それゆけ東北ツアー その6 生もろこしの謎 #犬旅

角館でひととおり遊び、そろそろ引き上げようとしたところ、
犬好きらしきおじさんとおとうさんが、甘味みやげ店の軒先で、何やら話し込んでいる。
ちなみに店は、この地域の銘菓『もろこし』を売っているお菓子屋さん。
（毛色の違うのを二匹も連れているから、つい話しかけたくなったのかな？）
話し込んでいるようだから、声に出さず「ちょっと見てくるから」と目配せして、店に入った。
「帰りここ寄ろうよ」と義母と話し合っていたのだ。



手際よく説明してくださるスタッフの方に、甘酒とか、いくつか味見させてもらう。
もろこしってなんだろう？と食べるまで不思議だったけれど、食べてみると、上品なあんこのお菓子だった。
ひとくちめでうっとり、ふたくちめで鼻からため息。直感に従って『栗の生あんもろこし』をみっつ購入。




栗の生あんもろこし
『赤倉栗園』の西明寺栗のペーストを練りこみ仕上げました。
秋田・角館の生あんもろこしと西明寺栗との出会いをお楽しみください。
もろこしってなに？
秋田銘菓『もろこし』は、小豆と砂糖から作られる
打ち物と呼ばれる菓子の一種です。起源は、江戸時代にあるとされ、
これを藩主に献上したところ、
『諸々を超えるほどに風味よし』と評したことから、
その名前がつけられたとされております。くら吉は、秋田の
伝統菓子もろこしに創意工夫を込め、『生あんもろこし®』とし、
柔らかく口どけのよい食感の菓子といたしました。



ところでこれはあんまり自慢しても仕方ないことなのだけれど、
私には（母譲りの)人には説明しがたい、なんとも不思議な『ちから』が備わっている。
『(私が入店すると)ひとっこひとり(お客な)いないお店がいきなり活気づく』というものなんだが、
このときももちろん、その自分ではどうにもならない能力が、いかんなく働いた。



(面倒くさいので実績説明はしないが、よりパワーのある母と一緒に入店すると、
自分ひとりの時と比べると3倍以上の来客効果がある。山奥の寒村だろうとなんだろうと。
そして恩恵はまったくない。むしろぼやぼやしてる間にレジが混んだりしてゲッソリする)



初めは誰もいなかったのに、会計をする頃には、別の人が割り込んできて譲るくらいには混んでいた。

わいわいがやがや。



ふと見ると、さっきまで店先でおとうさん（オレコの）と話し込んでいた犬好きおじさんが、
いつのまにか店の中へ入ってき、次から次へとやってくるお客様にお菓子の説明をしつつ、
味見を勧めたり、レジへ誘導したり、奥にいるスタッフを呼んできて、さばいたりしてる。



てっきり(夫婦で来て)歩き疲れて(奥さんに置いてきぼりを食らった)観光客かと思ったのだが、
どうやら、お店の主らしかった。

「そういうことがあったよ、面白かったよ、あのおじさん、お店の主だったんだね」

というと（まあ彼は初対面の人に自分から話しかけて近寄ることはまったくないんだけど）、

「いきなり『○×▲◎か？』って聞いてきて、
なんのことかわからなかったんだけど『噛むか？』ってことだったみたいで」



そこからシェトランドシープドッグを飼っていたとか、
いろんな話をし(主におじさんが話すのを聞い)たんだそうな。
店の外にある赤毛氈の腰掛に座っていたから、てっきり、
歩き疲れた観光客だと思った。侮った。(何を)



そんなこんなで、角館から田沢湖にもどり、湖畔を散歩したり、
『山のはちみつ屋さん』で、はちみつや、
おみやげのお菓子などを買いこみ、宿へ戻って、ここから先は前日と一緒。



犬たちを温泉に連れて行き、足湯で癒し、こんちゃんが立ち寝している隙に、
自分たちも温泉に浸かり、夕飯を食べて(山の芋鍋！)部屋に戻り、
前日のぴょんぴょん舎で買ったマッコリを少し飲んで、就寝。



ちなみにこの夜の山の芋鍋は通常だと(季節じゃないから)食べられなかったのを、
(というのも予約の時にお願いしたら事前に『手に入らなかった』と連絡があったのだが、
直前まさにウルトラＱで『手に入りました！』と連絡があったのだった)



苦労して手に入れてもらったみたいで、こんなところにもおもてなし東北魂を感じるのだった。
わたしなどはかつて食べた山の芋鍋が食べたくてここに来た、みたいなところがあるので、
ガッツポーズで小躍りするほどにうれしかったのだった。



正直言うと、以前食べて以来、ずっと焦がれ続けた『山の芋鍋』とは、
少々味(具も)が違っていたのだが、これはこれでとても美味しかったし、
この旅ではいろいろ美味しいものを食べたのだが、一番おいしかったのは何かと聞くと、
夫が間髪入れず『山の芋鍋！』と答えたので、大変な中、なんとか手配してくださって、
ほんとにほんとにありがたかった。心から感謝した。



翌日はどしゃぶりの予定だったはずが、
なぜか天気がよくなるというので、念願の遠野へ。
いい加減秋田いや飽きたかもしれないが、まだまだつづく。