くつろぎ日記

ストーリーとセリフに注目したドラマレビューです。

白夜行 第9話

2006-03-10 16:24:36 | 白夜行

   gooブログのみなさまへ

  TBが飛びません。お返しできずごめんなさい。

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    二人してそのザマか。

   哀れやな・・・・

正しいことなんて言われなくてもわかってるんですと、亮司。

二人にとっては行くわけにも戻るわけにも行かないのだと、雪穂。

母の愛はこんなに深いのになぜ届かない。太陽はすぐそこにあるというのに。




亮司は典子を狙っています。その目的は一つ。薬剤師という仕事から得られる物。

まず胃痛で倒れこみ、次は惣菜店。そして公園でのビール蹴散らし。

極めつけは「寒くない・・?」こうして亮司は典子の部屋に入り込みました。

欲しい物は一つだけ。そのためには手段を選ばない亮司。典子の日記を調べ

キーワードを探します。その弱点の言葉を振り掛けさえすればきっと動いてくれる

はずだと読んだ亮司。着々と。

笹垣と篠塚は結託することに決めたようです。江利子に仕向けられたことの顛末を

自分の手で明らかにするまでは決してあきらめないでしょう。二人は亮司と雪穂を

追いつめるのか救おうとするのか、もはや混沌とし、神の手が導くように動くのみだ

といつの間にか悟っているかのように。笹垣の獲物を狙う目には次第に慈悲の光が

こもり、復讐に燃えた色さえも淡くなったようです。本心なのか、芝居なのか。

江利子には都子の事件を遠い噂のように伝えました。探るように耽々と。

「口封じのための犯行やないか・・というような」「そこまでは私、よく知らないんで・・」

江利子のカップが震えてるのをしっかりキャッチしほくそ笑み。

笹垣のいつものノートには記述が追記されています。

     「なんでもかんでも強姦や・・。なんでや・・・」

     弥陀の本願、悪人成仏のためならば・・・

この命題に追いついた笹垣は雪穂の苦しみに思いが行ったのだろうかと。

 

   なあ、雪穂・・・

   こぼれ落ちた過去の断片を、全て拾い集めるのはムリだから

   拾うやつを消そうと思ったんだ。

川を一本の百合が流れていきました。泥の中に咲いた花は亮司の作った切り絵の

花でしたが、これは紛れもない白百合。雪穂が生ける分かれた二つの花の片方で

す。流されていくのは誰でしょう。そして拾うやつは。

 

亮司は頭をめぐらします。どうやって持ってこさせようか。小説のトリックにするため

の検索。まず薬剤を画面に映して安心させることから始めました。青酸カリ。

一瞬たじろぐ典子に小説だからと安心させ徐々に話を引き出します。次は・・。

  「小説を書くには本物を見ないと書けないんだ」

  「大きい病院だしそのくらいは置いてあるだろう?」

小説のネタに本物を持ってくるわけにはいかない。躊躇する典子に亮司はすぐに引

き上げます。いいんだ、他のつてがあるから。前の会社のルートを使うから。

仕上げに日記から読み取ったキーワードをちりばめて。

  「心配するようなこと言って手を汚すのはごめんだってこと?」

  「結局、大事なのは自分だけ?ちがう?」

典子は突然出て行きました。効きすぎたかと不安になる亮司。しかし典子は戻って

きました。過食症?食べては吐く。心因性の何かが襲ったようです。

一瞬たじろぐ亮司。精神の暗闇なら負けないけど。


そうして典子は亮司の罠に落ちました。青酸カリ。保管庫には別の瓶を置いたと

言って。テーブルの上に置いたその瓶は怪しくみえます。いつしか典子はとうとうと

語りだしています。自分の相手だった人。堕胎のこと。いなくなった子供の代わりに

食べてしまうこと。やがてそれは亮司に言及してきました。好きだった人とも何もでき

なかったと言う亮司に典子は同情だけではないものを感じ始めています。

拒否する亮司を後悔の淵から呼び戻したいと一つの愛にかけて。おそらく典子の

寂しさは亮司を見ることでだいぶ癒されたに違いないのに、亮司はまだそこまで

典子のことを思いやることもありません。脳裏を占めるのはただ利用することのみ。

そしてベッドで迎えた朝、テーブルの青酸カリと共に亮司も消えていました。

「信じることにした」と言った典子の言葉だけは届いたはずなのに、悲しくて。

罰だという亮司が典子には響いたけれど。

    罰。それはきっとあの日、父親を殺した罰。

    雪穂を置き去りにした罰。

    その小さな手から未来を奪い取った罰。

暗闇の中、迷いながら間違いながら、雪穂がやっとつかんだ明日を

もう二度と失わせるわけにはいかないんだ。


笹垣は次第に核心に近づいています。菊池に会い、あの日の証言を再び確かめま

した。菊池は亮司を脅していた。そのネタ元は写真。亮司の父親と一緒の女の子。

すぐに雪穂へと思考がつながりました。さらに笹垣は弥生子の店に行きます。

弥生子の泥酔振りが痛々しく息子を失った母の姿というものを見せ付けてくれます。

笹垣は弥生子の夫の愛人は子供の方だったのだと確かめしかもそれは亮司も知っ

ていたかと問い質しました。弥生子の手首には二本の盛り上がった傷。

見据えることもできない笹垣。目は同情に変わり口をつく言葉もソフトになりつつあり

ます。本当の犠牲者は誰かということにようやく気付きだした笹垣。

    「誰にも言われへんの、苦しいやろなぁ・・」 ・・・しみじみと。

 

雪穂の離婚を心配して上京した礼子は離婚の原因が書かれた調書を読み、雪穂の

不妊にあることを確かめずにはいられません。しかしはっきり言わない雪穂は自分

が子供を愛せないということでごまかしました。代わりに店を育てるという雪穂。

その言葉に安堵したのは自分が子供に恵まれなかった礼子の方です。本音を聞い

たと喜び名簿を置いていく母心。自宅に訪ねた笹垣にはどこまでも擁護する礼子。

母親があんなことをしたからと言い、せっかく本音を言うようになった雪穂を傷つけな

いでほしいと。しかし一抹の不安が襲ったかのように雪穂に電話をかけてみました。

何でもないの。ただ電話してみただけ。その声を聞いた雪穂も不安が伝染したようで

す。サボテンのおすそ分け。危険な信号がちらちらし出しました。

 

どんなに隠そうとしても太陽はきっと許さなかったのでしょう。

ようやくつかんだように見えた架空の幸福論さえもびりびりと破いていくように。

子供の雪穂がただいまと言い、私大丈夫だよと微笑む大人の雪穂がからからと回り

礼子は崩れ落ちていきました。サボテンを植えるために庭を掘って見つけたもの。

 

その頃、笹垣は篠塚と会っています。真相がほぼ確定できたということ。雪穂の犯罪

は魂を奪う一番確実な方法だと本人が思いこんだことを篠塚と確認しあう。やるせな

い表情の二人。11歳の雪穂に襲った現実の過酷さが江利子に向かわせたのだろう

か。共生というよりも雪穂が亮司を守っているように見えるという篠塚。

笹垣にはまだ調べる要素があるが、一つだけ特徴があると言います。厳然とした。

     自分達の真実に触れた人間には死を与えるということ。

 

病室。礼子は雪穂と向き合わなくてはなりません。

    しんどかったやろ。かんにんな。気付いてあげられんと。

    もっとちゃんと気付いてあげんとな、あんたも言われへんわな。

    けど、あんたが いてるところは生き地獄いうねん。

自首して。長生きするから帰ってきたらちゃんと待って迎えてあげるからと礼子は

雪穂に切々と諭し訴えています。ただ雪穂の苦しみを取り去りたい。こんなに苦しん

で生きてきた雪穂の何も知らなかった自分。今こそ本当の親子になれるのではと。

雪穂にはよくわかっています。こんなによくしてもらったこと。はらはらと涙が伝う二人

なのに。でもう遅いの。私は一人ではないの。だから行くわけにも戻るわけにもいか

ないの。ごめんね、おかあさん・・・。

点滴のチューブをはずそうとしてさえぎる手がありました。亮司。

どうせできないだろう。行けって・・。

    白い花の子かあんた。  

    二人してそのザマか。あわれやな。

正しいことなんていわれなくてもわかっているんです。チューブをはずす亮司。

庭に埋められたものを見た瞬間から覚悟ができていたのでしょう。亮司がチューブを

はずす時も狼狽せず、雪穂と亮司がただ哀れで。無力だったことを悟って。

 

大江図書館にはいつもの書き込みがありました。走り出す谷口司書。

    どうか子供たちに本当の罪は心と記憶に下されると伝えてください。

    飲み込んだ罪は魂をはばみ、その身体さえ命さえ食い尽くす。

    どうかその前にどうか親たちに伝えてください。   幽霊からの遺言

桐原亮司くんのお母さんですか。私、あの子大好きだったんですよ・・。

いい子だったでしょう。賢い、優しい子だったでしょう・・。


**************************
庭に埋められたものを礼子が発見した時、どうなるかと心配していましたが

その危惧した通りになってしまいました。

笹垣のいう「真実に触れた人間には死を与える」ということが

これこそが真実のように聞こえてきます。

こんなに愛してくれた人を殺さなければならないのでしょうか。

さすがにこの部分には雪穂の荒涼とした内面が見え、慄然としてしまいました。

冒頭で川に百合の花が流れていくシーンがありましたがまるで今回の行く末を

暗示しているようでしたね。

今週のキーワードは「魂」でしょうか。笹垣も亮司も一様に魂に刻まれるイメージを

打ち出してきました。雪穂の魂に罪を植えつけたのは紛れもない親たち。

一番の犠牲者は誰かということに気付いた笹垣が罪を憎んで人を憎まずの境地に

なれたらだいぶ救われていくのですが、そういう兆しを今回は少し感じましたね。

それにしてもはるかちゃんは、怖いシーンを撮っていてもやっぱりかわいいわ。

淡々とした雰囲気が却って冷酷さを印象付けたいというところでしょうが。

     う~~ん。

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また記事が消えてしまいました。

今回はスムーズに貼れて修復にさほど時間はかかりませでしたが

ご迷惑をおかけしました。



25 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
また読ませていただきました (谷口真文)
2006-03-10 18:36:28
■『くつろぎ日記「白夜行」第9話』を読ませていただきました。

「サボテンのおすそ分け」という表現がおもしろかったです。善意でしたことが思わぬ結末につながってしまうとは、あの近所の中年女性も思わなかったでしょう。

「日記から読み取ったキーワードをちりばめ」という箇所もなるほどと思いました。

ところで、今回のテレビドラマ『白夜行』では露骨な性描写がありました(亮司と典子)が、その部分をかりんさんがどう処理するのかお手並みを拝見したかったですね。残念。

■今回のドラマで私が一番驚いたのは、傍観者の立場を貫くと思っていた、大江図書館の谷口さんが土俵に上がってきたことです。亮司の卒業証書を武器(?)に、母親の弥生子にたどりつきました。大丈夫なんでしょうか、谷口さん。雪穂から刺客が送られて来なければいいけれど...「君子危うきに近寄らず」。「触らぬ神に祟り無し」。

もうひとつ驚いたのは、八千草薫さんが小さいこと。綾瀬はるかと並んで歩く場面を見てそう感じました。昔の女性としてはあれが平均的な身長なのかな。

身長はともかく、唐沢礼子は印象に残るせりふを2つ雪穂に病床で言いました。「庭のあれ、何」と「ほんまのお母さん殺したんか」。

■では、また来週お会いしましょう。
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ああ・・・重すぎる (Nob)
2006-03-10 18:50:02
TBどうもありがとうございます!

今回は今迄にないぐらい重い内容でしたね。

見ていて辛かったです。
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つらい・・ (miyabi)
2006-03-10 20:58:20
こんばんは~。

コメント&TBありがとうございます!!

ホントに切なく悲しいですね・・

礼子まで殺してしまうなんて。

「真実に触れた人間には死を与える」

太陽に下を歩くことを目標に生きてきたはずなのに・・どんどん暗闇の中に落ちてゆく2人。

彼らに救いの手はさしのべられるんでしょうか・・

最後まで見届けたいと思います。
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ありゃりゃ! (アンナ)
2006-03-10 21:05:12
かりんさん こんばんはー!



なぬ、また記事が飛んでしまったのですか?!

どうして?文字数が多いから?

それともMステにKAT-TUNが出たから?(笑)

でも、この間よりさほど時間かからず

やれやれでしたね。



TBもうまく送れないみたいなので

私から送ってみま~す!



9話は八千草薫さんの母親っぷりに泣けて泣けて。

最終回はどうなるのか?

はぁ~罪を犯しちゃいけないね。

太陽はみんなに平等にあるはずなのに(涙)
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こんばんは (愛梨)
2006-03-10 21:21:23
礼子はどこまでも強く、優しい母でしたよね。



自分に子供ができなかったから、雪穂を娘のように育てて、心から心配して…。雪穂に諭す場面も、雪穂を本当に思う気持ちが伝わってきました。

でも、ふたりは「真実に触れたものには死を与える」との言葉通り、どんなに愛していても、容赦ないんですね。

礼子の最期の言葉が本当に重く心にのしかかりました。
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辛かった(; ;) (くう)
2006-03-10 22:12:32
2人には救ってくれる手がいくつもあったんですよね。

でも、それを拒んできた。

どうして、あの母が死ななくてはならないのか。

本当に悔しくて悲しくて涙が出ました。
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Unknown (まりりん)
2006-03-10 23:32:17
かりんさん、こんばんは!



>一番の犠牲者は誰かということに気付いた笹垣が罪を憎んで人を憎まずの境地になれたらだいぶ救われていくのですが



そうですよね、この登場人物の中で、父親的な愛情を彼らに注ぐことが出来るのは笹垣だけ。彼が自分の命をかけてなんとか2人を良い方に導いて欲しいと願います。



ところで、記事が消えたとのこと。アンナさんが書かれているように文字数がオーバーしたのでは?と思うのですが。どなたかgooブログの方でそれで記事が消えたとか書かれていたのを見たような記憶が・・・

間違いならごめんなさい。

ではまた~~!おやすみなさい。
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Unknown (uranus-planet)
2006-03-11 00:26:34
こんばんは。

今回は涙なしでは見られない回でした。

礼子まで殺さなくても。。

手をかけるシーンには、驚きのあまり、

え?って声を出してしまったほどです。

まだ殺人を重ねるんでしょうか?



さてさて、またまた記事が消えてしまい、しかもTBできないなんて大変ですね。

最近は記事が消えることはないものの、

相変わらず更新通知がたまにしかあがらないんですよね~(~o~)

不便だ・・・。



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お久しぶりです。 (ジンク・ブルー)
2006-03-11 09:36:06
自分を愛してくれた人をも手を掛ける。

そんな事をして、

本当の太陽を見る事が出来るのでしょうか?

彼らを救えるのは笹垣だけなのかもしれませんね。
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何で??? (まこ)
2006-03-11 16:57:27
実の母には恵まれなかった雪穂。あんなに優しい言葉をかけてくれた義母を何故???

引き取られてからもずーっと良い娘を演じ続け、

初めて心が通ったかと思ったのも束の間・・・・・・

もう、この二人の暴走を止める術は無いのかもしんないと絶望的な気持ちになりました
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