くつろぎ日記

ストーリーとセリフに注目したドラマレビューです。

「白夜行」第4話   罰をうける綾瀬はるか・・

2006-02-03 14:38:43 | 白夜行

堕ちていく亮司。

太陽を見たいとあがきながら見てはいけない夢を見てしまった雪穂。

二人はどこかですれ違い、現実はねじれ、許されない罪を決して置き去りに

することもなく。けれど雪穂への思いは限りなく深く、深く・・・。

 

オープニング。亮司から渡されたもの。雪穂に通帳。母には死亡書類。

俺は騙されないとつぶやく笹垣。まだ誰もあきらめていません。いないはずの

亮司をめぐってそれぞれの思惑。亮司は園村をその傘下におき手なずけています。

既におどおどした亮ちゃんではありません。ふてぶてしくずるがしこく、

どこで覚えたのかそのモノの言い方。すぐそこに松浦というモデルがいました。

    死体にはAB型の痕跡が残されていたんだ。ありえない話さ。

震えだす園村。理解したのか、一生亮司のために何でもすると言う園村。

そして西口奈美江を仲間に取り込みました。

    データを横流ししてちょっとこっちにもらうだけだから。

「それって犯罪よね」「オトコを買いにきたことを密告されたらこのご時世だし・・・」

西口を取り込むのはわけなく。皆すねに傷持つ身。

    1999年3月。

    この世にいなくなった俺は必要な場合、園村友彦の名をかたることにした。

PCユーザーには園村の入力。この世に残る足跡はすべて園村の名。

そして園村にはマンションを借りさせました。精華女子大の前。雪穂を見るために。

笹垣は狙っています。自分だけが二人を追いつめられると信じて。しかしその目は

二人を救う目ではなく獲物を狙う目です。横っ面ひっぱたいてやる。ただそれだけ。

   いずれの業も及びがたき身なれば地獄は一定すみかぞし。

やがて笹垣は唐澤礼子を訪れ雪穂とのいきさつを探りだします。虎視眈々と。

 

   なあ雪穂、笑われるかも知れないけど、俺信じていたんだよ。

   俺たちは永遠なんだって。それが黒い絆でも。

   黒いからこそ切れる事はないと思っていたんだ。

しかしこれは亮司の思い込みの深さ。雪穂は新生活をまばゆくながれています。

今時なぜか社交ダンス。胸の深さにドキッとします。その人の名は篠塚一成。

篠塚製薬の御曹司。一点の曇りもない笑顔に太陽を見た雪穂。恐らく自分には

決してもたらされる事のない人生を楽々と手にし、これからも歩むであろう篠塚。

壁に書かれたその文字が篠塚のものだと瞬時に悟った雪穂。

    いざというときにダンスの一つもできるやつが生き残って行く  K・S

イザという時・・・生き残る・・・雪穂は生き残るために散々、何をしてきたでしょう。

それがダンスだという篠塚と殺人さえいとわない自分との何たる違い。

やはり消したい。消さなくては。そしてチャンスは訪れました。

 

亮司は園村に詰め寄られています。なんで自分には何も教えてくれない。

西口と亮はできてるんだろう。酔った勢いで口にする園村。

自分のやってること犯罪って自覚してるのか。だからなのよ亮を信頼したいし、

されたいからなのよ。亮は彼女いないの?いないよ。じゃあ好きなタイプは?  

    「スカーレット・オハラ」

一方居酒屋。雪穂は情報収集中。篠塚と倉橋の関係。ヤンキーだと思ってたと

いう江利子に本当のお嬢さんはふりしなくていいんだよ。

ふりを続けるしかない雪穂。密かに唇をかんだ?

どんなオトコがタイプなんだ? 

    「レット・バトラー」

雪穂と亮司は離れていても基本はこの本からぶれません。罪を共有する二人。

太陽に恋しながらも、亮司は雪穂の原点。

 

さて亮司は危機を迎えています。西口を取り込んだものの、西口は榎本に金を

貢いでいたすでに前科を背負っていた女。それ系の榎本が見逃すはずが

ありません。亮司のマンションすら簡単に調べ上げています。手のひらに押し付け

られるタバコがどす黒く焦げ付きます。呻く亮司。不敵に笑う榎本、冷え冷えと。

トイレに隠れる松浦。火がつき始めているでしょうか。このマンションも危ない事を。

ほころびはふとしたことから始まりました。西口の上司が不正に気付き西口に

相談したことがスタートライン。上司は死体で発見されました。既に西口は自分が

追われることを覚悟しています。そして亮司はその胸に冷たい決意があることを

誰にも告げる事はありません。やがて知ることになる園村。

今はホテルに隠れるだけです。たぶんもう止められません。

 

亮司はそうしてはじき出した不正の金を雪穂に送っていたようです。

心配した雪穂は電話してきました。大丈夫だから、迷惑かけないから。

お金で示すしかない亮司の存在。

そのちょっと前、雪穂はダンス部の壁に書いてあるSKの落書きを見ています。

どうにも消したくて、そして消そうと思った雪穂は1歩踏み出したときに、

篠塚と倉橋の仲たがいを聞いてしまいました。チャンスが転がり込んだ瞬間。

決して逃しません。雪穂の狙いは定められたでしょうか。篠塚はその太陽のような

光を発散し雪穂の心を軽々と奪っていきました。車の会話にすねた雪穂と伸びやか

な篠塚とが飛び交います。原書のスカーレット。あげるよといとも簡単にいう篠塚。

ちょっと反発してみせる雪穂。紛れもなく恋する雪穂。物陰から狂おしく見つめる

この世に存在しない亮司。

    信じられなかった・・雪穂は恋をしていた。

    俺が泥水の中を這い回っている間に・・ばっかじゃないの・・・

    傷つけてやろうと思った。守ってやりたいと思ったときと同じ強さで。

そして雪穂に電話した。頼みたいことがある・・・それは・・・西口になってもらう・・・

 

松浦は西口を榎本に売ることにしました。亮司は認めないでしょうけれどそうなる

ことは知っていました。死ぬのかな西口さん・・ちょっと感傷がうずきます。

西口がおいてくれた葉はしおれかかっています。西口は信じきっていました、亮司を。

二人に抱きつき、きっと生き抜く。二人に助けてもらった命だもん。

辛い亮司。ぎゅっとつぶったその胸には何が去来するのか。

そっとその耳にささやきます。隙を見せたほうが負けなんだよ。

 

そして亮司は雪穂を犯罪に巻き込んでしまいました。あれほど会うことを我慢し、

公衆電話だって履歴が残るとあきらめていたのに。西口が殺されてる時に、

雪穂は西口になり金を引き出しました。銀行のカメラはうまくごまかせたでしょうか。

だって雪穂が恋をするなんて。俺をないがしろにするなんて。

一人だけ闇を生きる俺を雪穂は裏切った。亮司は狂おしい。亮司は悔しい。

        亮司は雪穂が愛しい・・・

 

雪穂は腑に落ちません。その二人が喋ったら私は危なくない?ふっと笑う亮司。

信用するから裏切られるんだよ。裏切られることを想像しても意味ないんだ。

変わったね、亮。そりゃ変わるさこれだけいろいろあれば。この金はどうするの?

この時雪穂の携帯が鳴り吹っ切れた亮司、雪穂に向かってついに吐き出しました。

     許さんからな。自分だけ都合よく生き抜くなんて。

     俺だけだと、俺しかいないと言ってたじゃないか。

何も言えない雪穂。自分でもどうしようもない気持ちなの。理屈じゃないのよ。

亮司への思いとは違うのだと。何とかしてよ。何とかしてほしい。

     外は雨。ベッドの二人は真実を溶かしだすように。

     あの日も雨だった。あの日の雪穂はとてもきれいだった・・・

     雨に洗われ、溶け出した俺たちの罪と罰。

     あったかいと言った雪穂。

 



今週の暗さときたらめっちゃ引きずり込む暗さ。東野の中でも特に暗いのかも

しれませんね。山田孝之の泣きの真骨頂ここに極まれりといったところでしょうか。

あの無精ひげといい、暗さの極地は見る者までどんよりさせる凄まじさ。

雪穂のまばゆい大学生活と実態のない影を行く亮司の対比をさらにはっきりと

打ち出してきました。雪穂は篠塚に恋し始め、一方で亮司を手中におさめ

その魔性系状態には驚くばかり。こんな真っ白な雰囲気で大胆な二面性。

         ・・・さすがは女優。


   



14 コメント

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暗い・・・・・・ (まこ)
2006-02-03 16:18:03
見終わって、どよよ~んと疲れきってしまいました。

娯楽としてドラマを楽しみたいあたしには重過ぎる・・・_| ̄|○

なのに、この二人の行く末が気になって、やめるにやめれず・・・

悶々とした気持ちを抱えながら、又来週も見るんだろうなぁ
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また読ませていただきました (谷口真文)
2006-02-03 18:22:03
■『くつろぎ日記 「白夜行」 第4話』を読ませていただきました。この調子で最終話まで執筆をお願いいたします。原作の小説を、私同様、読んでいないかりんさんの文章は大変参考になります。

■『白夜行』(第4話)で一番印象に残ったのは、施設で華道教室をしていた唐沢礼子(八千草薫)の口を通して語られた雪穂の施設入所時代のエピソードでした。ちゃんと「花の名前を覚え」て、言外に「もろうてくれ(私をもらってください)。もろうてくれ。」とアピールしたそうです。賢いですね。

次に良かった場面は図書館の前で館員の谷口さんが雪穂に「昔も来てなかった?」と尋ねたり、「ここだけが居場所みたいな子だったから...」と言う箇所です。

見ていて辛かったのは、嫌がる雪穂が、母親にひきずられるようにして、雨の中を、男の欲望を満たすために工事中のビルの中に向かう場面です。第1話で印象的な場面でしたが、第4話でも亮司の回想シーンの中で登場しました。



■では、また来週お会いしましょう。
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TBさせていただきました (yoshi(雨録))
2006-02-03 19:17:47
以前お約束した通り「白夜行」の記事を書きましたので、TBさせていただきました。



第四話にして底まで暗くなってしまいましたね。しかし、私は個人的にやられたという感じです。

亮司の苦しみがよく分かるので共鳴しました。ああいう葛藤を描写されると参ってしまいます。亮司が気の毒になりながら、苦しい描写には惹かれてしまう。…ちょっとおかしいのかな? 現実的ではM的な精神と言うのかもしれない(苦笑)



それでは、また。

 
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Unknown (いわぴい)
2006-02-03 20:58:59
こんばんは。

雪穂はやっぱり罰を受けたんでしょうか?

二人とも手中に収めようと、来週暗躍しそうな気がします。
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Unknown (mari)
2006-02-04 04:01:58
悪に染まっていく2人。

初めの頃の、悪いのだけれど、応援していたのが

だんだん、そうは行かないところまで来ました。

この2人は、どこまで堕ちるのでしょう?
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こんにちは (くう)
2006-02-04 04:11:51
明るい中で生きていく雪穂と、泥沼にハマった亮司の

対比がすごく出ていましたね。

嫉妬で復讐までしたりしてね。

もう明るい所には絶対に這い上がれない所まで落ちてしまったね。

そんな亮司を雪穂が好きになる事はないと思います。

だって、雪穂は太陽が欲しいんだものね。

来週もますます雪穂が二面性を出してきそうですね。
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まこさん♪ (かりん)
2006-02-04 20:22:55
本当にどんどん暗く引きずり込まれていきますね。

重すぎますが東野の雰囲気はでているのではないでしょうか。

もちろんドラマですから娯楽ですよ。

気楽に見ましょうよ・・って無理ですか(笑)



なんだかんだ言いながら見てくださいよ。

お願いします。(苦笑)
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谷口真文さん♪ (かりん)
2006-02-04 20:46:15
いつもありがとうございます。

原作を読んでないので本当にドラマから感じるものだけのレビューになっています(苦笑)いいのかしら?



>雪穂の施設入所時代のエピソードでした

今週のこの部分は、賢さの証明みたいなものでしたね。まだ子どもなのに、生きるためにどうすればいいのか知っているところなど苦しいくらい伝わってきて胸が痛みました。

>谷口さんが雪穂に「昔も来てなかった?」と尋ねたり・・

図書館でのシーンを私は入れてないですね。

今後、何かこの司書の谷口さんが関わってくるのかなと、重要な目撃証言をしたりとかありそうですね。

>嫌がる雪穂が、母親にひきずられるようにして・・

このシーンが亮司の回想で出ましたね。辛いシーンだと思います。でも亮司はこれを見てしまったから今の影になることを選択したともいえます。今後も出るかもしれませんね。



暗い暗いと言われ数字もかなり落ちてきているようです。でも私はいまのところ今期一番だと思っています。



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yoshiさん♪ (かりん)
2006-02-04 20:56:24
TBありがとうございました。

本当に暗くなりました。

亮司が裏街道を行く選択をしてしまったというのがひとつの原因だと思いますが、犯罪にはもはや何の罪の意識もなく、園村を利用することもたやすく操っています。全てが無になってしまった先週のできごとで、

がらっと変わってしまったんですね。

亮司の裏腹な葛藤がyoshiさんには共鳴する部分が

おありになるのですね。壮絶な経験があったのでしょうか。それをつきぬけたyoshiさんにはひとつのドラマが残っているのではありませんか。

きっといいものができると思います。

楽しみにしていますね。
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いわぴいさん♪ (かりん)
2006-02-04 23:43:13
雪穂は亮司への思いを維持するためにあの落書きを消そうとしたのですよね?

そういう思いがあったのにどうしても惹かれていってしまうが恋ですもんね。

亮司にはたまらない裏切りだったでしょうね。そして愛のない行為にもそれを感じますね。
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