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爺の前に道は無し。爺の後にも道は消えかけて…枯れた中年爺の独り言

チュニスから南ヨーロッパへ

2011-01-03 11:27:17 | 旅行
<チュニスから南ヨーロッパへ>
 妻と海外旅行することは度々あるのだが、娘を伴ってというのは彼女達が幼い頃を除いては殆ど無かった。だから、今回、チュニジアの首都チュニスでアラビア語を学ぶ次女を現地に訪ね、そのついでに南ヨーロッパを廻るということは、いつもの自分の旅のペースとは違っていた。
 そんな中で、やはりいくつかハプニングがあって、自分としては十分楽しめたのだが、同行する者にはあまり経験のないことであって、戸惑うことも多かったようだ。どうも私は自分が思う以上にマイペースらしい。つまり利己的・わがままだということ。今まではそのように指摘されても否定する余裕があったが、今回のことでそういった指摘がもしかしたら正しいのかも、と思い始めた。どうやら自分が楽しいことは、必ずしも人にとってはそうでない、というあまりにも当たり前すぎることにようやく気付き始めたらしい。このことこそが、利己的である動かし難い証拠ではあるが…。
 スペイン・グラナダ市内を深夜、レンタカーでホテルを捜しながら道に迷ったこと。バルセロナの地下鉄車中でのスリ団との一悶着。イタリアのGenova(ジェノバ)へ行くつもりが、老眼のためかoとeを読み違えてスイスのGeneva(ジュネーブ)空港に降り立った件。やっとの思いで旅の終わりに再訪したローマで、ネット予約したホテルが詐欺まがいなため不安な夜を余儀なくされたこと…等々。確かに、もしこれが自分にとって他の人の行いならば、許さないであろう。
 そんなドタバタな日々で、2週間近い旅程を費やした割には量・質共にとても豊かとは言えない旅行であった。旅を楽しむ技術は、日常生活を豊かに送る術を有していなければ決して身につくものではない。同じ時間と空間を豊かに過ごすことができるかどうかというのは、その個人史の質に左右される。
 残念ながら、貧しさは引きずり、豊かさは受け継がれる。それは物質的なものだけではないことに、生活を送る中で厳として気付かされる。単にお金に代表される物質的なものなら克服できそうな気もするが、長く何世代にも引き継がれてきたものの大きさにたじろぎ、心のどこかで諦めている。
 今回の旅の中で得たことは次の二つ。一つ目は、そんな貧しさと豊かさの乗り越え難さを改めて確認できたこと。二つ目は、しかし、それをそのまま受け入れてそこから日々を送ることしか許されておらず、そんなどうしようもなく当たり前のことを私は初めて「知った」こと。これに尽きる。







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