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爺の前に道は無し。爺の後にも道は消えかけて…枯れた中年爺の独り言

「株式会社の終焉」出版記念セミナーに参加して

2016-11-19 09:08:37 | 経済
水野和夫氏「トランプ後の世界は中世に回帰」
「アメリカは自らグローバル化に幕を引いた」:東洋経済オンライン2016年11月19日

三省堂主催で開催された昨夜(11月18日)の講演会は1時間30分の講演、質疑応答そしてサイン会とあっという間に終わった。会場は満席で、人々の関心の高さを示していた。
講演内容は、今まで氏が唱えてきたり著作に表してきたりしたことに沿っているが、今回はトランプ氏大統領誕生についても、半ば即興で講演内容に追加して下さった。もう一つは、英国のEU離脱にも触れられ、ドイツが半歩先の世界を歩み始めたのかもしれない、というのも合点するお話だった。

講演の内容の締めくくりとして、氏が唱えたのは本稿にも示されておられるように、

「もはや「物理的・物的空間」にはそれらの成長を実現する場所はありません。
21世紀のシステムは、20世紀の延長線上ではなく、潜在成長率がゼロであるということを前提に構築していくことが必要です。それにのっとれば『よりゆっくり、より近く、より寛容に』が、21世紀の原理であるのです。
これを資本主義の中核を担っていた株式会社に当てはめれば、減益計画で十分だということ、現金配当をやめること、過剰な内部保留金を国庫に戻すことです」

ということでまとめられたと思う。
団塊の世代やそれに準ずる私たちの世代は、平和に恵まれた高度成長期が各々の人生と重なっている。「成長」こそが人生だ、と骨の髄まで貫いている。しかし、明らかに今の若い世代は違う。彼らの一部では「滅私奉公」的な企業価値観を体現しているかのようではあるが、その奥底では揺らいでいる者が少なくないであろう。

日本の現実に立ちかえってみれば、この間GDPは大して変わらずとも、人々の暮らしに対する意識は大きく変わってきた。逆に、GDPが成長してきたときは主流の「立身出世」的な価値観が変わらなかったことと比較すると面白い。バブル崩壊からリーマンショックまでの間で、静かに、しかし大きく日本人は変わったのだろう。
21世紀の「中世への回帰」…確かにじわじわと説得力を持つ。


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