加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

村上ファンドは総会屋?(その1)

2005-05-31 22:16:59 | Weblog
 今日はマイケル・リントンと「地域通貨サミット」の(その2)について書く予定でしたが、31日付の日本経済新聞朝刊17面に囲み記事「村上ファンドと総会屋との差」が出ましたので急遽予定を変更して、それと大いに関係のある「村上ファンドは総会屋か?」という点について、私の考えを述べたいと思います。
 村上ファンドがホリエモンによる日本テレビ買収事件のときや、今話題となっている大阪証券取引所の株式取得を巡って話題になっていることはご存知の通りですが、98年、私が金融庁を設立する作業に携わって経済産業省に戻ったとき、彼とは課長と企画官という立場で一緒に仕事をする機会を得ました。私の歓迎会のときでしたが、企画官の彼から人生の究極の目的は自分は「マネー」であると考えているけれども、課長である私はどう思うか?という質問を受けた記憶があります。私は、「エコマネー」を提唱した直後だったこともあり、躊躇なく「優しさだと思う」と答えました。「それは、地球に対する優しさであり、人に対する優しさだ」とも補足しました。
 彼は小学6年生のときから親に100万円を与えられ、それを如何に利殖するかを実践することを教えられたといっていましたが、最近の村上ファンドの行動を見ると、まさに彼に人生観が表れているような気がしています。
 ベンチャービジネスにしても、私がシリコンバレーに滞在した92年から95年にかけて付き合った起業家は、ある種の”夢”を追いかけていました。私はそれ以来「シリコンバレー・モデル」を提唱し、ベンチャービジネス振興にもいろいろ発言してきましたが、起業家にとっても究極の人生の目標は「優しさ」ではないかと考えています。
 「マネー」と「優しさ」、皆さんはどちらが究極の人生観だと思われますか。

LETS創始者マイケル・リントンとの会話と「地域通貨サミット in EXPO 2005」(その1)

2005-05-30 23:48:18 | Weblog
 5月28日「愛・地球博」瀬戸会場にて開かれた「地域通貨サミット in EXPO 2005」にコメンテーター(第2部)とパネリスト(第4部)として出席するとともに、ゲストとして招待されたLETSの創始者マイケル・リントンと親しく会話する機会を得ました。
 彼は現在「multiple currency」というソフトを開発中とのことでしたが、それは一人の人があるときは「時間」を単位として取引し、別のときには「マネー」を単位として取引するようなシステムとのことで、e-mailのアドレスを取得すると同様に、地域通貨のアドレスを取得するもののようです。あと2,3ヶ月以内に開発が終了すると言っていました。
 実は、97年よりエコマネー、地域通貨に関して「思想・理論・実践」の三位一体の活動を展開している私がマイケル・リントンと会うのは、これが初めてのことです。今回が始めてであるのは不思議なくらい話が弾みました。それは、彼がEXPOエコマネーのシステムにかなりの関心を示したからです。彼も事前に私のことはよく研究していたらしく、休憩時間、懇親会などで向こうのほうから盛んに私をつかまえるように話しかけてきました。また、途中から北海道大学の西部助教授(彼と再会するのも久しぶりでしたが、非常に親しく会話をすることができました)も議論に加わり、かなり白熱した議論になりました。
 彼らとの会話で重要な論点となったのは、地域通貨の「持続可能性」(vaiability)ということです。リントンは、LETSであれエコマネーであれ、今のままでは通貨としての力が足りないので、上記のmultiple currencyにおいては、一定の使い方をするときに国民通貨との兌換性を認めていくというシステムにするということでした。これに対して、私は最近地域通貨、エコマネーの「第2の波」の理論を展開するに当たり、スイスのWIR銀行のように国民通貨との兌換性を認める「エコクーポン」の出現も予想しているので、今となってはこのような考え方は否定しないものの、一人の人間が兌換性のある通貨と兌換性のない通貨をうまく使いわかられるかということに関して、根本的な疑問を提示しました。
 確かにスイスのWIR銀行の場合は、中小企業間の決済においてWIRが使われる場合とスイスフランを使い場合の使い分けがされているのですが(ただしこの場合も、「欧州地域通貨会議」(2004)の報告などでは、好況期にはスイスフランがが、不況期にはWIRが使われる傾向にあるようです)、これはB2Bの取引においてです。私の疑問はC2CあるいはC2Bの取引においては兌換性を有するほうに収斂していき、結局は地域通貨の存在自体を否定することにならないかと言うものでした。彼の議論はインターネットの自立分散性を前提としているのですが、最近バラバシの『新ネットワーク思考』などにおいては、インターネットにおいても一定の条件の下では集中制、中央集権制が高まるという新しい分析がなされているのです。
 西部さんは、苫前町で商品券を循環させることに関して実証分析しているとのことでした。この前も指摘したように、商品券も地域通貨といえるので彼の方向性は私が「第2の波」で言っている一部に該当するのですが、この地域においても円は依然として流通しているわけで、このような並行通貨制が成り立つためには、(法律問題はクリアーされるとしても)通貨間の為替レートがフロートしている必要があります。為替レートが固定されていると、いわゆる「グレシャムの法則」が働き、悪貨が良貨を駆逐することになります。
 リントンも西部さんも、EXPOエコマネーに対しては相当な関心を示していました。EXPOエコマネーはCO2削減量を単位としています。これは「マネー」とは異なった価値尺度を地域通貨の単位とするもので、この前も指摘したように「二酸化炭素本位制」に道を開くものだと自負しています。京都議定書の発効で、具体的な数量目標が設定されたことがこのことを可能にしているのです。
 いずれにしても、私はリントンの試みも西部さんの試みも、私が展開している「第2の波」論においては否定していません。EXPOエコマネーのようなアプローチもあると思っています。方法論の多様性を尊重するのが「第2の波」論の大前提です。さて、このように考えてくるとこれからの地域通貨、LETS、エコマネーの前には無限の可能性が広がっているようで、楽しくなってきます。皆さん、そう思いませんか。

EXPOエコマネー来館者10万人突破

2005-05-27 22:17:06 | Weblog
 24日「愛・地球博」会場にあるEXPOエコマネーセンターの来場者が10万人を超しました。10万人目は岡崎市の主婦、川口芳美(57)さんで、博覧会協会の中村事務総長から認定証と記念品が贈られました。
 川口さんはすでに万博会場を30回以上訪れ、センターにも20回ほど足を運んだという熱心なエコマネーファンです。
 この日は、孫の三浦翔君(8)とセンターを訪れ、「びっくりした。日頃からスーパーのレジ袋を使わないなどのささやかなことをしているが、今後も行動を続けてポイントをため、エコマネーに貢献したい」と話したということです。
 このような粋なはからいをした博覧会協会に感謝したいと思いますが、私が感激したのは次のような中村事務総長のコメントです。
 「お得で楽しく、環境に優しいというのがいい。万博を機に、このエコマネー事業をさらに広げていきたい」
 エコマネーの本質をついた発言だと思いました。このようにエコマネーは万博を契機に飛躍しています。明日は「地域通貨サミットin EXPO 2005」に出席するため「愛・地球博」会場に行きますが、皆さんもこの熱気を体験してみませんか。

商品券、買い物カード、旅行券も地域通貨

2005-05-23 22:19:07 | Weblog
 前回はポイントカードがエコマネー、地域通貨であるということを指摘しましたが、今回は①プレミア付き商品券や②百貨店の買い物カード、旅行会社の旅行券も地域通貨であるという話をしたいと思います。
 前者のプレミア付き商品券は、消費者の持つ法定通貨を商店街でのみ通用するマネー(法定通貨にプレミアムを付けた金額の商品券)と交換することによって、消費者を囲い込む仕組みです。また、後者の百貨店の買い物カード、旅行会社の旅行券は、消費者が毎月一定の金額を積み立てることによって、満期にはその金額にプラスアルファした金額分の買い物カードあるいは旅行券を受け取ることができるというものです。
 この場合の商品券、買い物カード、旅行券は、発行主体が消費者に発行する一種の預金証書であり、発行主体の店舗での蜜かいるマネーとして機能しています。これらの”預金”にはプラスの利子率が付けられますが、使用期限が設けられている場合には、その期限で価値がなくなるというマイナスの利子率の仕組みも組み込まれていることになります。
 このように考えると、商品券、買い物カード、旅行券も、ポイントカード同様、消費社会における地域通貨であると考えることができます。
 ポイントカードと商品券は決済手段として使われ、買い物カードと旅行券は決済手段としてのみならず、貯蓄手段としての性格も有していることになります。
 前回のポイントカード、そして今回の商品券、買い物カード、旅行券は消費者が1回使用した段階で役割を終え、それが交換手段として何回も使われることはありません。しかし、03年2月に紙幣類似証券取締法に関して財務省が示した見解によれば、一定の条件が満たされれば、商品券を紙幣のように何回も流通させることが可能です(現に、この見解に沿って商品券を何回も流通させるしくみを作った北海道の留辺蕊町は、2千万円の商品券を10回流通させることにより、総額2億円の経済効果を生むことを期待して事業を実施しました)。
 現在のポイントカード、商品券、買い物カード、旅行券は、消費者から”預金”を集めるという銀行機能を果たしているだけですが、論理的にはこうして集めた預金を消費者への融資に回し、貸し出しという金融仲介機能を果たすことも可能です。
 現にイギリスのスーパーでは、銀行と提携して自社のポイント制度を組み込んだデビッドカード(銀行のキャッシュカードをそのまま転倒で決済に使える仕組み)を発展させましたが、後にこうしたスーパーは自前で銀行を持つにいたり、住宅ローンまで手がけることになりました。日本においては、イトヨーカドーのアイワイバンクがあるのみで、流通企業が自らの銀行機能をここまで深化させた例はありませんが、現在の日本では「Edy」や「Suica」などの電子マネーが世界一のレベルで普及しつつあるので、一挙にこうしたところが拡大する可能性を秘めています。
 こうなると金融機関が発行する地域通貨として注目を集めているスイスのWIR銀行と同じものが続々と登場することになります。

 以上、ポイントカード、商品券、買い物カード、旅行券も地域通貨といえることを考えると、今までの「地域通貨」の概念は非常に狭く、今後見直しが必要になってくることがわかります。既成概念へのチャレンジ、これも私がいうエコマネー、地域通貨の「第2の波」の大きなポイントの一つです。

ポイントカードも地域通貨、さらに電子マネーとの交換も

2005-05-22 23:27:02 | Weblog
 私はエコマネー、地域通貨の「第2の波」が始まっていると主張していますが、「第2の波」の議論の射程範囲には、今までの地域コミュニティだけではなく、消費社会の中でもエコマネー、地域通貨が登場していることが入っています。
 消費社会の新しいエコマネー、地域通貨の代表例は、ポイントカードです。近年家電量販店のポイントカードの発行が増えており(89年にヨドバシカメラが最初に導入、ヨドバシカメラのポイントカード会員は約2000万人)、航空会社(マイレージ)、百貨店、スーパー、ドラッグストアなどでも盛んにポイントカードが発行されるようになっています。
 もともとポイントカードは消費者に対する割引きやサービスという位置づけで始められたものですが、現在では、むしろ消費者の持つマネーを囲い込む手段として機能するようになっています。これを消費者のサイドから見れば、商品・サービスを購入するたびに支払い代金の一部をポイントとして企業に”預金”していることになります。
 この意味で、ポイントカードは企業が消費者に対して発行するいわば預金証書ということになります。企業はポイントカードを発行する際に消費者から預金を集めているという形態になっているわけで、この点では銀行に類した機能を果たしていることになります。
 通常、ポイントには有効期限が設けられていますが(たとえば、1年以内に再びその店舗で購入しない場合は、それまでに蓄積したポイントが無効になるなど)、これはポイントがある時点に達するとゼロになるという仕組み(従来の地域通貨論に即していえば、マイナス100%の利子)が組み込まれた預金ということになります。
 消費者はこうしたマイナス利子付きの預金をもたされることによって、それを無効にしないため繰り返しその企業の店舗を訪れ、ポイント単独あるいはポイントと法定通貨を併用することで別の商品・サービスの購入をしています。こうした仕組みで消費者のマネーを囲い込み、それを自社に還流させようとするのが、今のポイントカードの役割となっているのです。
 これは、いわば消費社会におけるエコマネー、地域通貨です。
 さらにポイントカードについて注目される最近の動きは、①複数企業の間でポイントを共通化しようという動きが活発になっていることと、②ポイントをより汎用性・流通性の高い電子マネーに交換できる仕組みが登場していること、③異なる企業が発行したポイントを相互に交換できるウェブサイトが登場していることです。
 ①の例としては、カンチャ・コンビニエンス・クラブとローソン、JCBカード、UCカードとUFJカード、楽天とDCカード、UFJカード、オリエント・コーポレーションなどが代表的なものです。
 また、②に関しては全日空(ANA)が活発な動きを見せています。全日空は03年6月からマイレージをソニー系のビットワレットが運営する電子マネー「Edy」に交換できるサービスを開始しています。マイレージを「Edy」に交換できるだけでなく、逆に「Edy」を使った買い物でもマイレージをためることができるようになっています。さらに、全日空は03年8月からは、一部の百貨店や商店街と提携し、「Edy」に交換したマイレージを買い物で使えるようにしています。
 さらに、③についてはGプラン(博報堂などが出資)が運営するGポイントネットワークにおいては、異なる企業が発行するポイントをGポイントを解して交換できるサービスを提供しています。
 このような①ポイントの共通化、②ポイントと電子マネーとの交換、③ポイントの相互交換といった動きは、ポイントのマネーとしての機能がますます高まっていることを示しています。
 これは、消費社会のエコマネー、地域通貨の互換性の拡大と捉えることができます。
 今の私の関心は、従来の地域もミュニティを前提としてエコマネー、地域通貨の動きと、新しく登場して大いに拡大している消費社会のエコマネー、地域通貨の動きがどこかで接点を持ってくるのではないかということです。以前触れた商店街のポイントがその接点にいるのではないかと考えているのですが、皆さんはいかがでしょうか。

まちづくり三法の見直しとポイント・エコポイントの連携

2005-05-20 22:31:20 | Weblog
 皆さん、「まちづくり三法」という3つの法律(中心市街地活性化法、都市計画法、大店立地法)の抜本的な見直しが行われようとしていることをご存知ですか。われわれの生活空間である”まち”を「コンパクトシティ」というコンセプトでリードしようという今までのまちづくりを一変する改正が行われようとしています。この夏に審議会の答申、来年の法律改正というスケジュールになっています。
 今までの議論では、①都市機能の集約化、②郊外の開発抑制の強化、③TMO(タウンマネージメント・オーガニゼーションというまちづくりの中核的組織)の活性化の3つが柱となっています。
 5月16日付の朝日新聞朝刊一面トップに、空洞化が深刻な地方と市中心部へ人を呼び戻すため、国土交通省が「街なか居住再生ファンド」(市町村が定める地域に50戸程度の賃貸マンションを建てる場合、総事業費の3割を上限に出資する。当初25億円でスタートし、5年後をめどに300億円まで増やす計画)をこの6月に設立することを決めたという報道がなされましたが、「まちづくり三法」の見直しと「街なか居住再生ファンド」の設置は、中心市街地にある商店街の機能を大きく変化させるに違いありません。
 この点に関して、従来より私は、これからの商店街は商品・サービスを売るだけの「物売りゾーン」から福祉、子育て、公共サービスの提供などを含めた「複合サービス提供ゾーン」へと変貌しなければならないと主張してきましたが、その変貌が加速化されることになるでしょう。
 ここで問題となるのは、商店街に対する住民のニーズが大きく変化することであり、これからの商店街の活性化は、従来の販促ポイントやスタンプだけではなく、住民の商店街などに対するボランティア・サービス(商店街の美化、集客イベントへの参加・協力、放置自転車の撤去など)に対して交付されるエコポイントを最終的に商店街で割り引くようにすることによって、可能となるということです。
 現在、私は従来の販促ポイントやスタンプとエコポイントを連携したシステム(情報ネットワーク活用)の構築を考えていますが、これにはEXPOエコマネーのシステムがプラットフォームになると考えています。これは新しい日本的な地域通貨の本格的な登場であり、ポストEXPOエコマネー事業の大きな柱になるものと確信していますが、皆さんはどのような感想をお持ちでしょうか。

北九州市の「環境パスポート」の行方

2005-05-19 07:26:02 | Weblog
 前回は新潟県三条市の「らて」でしたが、今回は4月28日に訪問した北九州市の「環境パスポート」に関してです。北九州市は昨年度総務省の住民基本台帳カードのシステムを活用した実験を行いました。わずか2ヶ月の実験に(千人以上が参加したということですが)7千万円(一説には1億円)の予算を投下し、「環境パスポート」という名前のエコポイント事業を実施しました。
 私が北九州市と実施を担当したNPOの説明を受けながら感じたのは、システムの重たさです。私からEXPOエコマネーの情報システムは非常に軽やかに作ってあり、かけた予算もわずか5千万円であること、次第にEXPOエコマネーに対する関心は高まっており、現在ではEXPOエコマネーセンターに来場する人の数も1日に2千人を超すようになってきたことなどを説明すると、驚いていました。
 EXPOエコマネーの情報システムは、いってみればオープン・プラットフォームであり、万博終了後は北九州市のような自治体とNPOが組んでアプリケーションを展開するところにも、OSとして提供可能です。千葉県の市川市も同様の実験を昨年度行っているのですが、事情は北九州市とほぼ同様です。
 私としては、もっと軽やかなシステムの作りこみを各自治体が目指していってほしいものだと思っています。

新潟県三条市のエコポイント「らて」の行方

2005-05-17 21:57:14 | Weblog
 皆さんへの報告が遅くなりましたが、4月19日に新潟県三条市を訪問し、エコポイント「らて」の実情をつぶさに見てきました。ここは日本でも数少ない事例である市がエコポイント「らて」を発行し、運営をNPOに委託しているという公民パートナーシップの下で地域通貨の発行・管理が行われているものです。市長のリーダーシップとそれを実現している市役所職員の石黒さん、そして専任スタップ15人(うちエコポイント担当2人)を有するNPO「たすけあい三条」の皆さんの情熱で動いているという実感を持ちましたが、他方、皆さんからお話をお聞きする中で、①いまだ市民の認知度が少ない、②「らて」は一方的に発行されることが多く、地域の相互扶助、地域経済の中で循環していないこと、③地域の商店街との連携がなされていないなどの問題点も浮かび上がりました。
 今回全面改訂したホームページに大いに強調してあるエコマネー、地域通貨そしてコミュニティビジネスの「第2の波」は、これらの問題点を解決する新しい世界を提案しているものです。今までの地域通貨論が陥りがちな「陥穽」も的確に指摘しているつもりです。皆さんにはその点について、ご批評をいただきたいと思っています。
 三条の皆さんには今後良きパートナーとして全面的にサポートするとともに、お互いに悩みながら理想形に近づいていこうというお話をしてきました。「第2の波」に移れるポテンシャルを有した地域を発見した喜びとともに・・・・・・・。
 次回は、4月28日に訪問した北九州市の「環境パスポート」(電子エコマネー)についてご報告します。

愛・地球博訪問記(その1)

2005-05-15 10:43:18 | Weblog
 13日、14日と愛・地球博を訪問してきました。訪問目的は中村事務総長以下の博覧会協会関係者との打ち合わせにありましたので、パビリオンを見る余裕はあまりなかったのですが、それでもEXPOエコマネーセンター(EXPOエコマネーの発行と植林・景品などとの交換とともに、EXPOエコマネーの趣旨説明を訪問客に対して行っている)、エコリンク(環境省が地球温暖化をはじめとする環境問題について、さまざまなコーナーを設けて環境啓発するセンター)、地球市民村(世界のNGOのセンター)を訪問してきました。
 特にEXPOエコマネーセンターでは、「エコデザイン市民社会フォーラム」の会長としてスタッフの方々10人程度と意見交換する機会を得て、皆さんが熱心に1日2、3千人程度の訪問客と対応する際の苦労談や面白い話などを聞かせていただきました。EXPOエコマネーに関しては、次第にプレスなどでの報道が増えるとともに、福井総裁(日銀)、神田知事(愛知県)などの要人も関心を持って訪問していただけるようになってきています。皆さんも愛・地球博を訪問する機会があれば、是非EXPOエコマネーセンターに立ち寄ってみてください。
 私が強く感じたのは、今かなり距離が置かれて設置されているEXPOエコマネーセンターとエコリンクが併設されていたら、かなりなシナジー効果が発揮されていたのではないかということでした。今、環境省は京都議定書目標達成のため国民運動を展開しているのですが、今後国民運動を展開する拠点を各地に設置する際には、EXPOエコマネーセンター的なものとエコリンク的なものの併設を検討すべきだと思いました。
 5月26日から28日にかけて、再び愛・地球博を訪問することになっていますので、また情報発信したいと思っています。

二酸化炭素本位制の芽生え

2005-05-12 07:04:56 | Weblog
 EXPOエコマネー(http://eem.jp/)の単位は、CO2削減量です。レジ袋一袋あたりCO2を100g削減したとしてポイントを付与します。2月16日から京都議定書が発効し、日本は90年比実質14%削減の義務を負うこととなりました。これは非常に達成が難しい目標です。
 われわれは1日当たり7,000gのCO2を排出しているのですが、多くの人々は自分のこととは認識できず、誰かが達成してくれると考えているのではないでしょうか。
では、CO2100gを1エコとしてカウントし、楽しく削減できるEXPOエコマネーのような仕組みを考えてみたらどうでしょうか。
 CO2100g=1エコとすると、1ペットボトル=1エコ、1牛乳パック=2エコ、1アルミ缶=2エコ、生ごみ1kgを土に埋める=8エコ、ハイブリッドカーに乗り換える=1日当たり22エコなどどカウントすることができ、これを単位として一人一人のCO2削減量をパソコン、携帯などの画面上で可視化するとともに、インセンティブとなるポイントを与えるな仕組みです。
 今までは「お金」がすべての尺度でした。これからは、CO2が別の尺度となる予感がしています。皆さん、このような考えはどうお考えですか?

上勝町のコミュニティビジネス

2005-05-10 23:31:04 | Weblog
 徳島県、上勝町。皆さん、この町をご存知ですか?

 人口2千人。高齢化率45%。徳島空港から車で1時間程度かかるこの山間僻地を訪問してきました。この町は、高級料理店に出荷する「はっぱビジネス」として年商4億円。構造改革特区、地域再生計画、環境省の交付金などの国の制度をフルに活用したしたたかな地域づくり。

 なぜ、このような小さな町でこんなに活力あふれるまちづくりができるのか不思議でしかたがなかったのです。私が目指す「新しいコミュニティ・ビジネス」にヒントを与えてくれるのではないかとも予感していました。
 予感はまさに的中しました。

 ここの活力(寝たきり老人は一人しかいない。みんな生き生きしていて敬老会の写真を取っても、誰が老人なのか判別できないほど顔につやがあふれている。最近は、若者のUターン、Iターンが盛ん)は、従来のコミュニティビジネス論では捉えられない「地域再生ビジネス」というべきものでした。コミュニティビジネス論では捉えられない「地域再生ビジネス」とは何でしょうか。
 その秘訣を私なりに整理すると
ー日本全国に及ぶ市場(青果市場)開拓
ー非市場の「はっぱ」を市場と結びつける仕組みづくり
ー高齢者の参加意欲の向上(発注に対して1時間以内に対応したものの早い者勝ち。月に100万円以上も稼ぐ高齢者もいる)
ー行政の資源(防災無線を発注情報連絡用として活用)をフルに活用
ー町の機能の株式会社化(ここだけで5つの3セク株式会社を有する)
ー「ゼロ・ウェイスト」などの世界的な情報発信(そのためNPOも設立されています)
ーキーパーソンの存在、などです。

 なんと、ここでもエコマネーの活用が検討され、すでに実験が行われたとのこと。何か、わくわくするような気分で帰ってきました。近日中に「地域再生ビジネス」の実践論をまとめようと思っています。 

 乞うご期待ください!


5月4日「天空座敷」におけるEXPOエコマネーのプレゼン

2005-05-03 22:37:30 | Weblog
 加藤です。明日5月4日16時から18時まで、東京港区の六本木ヒルズの40階(2日から5日まで行われている「天空座敷」イベントの一環)で「愛・地球博」の大アピールショーが開催されます。
 私がコーディネーターとなり、EXPOエコマネー(http://eem.jp/)や全国800にまで広がったエコマネー、地域通貨の動向などをお話し、愛・地球博「市民プロジェクト」プロデューサーの小川さんから235の市民プロジェクトの紹介がなされ、環境省地球温暖化対策課長の清水課長から4月29日に閣議決定された「京都議定書目標達成計画」の説明、NPOサステナ代表のマエキタ・ミエコさんから「キャンドルナイト」(夏至の日に消灯する草の根の運動)の経験などを踏まえた市民力の話がなされることとなっています。「愛・地球博」会場からネット中継もなされることになっています。
 私が、まず皆さんと考えたいことは、市民力を活用してCO2をいかに削減することができるか、京都議定書の義務である90年比14%の削減を達成するためには、どのようにすればライフスタイルを変えることができるかということです。
 それから、235もの数の市民プロジェクトを社会を変える”真の市民力”として発展させることができるか、そのためにはブログを活用したネット上の「グローバル・ダイアローグ」の仕組みなどを考える必要があるのではないかということです。
 今回のイベントはEXPOエコマネーが本格的に全国レベルで紹介されるはじめての機会となります。日本経済新聞社も取材に来ることになっています。これからEXPOエコマネーや私が唱えるエコマネー、地域通貨の「第2の波」をどんどんアピールしていきたいと考えています。

ご挨拶

2005-05-02 16:22:52 | Weblog
皆さん、こんにちは 加藤敏春です。

『エンデの遺言』以来ある種のブームが起こり、エコマネー、地域通貨が今や全国で約800も導入されています(世界全体では約5000、日本は世界一のエコマネー、地域通貨導入国)。しかし、これからは「第1の波」(2000年から2005年)が終わり、「第2の波」(2005年以降)へとエコマネー、地域通貨をめぐる時代環境は大きく変化しつつあります。
 その転機に登場しているのが「愛・地球博」(21世紀初の万博、121カ国の参加、1,500万人以上の来場者)で活用されているEXPOエコマネーです。これからは、国際的な情報発信も積極的に行っていきます。
 5月9日にはホームページ(http://www.ecommunity.or.jp/)の内容も一新し、私の新しい活動や私が代表をつとめる「エコミュニティ・ネットワーク」がこの1月から「NEWエコミュニティ・ネットワーク」として再出発している様子もご覧いただけます。
 これから「第2の波」を向かえているエコマネーについて皆さんと語り合いつつ、将来を展望していけたらと考えております。
 
どうぞよろしくお願いいたします。