「老後」における子どもとの同居・別居の希望は? ~ 同居27.1%、別居49.3%

2014-09-15 20:48:16 | 日記
先のブログ記事の続編。先月29日に厚生労働省が発表した『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』では、老後生活における子どもとの同・別居についての調査結果が掲載されている。

特に驚くことではないが、案の定、子どもとの同居希望が減少傾向にある(資料1)。ただ、子どもと同居したくのは、子どもと一緒に暮らしたくないのではなく、子どもの方が親と一緒に住みたいと思っていないことを慮った結果なのかもしれない。或いは、自分たちが若い頃には親と一緒に同居したくなかったからかもしれない。それぞれの理由はここでは明らかではないが、そのように想像してしまう。

具体的には、現在子どものいる者について、老後に子どもとの同居を希望する者は27.1%。過去の調査結果と比べて減少傾向にあることがわかる。同居を希望する者の内訳は順に、条件なしで「同居したい」とする者が15.7%、「元気なうちは別居し、病気になったら同居したい」が6.7%、「配偶者がいなくなったら同居したい」が4.7%。別居については順に、「子どもが近くにいれば別居でもよい」が38.3%、条件なしで「別居したい」が11.0%となっており、合計49.3%と約半数。

年齢階級別では、同居を希望する者の割合は、40歳代が最小で、70歳以上が最多(資料2)。49歳以下では比較的少ないのは、自分ないし自分の家庭での家事・育児などで精一杯だからというのもあろう。



<資料1>

(出所:厚生労働省『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』)


<資料2>

(出所:厚生労働省『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』)

4人に1人が65歳以上、8人に1人が75歳以上 ~ 高齢化と長寿化はまだまだ進む・・・

2014-09-14 19:25:44 | 日記
今日のNHKニュースなどで既報の通り、65歳以上の高齢者は3296万人と過去最多を更新し、75歳以上の高齢者の割合は12.5%になったとのこと。

≪報道要旨≫
・総務省が今月15日現在で推計。
・65歳以上は3296万人、過去最多更新。総人口に占める割合25.9%、過去最高。男性1421万人、女性1875万人。
・75歳以上が1590万人、総人口に占める割合12.5%と、初めて8人に1人が75歳以上。
・去年の高齢者就業者数636万人、10年連続増加して過去最多、15歳以上の就業者総数に占める割合10.1%と過去最高更新。

(出所:NHKニュース

1947~49年(昭和22~24年)生まれの「団塊の世代」が今年内に65歳以上となる。65歳以上は4人に1人、75歳以上は8人に1人となる。75歳以上は後期高齢者と定義されているが、この言葉はさておき、高齢化社会が急速に進んでいることは周知のことだ。

今後はこうした高齢者に加えて、長寿化も進んでいくものと見込まれる。平成26年9月1日現在の住民基本台帳による都道府県・指定都市・中核市からの報告数として、100歳以上の高齢者の総数は58,820人(うち、女性は51,234人(約87%))になった。これに関しては、先のブログ記事を参照されたい。

高齢者人口も、総人口に占める高齢者人口の割合も、比較可能なデータのある50年以降で増加を続けている。国立社会保障・人口問題研究所によれば、65歳以上の高齢者の割合は24年に30%を突破し、35年には33.4%になると見通されている。日本社会は今後ますます、少子化と高齢化に加えて、長寿化も進んでいく。

こうした長寿高齢社会で求められる政策運営は、適切な財政運営に他ならない。これは、緩やかに進む国家的危機への対応である。高齢化かつ長寿化が更に進むことを前提とすれば、現行制度のままでは、収入(財源)に比べて支出(社会保障費)は増えていく。だから、収入増と支出減を併行させていくしかない。

この場合、収入増は消費税率引上げにより、支出減は高齢者向け社会保障費の削減により、それぞれ実現していくしかない。それ以外に、日本経済社会の持続可能性を維持させながらの妙案は、今のところ見当たらない。


待機児童数が減らない理由 ~ “認可保育所の待機児童数”という数え方を修正すべし

2014-09-13 00:18:59 | 日記
厚生労働省が昨日発表した「保育所関連状況取りまとめ(平成26年4月1日)」の概要は次の通り。

(1)保育所定員:234万人(前年比4万7千人増)
(2)保育所利用児童数:2,266,813人(前年比47,232人増)
  ・3歳未満が31,184人増、3歳以上は16,048人増
(3)待機児童数:21,371人
  ・この1年間で待機児童数は1,370人減
  ・待機児童のいる市区町村は、前年から2減少して338
  ・100人以上増加したのは、世田谷区(225人増)、大田区(175人増)、熊本市(139人増)など6市区
  ・100人以上減少したのは、福岡市(695人減)、川崎市(376人減)、名古屋市(280人減)など9市区町

これに関して、共同通信ネット記事では、次のように報じている。

・保育所整備が進み、これまで入所をあきらめていたり、新たに働くことにしたりした母親らの希望が増えた。
・同省担当者「潜在的な待機児童が表に出てきた」と。潜在的な待機児童は数十万。

このブログや別の寄稿でも提言してきたが、待機児童の数え方を最大限見積もるような算出方法を確立しないと、待機児童対策はいつまで経っても有効なものにはならないだろう。私が複数の方法で概算出しただけでも、潜在的な待機児童数は100万~300万人台に上る。

下の資料1~2は、厚労省による待機児童数の推移などを記したもの。待機児童問題が認可保育所に申し込んだ者だけの問題で、かつ、都会問題の一つとしてしか捉えられていないことが、年金・医療・介護なども含めた社会保障政策の中で待機児童対策が大幅に劣後している原因とも考えられる。

このような政治的事情にかかわらず、政府主導において、社会保障財政の配分について、高齢者向け予算の幾分かを子ども子育て予算に振り合分けていくことが必要だ。それこそが若年層など現役世代向けの『社会保障制度改革』の大きな柱となり得る。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

100歳以上の高齢者の総数は58,820人 ~ 喜ばしいのかどうかは『健康長寿化』かどうか・・・

2014-09-12 14:20:04 | 日記
今日の厚生労働省発表によると、平成26年9月1日現在の住民基本台帳による都道府県・指定都市・中核市からの報告数として、100歳以上の高齢者の総数は58,820人(うち、女性は51,234人(約87%))とのこと。

因みに、100歳以上の高齢者の数は、老人福祉法が制定された昭和38年には全国で153人だったが、昭和56年に1000人を超え、平成10年に1万人を超えた。平成24年に5万人を超えた。今年(平成26年)は、上記のように58,820人(前年比+4,423人)に上った。これまでの年次推移や都道府県別の状況は下の資料1・資料2を参照されたい。

長寿であることは喜ばしいことである一方で、このまま順調に高齢化が進んでいくと仮定した場合における健康寿命と平均寿命の関係を心配してしまう。このブログでも何度か書いているが、単なる長寿化ではなく、『健康長寿化』のための環境作りが必須である。先のブログ記事にも書いたことだが、平均寿命と健康寿命との差は平成22年で男性9.13年、女性12.68年であるが、これをいかにして縮めていくかということだ。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料


「老後」の収入は何に頼るか? ~ 「公的年金」が59.5%、「本人の就労による収入」が16.7%

2014-09-11 22:06:05 | 日記
先のブログ記事の続編。先月29日に厚生労働省が発表した『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』では、老後の収入源として頼りにするものに関する調査結果が掲載されている。

最も頼りにする収入源は、「公的年金」が最多で59.5%、次いで「本人の就労による収入」が16.7%、「貯蓄または退職金」が8.0%と続いている(資料1)。これを年齢階級別で見ると、いずれも「公的年金」が最多で、次いで「本人の就労による収入」の順となっている。ただ、年齢が若いほど、「本人の就労による収入」の割合は「公的年金」の割合に近くなっている(資料2)。年齢が若ければ若いほど、公的年金への実感が湧いてこないからだろう。

尚、老後の生計を支える手段について、1番目に頼りにするものと2番目に頼りにするものの組合せについて、「公的年金」と「貯蓄または退職金の取り崩し」を選択した者の割合が25.3%と最多で、次いで「公的年金」と「自分の就労による収入」を選択した者の割合が9.5%となっている(資料3)。

少子高齢化が進んでいくので、「公的年金」の受取り総額は後世代になるほど少なくなると見込まれる。受給開始年齢の引上げや年金支給額の減額が想定されるからだ。年金が「老後」の安全網であると政府が喧伝し続けるならば、自分たちで貯蓄しておくよう国民を誘導しておく必要がある。年金受給額が少ないために生活保護で補填する部分が多くなるようなことは、極力回避していくべきだ。



<資料1>

(出所:厚生労働省『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』)


<資料2>

(出所:厚生労働省『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』)


<資料3>

(出所:厚生労働省『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』)

保育所・幼稚園 ~ ようやく事故データベース整備へ

2014-09-10 16:37:10 | 日記
今日の日本経済新聞ネット記事によると、政府は保育所や幼稚園で子供が死亡したり大けがしたりする事故の防止策をつくる検討を始めたとのこと。


<記事要旨>
・来年度から保育所や幼稚園は、事故発生時の市区町村への報告が義務化。
・データベース化するのは死亡などの重大事故。
・性別や発生場所、詳しい状況の情報を集める方向だが、個人情報保護の観点からどこまで公表するのが適当かを検討。
・第三者機関は運輸安全委員会などの制度を参考に事故検証の在り方を考える。
・事故予防のガイドラインや事故の公表ルールも協議。


先のブログ記事などで書いたように、保育施設での不慮・不幸な事故を一件でも少なくしていく教訓を得るためにも、国全体としてのデータベースと再発防止策の整理が必須である。そうした危機管理面については、政府大では今まで手を付けてこなかった。

今回、上記の日経新聞記事にあるような方向で政府が検討を始めることは、遅きに失した面はあるにせよ、前向きなことと評価できる。厚生労働省が公表している直近の『保育施設における事故報告集計』によると、昨年1年間の報告件数は162件(認可保育所139件、認可外保育施設23件)、うち死亡の報告は19件で0歳と1歳(それぞれ8名)が最多、事故発生場所は園内(室内)(78名)が最多。

尚、事故発生後に当該事故発生施設で業務上で過度な委縮が起こったり、要らぬバッシングが起こったりしないようにしていく仕組みも併せて検討されるべきだ。非常に難しいことではあろうが、無用な待機児童を増やさないためにも、徒な不安の増幅を招かないための行政の役割は重要である。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

離職率理由の最多は「結婚・出産・育児」など ~ 平成25年雇用動向調査結果

2014-09-09 23:36:03 | 日記
厚生労働省が本日発表した『平成25年雇用動向調査結果の概況』によると、昨年の入職率、離職率などの調査結果のポイントは次の通り。

(1)入職率、離職率
 ・入職率(年初の常用労働者数に対する入職者数の割合):16.3%(前年比1.5ポイント上昇)
 ・離職率(年初の常用労働者数に対する離職者数の割合):15.6%(前年比0.8ポイント上昇)
  →0.7ポイントの入職超過(前年は同率)、6年ぶり入職率超過
 ・離職理由別の離職率:「個人的理由」(「結婚」、「出産・育児」、「介護・看護」など)10.8%(前年比0.5ポイント上昇)、「事業所側の理由」(「経営上の都合」、「出向」など) 1.1%(前年比0.1ポイント上昇)

(2)転職入職者の賃金変動状況
 ・転職後の賃金が前職に比べ「増加」31.8%(前年比0.5ポイント低下)、「減少」33.8%(前年比3.4ポイント上昇)

入職率・離職率の推移を見ると、平成11年以降は、平成19年を除いて離職超過で推移してきた(資料1)。6年ぶりに入職率が超過したことは、マクロで見ればアベノミクスの効果として挙げられるだろう。このうち離職理由別離職率については、「結婚」、「出産・育児」、「介護・看護」などの「個人的理由」が突出して高く推移してきていることがわかる(資料2)。

「結婚」、「出産・育児」といった女性にとって大事なイベントが、女性の就労環境面での隘路になってはならない ―― 現政権が『女性の活用』を指向する政策を多く打ち出そうとしているのは、政治的理由はさておき、政策的理由はそういう考え方に依るものだ。「介護」を理由とする離職率に関しては、35~39歳と40~44歳ではパートタイム労働者の離職率が高くなっており、45~49歳以降では一般労働者、パートタイム労働者とも、離職率が高くなっている(資料3)。

介護は他人任せにすることが何ら咎められない世の中になっていくことが求められている。介護保険法は、そうした理念に基づいている。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料


<資料3>

(出所:厚生労働省資料

「老後」の働き方は? ~ 「日数や時間を減らしたい」が5割超、「働かずに過ごしたい」が3割弱

2014-09-08 17:51:37 | 日記
先のブログ記事の続編。先月29日に厚生労働省が発表した『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』では、老後の生活感などに関して様々な興味深い調査結果が掲載されている。

何歳まで働きたいかという就労希望年齢ついて、全体では、「65歳まで」27.3%、「60歳まで」19.6%、「70歳まで」17.6%の順で比較的高い割合となっているが、「生涯働き続けたい」は7.7%しかいない(資料1)。年齢階級別では、「65歳まで」と「70歳まで」が比較的高い割合となっている(資料2)。先のブログ記事でも書いたように、日本では男・女の平均寿命がそれぞれ80歳・86歳、健康寿命がそれぞれ70歳・74歳であることを考えると、決して現実離れした調査結果ではないだろう。

老後の働き方を希望するかについては、「日数や時間を減らしたい」が53.2%と5割超であり、「現役と同じ」は5.6%となっている(資料3)。もっとも、若年労働者を始めとしたいわゆる定年前の現役世代にしてみたら、老後世代が現役世代と同じようにフルタイムで働かれるとたいそう困ることになる。「働かずに過ごしたい」が27.3%と3割弱しかいないことを喜ぶべきかどうかは、健康寿命と平均寿命の差がどうなっていくか等、諸々の要素で自ずと決まっていくはずだ。



<資料1>

(出所:厚生労働省『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』)


<資料2>

(出所:厚生労働省『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』)


<資料3>

(出所:厚生労働省『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』)

「老後」の不安は何か? ~ 若年層は「生活費」、高齢層は「健康」・・・

2014-09-07 21:09:40 | 日記
先のブログ記事の続編で、年齢階級別にみた老後において最も不安に感じるものは何かという調査結果が、『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』に掲載されている。

下の資料にあるように、老後において最も不安に感じるものは、「健康の問題」(45.7%)と「生活費の問題」(35.1%)で大多数を占めており、「住居」や「家族とのつながり」、「生きがい」などは少ない。これは年齢を問わない全体でのことだが、年齢階級別では老若で分かれる。若年層では「生活費の問題」の割合が多いが、高年齢層では「健康の問題」の割合が多い。

高齢層で「生活費の問題」への不安が比較的少ないのは、年金の水準がまだそれほど低くないからではないだろうか。この既得権は今後、若年層が高齢層に移行していくに従って縮小していく。年金不安の根底には、人口構成の変遷見通しが大きく関係している。

高齢層で「健康の問題」が最も不安視されるのは仕方ないことだ。高齢層の政治参加度が若年層のそれよりも相当高いことが、医療費の抑制・削減への政治力を弱めているのだろう。高齢層の「健康の問題」が大事なことであることは重々承知しつつも、日本国の持続可能性を維持・向上させる観点からは、この両者を天秤にかける政治的発想が顕在化していく必要がある。

後者を優位とする判断をした場合には、子ども子育て支援を含めた若年層への財政配分を手厚くし、そのために高齢層向け財源から所要財源を転用することになる。前者を優位とする判断をした場合には、今の傾向の延長線上でしかなく、国力が弱まることを許容せざるを得ない。見通しは明るくないといういか、今のままではお先真っ暗である。



<資料>

(出所:平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書

「老後」は何歳からか? ~ 若年層は「60歳から」、高齢層は「80歳から」も・・・

2014-09-06 23:33:35 | 日記
先のブログ記事の続編で、老後は何歳からなのかという話 ―― 厚生労働省が先月29に発表した『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』では、「何歳から老後か」という視点から行った調査結果が掲載されている(資料)。

結果は下の資料の通りで、「70歳から」が32.0%、「65歳から」が28.6%で比較的多い。年齢階級別では、若い世代では「60歳から」の割合が多くなっており、高年齢層では「75歳以上」や「80歳以上」の割合が多くなっている。人間の気持ちとしてはそうなのだろうと、何となく納得してしまう結果ではないだろうか。

政策的な観点で「何歳から老後か」を考えると、少子高齢社会であればあるほど、社会保障サービスを施すべき「老後」はなるべく遅い方が良いとなりそうだ。だが一方で、経済見通しを踏まえると、高年齢層が現役世代の席を譲らないことによる後々への弊害も考慮しておかないといけなくなる。

突き詰めると、先のブログ記事別の寄稿で書いたように、健康寿命の延伸をどこまでできるかにかかっている。生産性を維持していくか、或いは生産性の低下を極力緩やかなものしていくには、国内的にはもちろん、国際的にも通用する高齢者を育成していく必要がある。その土台となるのが健康寿命の延伸であることは間違いない。



<資料>

(出所:平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書

「老後」とは何か? ~ 5割以上が年金受給生活をイメージ

2014-09-05 21:31:01 | 日記
「老後」はいつ頃から始まるのか ―― 厚生労働省が先月29に発表した『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』では、「老後の生活」で思い浮かべる生活は何かという視点から行った調査結果が掲載されている(資料1)。

複数回答による調査ではあるが、要するに、「年金を受給するようになった生活」が54.0%、「仕事から引退したり、仕事を人に任せるようになった生活」が38.4%、「老化に伴い体の自由がきかなくなった生活」が34.7%、「子どもが結婚したり独立した後の生活」が14.3%の順。男女別では、男女ともに「年金を受給するようになった生活」が最多で、次に多いのは、男性は「仕事から引退したり、仕事を人に任せるようになった生活」の46.6%、女性は「老化に伴い体の自由がきかなくなった生活」の36.6%。

こうした「老後」を送る人口が相対的に増えていくのが少子高齢社会。日本は既にその域に入っている。この報告書には、今後充実させていく必要がある社会保障は何かについて行った調査結果も掲載されている。複数回答の調査結果ではあるが、「老後の所得保障(年金)」が41.0%、「雇用の確保や失業対策」が39.4%、「高齢者医療や介護」が37.2%、「子ども・子育て支援」が35.9%、「医療保険・医療供給体制」が35.6%の順(資料2)。

「老後」に関する調査なのだから、このような結果になるのは至極当然のことだろう。意外だったのは、「子ども・子育て支援」に4割弱の賛同があったことだが、これは複数回答だからであろう。「子ども・子育て支援」が断トツトップに来るほと、裕福な高齢者が大多数を占めているわけではない。



<資料1>

(出所:平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書


<資料2>

(出所:平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書

被保護世帯数160万で過去最多・被保護実人員216万人 ~ 生活保護受給者数(平成26年6月分)

2014-09-03 16:07:38 | 日記
厚生労働省が今日発表した『被保護者調査(平成26年6月分概数)』によると、被保護世帯数は約160万、被保護実人員は216万人程度となっている。ここ最近は漸増で推移してきている(資料1)。

より詳しくは、今日の日本経済新聞ネット記事にもあるように、被保護世帯数が160万4414世帯(前月比1321世帯増)というのは過去最多で、被保護実人員数は215万8840人(前月比1012人減)だった。

被保護世帯数や被保護実人員数の増減の理由は政府の景気・経済対策と結果的に関連がないことは、これまでもこのブログで何回か書いてきた(資料2)。同様に、アベノミクスも生活保護分野に効能を及ぼしているとは言い難い。

高齢者世帯が被保護世帯全体に占める割合は、今後一層増えていくと見込まれる。扶助の種類では、生活扶助、住宅扶助、医療扶助の割合が大きい。いずれの扶助も抑制していくことになるだろうが、個々の受給ごとに事情が異なるので、マクロ財政の視点から優先・劣後の順位付けをすることは極めて難しい。

最終的には、例えば一人当たり受給額の総額規制など上限を設定するといった手法しかないだろう。これは、高齢者向け社会保障費に適用されるべきことでもある。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

『消費増税分 > 賃金上昇分』はまだ続いている ~ 毎月勤労統計調査(H26.7)

2014-09-02 21:01:56 | 日記
厚生労働省が今日発表した『毎月勤労統計調査 平成26年7月分結果速報』によると、賃金に関する概要は次のようなもの。


(1)現金給与総額の前年同月比2.6%増、5か月連続増
  うち、一般労働者2.7%増、パートタイム労働者0.7%増
(2)所定内給与の前年同月比0.7%増、2か月連続増
  うち、一般労働者0.7%増、パートタイム労働者0.5%増
(3)所定外給与の前年同月比3.3%増、16か月連続増
  うち、一般労働者3.5%増、パートタイム労働者2.5%減
(4)所定内給与と所定外給与を合わせたきまって支給する給与(定期給与)の前年同月比0.9%増、5か月連続増
  うち、一般労働者0.8%増、パートタイム労働者0.4%増
(5)特別に支払われた給与の前年同月比7.1%増
(6)実質賃金指数(現金給与総額)の前年同月比は1.4%減(消費者物価指数は前年同月比4.1%上昇)


現金給与総額及びきまって支給する給与の前年増減率、月間現金給与額はそれぞれ下の資料1、資料2の通り。どの指標で評価するかは、人それぞれだが、マクロ経済の視点では、実質賃金指数の前年同月比1.4%減というのが最も目に付くところだ。

消費者物価指数の前年同月比が4.1%上昇しているのは今年4月の消費増税(税率5%→8%)が主因と思われるが、それが実質賃金指数を押し下げていることは否めない。消費増税が、賃金上昇分を相殺すること以上の振る舞いをしているのだ。しかし、それはあらかじめ想定していたことなので、殊更に労働条件が悪化したとはならない。

社会保障財源を賄うための増税は、いずれ必ず実行しなければならない。それをいつにすべきかは、論理的にも経験的にも確たることは言明できないので、よほどの景況悪化でもない限りは、その時々の政治判断に委ねるしかない。次回の増税は2015年10月と法定されている。

この統計の結果が、増税の最終判断にどの程度の効果や影響を与えるかは定かではない。しかし、明るさを与える数字になることが望ましいに決まっている。だがもちろん、考慮すべき多くの要素の一つでしかないことも確かだ。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料