加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

「コパクト・シティ」に関する考察(その11):「日本型コンパクトシティ」と地方自治の変革

2005-11-26 00:03:18 | Weblog
 今までは「まちづくり三法」の見直しを中心として「日本型コンパクトシティ」のあり方を考えてきましたが、ここで忘れてはならないのは、地方自治を20世紀型から21世紀型へと変革しようとして進められている「地方自治構造改革」の動きとの関係です。
 「市町村合併特例法」による「平成の大合併」により、市町村の数は3,200から2006年3月で1,822へと減少することとなっています。さらに、その後制定された合併新法により、総務大臣が2005年5月に公表した合併指針に基づいて、都道府県知事が人口1万人以下の町村等を対象にして、市町村の合併の勧告ができることとされています。勧告がなされた場合は、関係町村は法廷合併協議会を作るか、議会に付議しなければなりません。
 さらに地方自治法が改正され、都道府県の合併を法律によらずに行えるようにもなりました。府県合併の先には「道州制」が控えています。地方制度調査会は、道州制に関して「法律により全国をいくつかのブロックに区分」する方向で検討が必要であると述べています。
 また、いわゆる2004年度予算から06年度予算にかけて「三位一体改革」(補助金の削減、税源移譲、地方交付税の改革)が行われており、2004年度と2005年度の予算を通じて、国庫補助負担金と地方交付税の削減は7.4兆円、税源移譲は3兆円となっています。ネットで見ると4~5兆円のマイナスとなっています。「三位一体改革」の仕上げは2006年度予算であり、その結果は12月にまとめられることになっています。
 いずれにしても、2003年6月の閣議決定においては、「3年間で国の補助金の4兆円程度の削減、代わりに行われる税源移譲に関しては、義務的経費に関しては全額を移譲するが、それ以外は8割を移譲。地方交付税に関しては、その財源保証機能を縮小する」となっていることから、地方自治体にとっては、総体としては厳しい財政運営を行っていかなければなりません。
 このために従来各自治体により推進されてきた「ニュー・パブリック・マネージメント」(NPM)により、自治体の行財政のスリム化とアウトソーシングなどによる効率化を強化していく必要があります。NPMの先にあるのは、PPP(Public Private partnership)です。この点に関して、2005年3月に総務省より出された「地方行革推進の新指針」は、「これまで行政が主として提供してきた公共サービスについても、今後は、地域においては、住民団体はじめNPOや企業等の多様な主体が提供する多元的な仕組みを整えていく必要がある。これからの地方公共団体は、地域の様々な力を結集し、『新しい公共空間』を形成するための戦略本部とな」る必要があると指摘しています。
 総括すると、「地方自治構造改革」の目指す基本方向は、三位一体改革やNPM・PPPを推進しつつ、小規模町村と府県を廃止して基礎自治体と道州の2層構造に自治体のあり方を編成することといえます。
 この場合肝心なことは、しっかりとした「一階」を持った二階建て構造をつくることであり、この面からもしっかりとした「一階」として「日本型コンパクトシティ」を実現することが求められているのです。