これから何回かに分けて、インターネットの今後の展開、通信と放送の融合のあり方など「日本の情報経済・社会」のあり方について考えてみたいと思います。
今回は産業技術の側面から日本社会を展望してみたいと思います。明治以来、特に戦後の産業技術の発展は、外国の優れたアイデアや技術を取り入れ、日本流にさらに良いものに仕上げていく「日本化能力」によって達成されてきました。
戦後の産業発展を考えただけでも、鉄鋼、化学、自動車、半導体など、すべてこの「日本化能力」によってやがては世界をリードするようになって来ました。では、今この「日本化能力」は機能していると考えるべきなのでしょうか。それとも、先進国へのキャッチアップが終わった段階で、もはや機能しなくなったと考えられるのでしょうか。
まず忘れてはならないのは、この「日本化能力」は2000年の歴史を経て形成されてきたものだということです。平安時代以来の象徴天皇制による権力の集中の排除とバランスを重視する社会体制、信頼を何よりも重視する行動規範など、日本人の特質は一朝一夕に出来上がったものではありません。その点から言うと、「日本化能力」そのものが急激に劣化するということは考えにくいのです。
しかし今、従来の「日本化能力」では対処しにくい分野が世界のリーディングインダストリーとして立ちはだかってきています。それは、世界で起こっている最大の潮流である「インターネット革命」です。例えば、04年秋に米国ナスダックに上場したインターネット検索サイトであるグーグル社一社の株式時価総額は10兆円超に上っています。これは、アメリカの自動車会社ビッグスリーの株式時価総額合計に匹敵します。
2005年はインターネット10周年の年でした。95年にインターネットの商用利用が本格化し、ヤフー、アマゾン・コム、eベイなどが創業されました。その後2000年には日米ともに厳しいITバブルを経験しましたが、それから5年以上が経過し、再び市場の期待が膨らんできました。
05年はその期待にどう応えようとするかという点において、日米の違いが如実に現れた年でした。今や問題は明らかです。インターネットの分野で「日本化能力」を発揮できるかどうかです。次回はそのことを考察してみたいと思います。
今回は産業技術の側面から日本社会を展望してみたいと思います。明治以来、特に戦後の産業技術の発展は、外国の優れたアイデアや技術を取り入れ、日本流にさらに良いものに仕上げていく「日本化能力」によって達成されてきました。
戦後の産業発展を考えただけでも、鉄鋼、化学、自動車、半導体など、すべてこの「日本化能力」によってやがては世界をリードするようになって来ました。では、今この「日本化能力」は機能していると考えるべきなのでしょうか。それとも、先進国へのキャッチアップが終わった段階で、もはや機能しなくなったと考えられるのでしょうか。
まず忘れてはならないのは、この「日本化能力」は2000年の歴史を経て形成されてきたものだということです。平安時代以来の象徴天皇制による権力の集中の排除とバランスを重視する社会体制、信頼を何よりも重視する行動規範など、日本人の特質は一朝一夕に出来上がったものではありません。その点から言うと、「日本化能力」そのものが急激に劣化するということは考えにくいのです。
しかし今、従来の「日本化能力」では対処しにくい分野が世界のリーディングインダストリーとして立ちはだかってきています。それは、世界で起こっている最大の潮流である「インターネット革命」です。例えば、04年秋に米国ナスダックに上場したインターネット検索サイトであるグーグル社一社の株式時価総額は10兆円超に上っています。これは、アメリカの自動車会社ビッグスリーの株式時価総額合計に匹敵します。
2005年はインターネット10周年の年でした。95年にインターネットの商用利用が本格化し、ヤフー、アマゾン・コム、eベイなどが創業されました。その後2000年には日米ともに厳しいITバブルを経験しましたが、それから5年以上が経過し、再び市場の期待が膨らんできました。
05年はその期待にどう応えようとするかという点において、日米の違いが如実に現れた年でした。今や問題は明らかです。インターネットの分野で「日本化能力」を発揮できるかどうかです。次回はそのことを考察してみたいと思います。