次のような手法に関してでしょう。
①密度コントロール:人口、住宅その他の都市機能が高密度に集積した都市空間の形成、低密度開発の規制、高密度住宅の開発
②機能配置:複合機能建築、再開発ないし混合用途の土地利用の促進
③土地利用計画:住宅・雇用・都市施設の地域的バランス、厳格な計画あるいは民主的な手続きを経た計画に基づく開発許可、土地所有者の自由な開発の抑制、都市部と農村部を一体的にコントロールする自治体総合計画、環境計画における土地利用計画の重視
④住宅対策:多様な住宅の供給による多様な住民構成、市街地での住宅供給、特にアフォーダブル住宅の供給
⑤交通対策:自動車交通の抑制と徒歩・自転車利用の促進、歩行者モールや自転車道の整備、住宅地内の自動車交通の静穏化、新規の道路整備や市街地での駐車場整備の抑制、公共交通への投資や補助の拡大、LRTなどの整備・延長、ミニバスやコミュニティバスの運行、パークアンドライド,カーシェアリング、ロードプライシングなどの自動車交通抑制政策、カーフリーシティなど自動車に依存しない住宅地整備
⑥開発コントロール:郊外での住宅、商業その他の施設の立地抑制、市街地の無定形長い演歌の抑制、分散的な郊外居住地の再構成、開発が環境に影響を与える影響を考慮した用途地域、グリーンベルトによる外延化防止、都市の成長管理、農地・田園・自然の保全のための法的規制、交通条件による立地評価と規制
⑦既成市街地開発:既成市街地内の空地開発、建物の際しよう・再生・再開発、特に複合機能開発、駅周辺の高密度複合機能開発を指向するトランジットビレッジ、中心市街地のモールかと公共交通や駐車場政策との連携、修復的利用などによるタウンセンターの活性化、都市地域への投資の集中
⑧アーバンビレッジ:徒歩などの日常生活でのアクセシビリティの改善、近隣計画の作成と実施、公共交通と一体になったTOD、伝統的近隣の良さを生かしたTND、居住地の修復的再生
⑨アーバン・デザイン:優れたデザインによる市街地環境の改善・向上
⑩推進主体の形成:計画作成・開発コントロールにおける市民参加、地域住民自治に基づくコミュニティ活動の強化、パートナーシップによる実施と促進、多様な主体による推進グループの組織化、自治体の連携による広域計画