KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
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松山大学女子駅伝部、2度目の杜の都へ

2009年10月24日 | 駅伝時評
昨年の北京五輪の女子マラソン、土佐礼子のリタイアという結果は、僕にとってはつらいものだった。

土佐(僕は現役選手の敬称は略することにしている。)の夫である村井啓一さんとは、メールのやりとりをする仲ではあったが、さすがに五輪のレースの直後に
「お疲れ様でした・・・笑顔で(日本)に帰って来てください。」
というメールを出してからはしばらくの間、メールを出すことがためらわれた。

土佐自身はもちろんのこと、村井さんにとってもつらい結果だったと思う。しかし、村井さんには新たな仕事があった。

土佐の後輩たちを杜の都に連れて行くことである。

インカレや中四国大学女子駅伝に臨む松山大学女子駅伝への応援メッセージを村井さんに送り、返信をいただいた時は胸を撫で下ろした。初出場の中四国大学女子駅伝に、2位以下を大きく引き離して初優勝し、杜の都仙台で開催される全日本大学対抗女子駅伝への出場を決めたと知らされた時に、僕もようやく北京のショックから立ち直ることが出来た。土佐も次のマラソン(今春の東京)に向けての準備を開始したというマル秘情報を教えていただいたのも大きかったが。

26年もの歴史のある大会で、四国の大学が出場するのは初めてのことだった。

エース格の國仙幸子は前年の大学選抜女子駅伝に中四国選抜メンバーとして走り、横浜国際女子駅伝の中四国代表メンバーにも入り、「全国デビュー」をしていたが、今回はチームとしての「全国デビュー」である。「土佐礼子の後輩」として、注目も集めるだろう。

25チーム中18位。これが松山大学の成績だった。初の大舞台で、繰上げスタート無しでアンカーまで襷をつないだだけでも良かった、と僕は思った。しかし、村井さんは決して出場出来ただけで満足はしていなかった。

今春のトラックシーズン、松山大学の活躍はめざましかった。特に広島から瀬戸内海を越えて松山へやってきた新入生、田村紀薫(としか、と読みます。この名前、覚えてね)というスーパールーキーが、織田記念、ゴールデンゲームスinのべおか、そして日本選手権といったメジャー大会の舞台で大活躍した。他にも6人のメンバー中4人が今シーズンに自己ベストを更新した。体調不良で出遅れた國仙も復調してきた。昨年よりも戦力は大幅にアップしている。去年以上の結果は十分期待できる。

正直に言おう。メンバー6人中愛媛出身者は2年の矢野麻利亜1人だけ。その事が少し引っ掛かっていた。しかし、知り合いの女性ランナーのサイトの掲示板にあった書き込みにはっとさせられた。

「才能を秘めた人がより優秀な指導者の元で指導を受けたいというのは
ごく自然なことだと思う。」

「よその県に行きやがって、あるいはよその県から選手を集めやがって
などとそういうことを嫌う人もいるけれど、
よその県に行って、都道府県対抗駅伝によその県から出ても、
私はその人を○○県代表とみなして応援するし、
よその県の人が高校駅伝の○○県代表メンバーになっても応援する
要するに、応援する人がより増えることになるので好ましく思う」

かつて、僕の母校の高校が選抜高校野球大会で初出場準優勝という快挙を成し遂げた。しかし、メンバーの大半は県外の出身者であることに、批判の声も少なくなかった。

この投稿主のような考えの人がいることに僕は感動した。こんな考えの人がもっと多くいたなら、高校野球の特待生問題や高校駅伝の留学生問題も、何の問題にならなくなるのではないか?

國仙をはじめ6人中3人は北海道出身だという。それは監督を務める大西崇仁氏が北海道出身だからとかつて村井さんから教わった。生まれ育った北海道から遠く離れた四国の松山で競技を続けようと、18歳の少女たちに決意をさせたものはやはり、土佐礼子という存在があったからではないだろうか?

今治西高出身のピッチャー、藤井秀悟が今日、北海道日本ハムファイターズのクライマックスシリーズ優勝を決める大一番の勝ち投手となった。明日は道産子3人娘が杜の都の沿道やテレビ観戦している全国の駅伝ファンに松山大学の名前を心に刻みつける番だ。

おっと、中四国インカレ1500mに連覇の大分出身、曽我部真実を忘れていた。

土佐礼子から「心の襷」を受け取った、松山大学女子駅伝部。愛媛県人ならずとも、北海道、広島、大分の駅伝ファンの皆さんも、土佐礼子の走りに心を動かされた皆さんも、応援宜しくお願いします。




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