加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

ライブドア事件のインパクト:アメリカのエンロン事件との対比

2006-04-14 00:13:23 | Weblog
 昨日ライブドア株式上場廃止となりましたが、改めてそのインパクトを振り返ってみたいと思います。
 ライブドア事件の構成要件としては、別組織を利用した利益の付け替え、本体の粉飾決算などで、01年から02年にかけて破綻したアメリカのエンロンやワールドコムがやりつくした手法と類似しています。
 エンロンやワールドコム事件に関しては、当時日本においても新聞、書籍などで取り上げられましたが、規模においてライブドア事件とは比べ物にならないくらい大規模な不正でした。ライブドアが起訴の対象になった粉飾決算の金額は50億円程度ですが、エンロンの場合は約10億ドル(約1200億円)もの規模です。
 ただライブドア事件については、相対的に規模が小さくても日本の足元で起こったこと、事件が報道された直後東京証券取引所の取引がパンク寸前の状態になったこと、そして「市場の規律」を構築することが急務であることを実感させたという点において、通常の経済犯罪とは一線を画するインパクトのあるものだと言えると思います。
 この点に関して、05年12月金融庁は「日本版SOX法」の制定に向けた土台となる基準案文書を公表しました。SOX法というのは、アメリカのエンロンやワールドコム事件後制定されたサーベンス・オクスリー法のことで、会計不祥事やコンプライアンスの欠如などを防止するために内部のガバナンスの強化、外部監査の義務付けなどを内容としています。若干遅れた感は否めないのですが、「日本版SOX法」の法制化が進もうとしています。

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