KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

リセット~それは「カムバック」ではない。

2005年07月31日 | 管理人より
7月17日に四国カルスト高原マラソンの20kmに出場し、1時間39分33秒でゴールした。

市民マラソンに出場し始めてから13年。僕にとっては唯一、初出場から13回連続して完走しているレースである。

昨年のこのレースで、途中で膝を痛めて、最後は歩くようなペースで、足を引きずりながらゴールした。初めて出場した時よりもタイムが悪かった。

痛みはなかなか引かず、その後4ヶ月走ることができなかった。左膝の半月板が損傷を起こしているという診断を受けたのだ。

4ヶ月という時間は、10年連続してフルマラソンを3時間30分以内で走りきる肉体を、ジョギング初心者並みに戻してしまうには十分な時間だった。
わずか2ヶ月余りのトレーニングでは、ハーフマラソンを走り通す力も取り戻すことができなかった。

今年の愛媛マラソン、スタートから2時間で僕は歩みを止めた。まだ、23km地点だった。このままでは29kmの関門制限タイム(2時間33分)にも間に合わない。しかし、もう6km走る気力も残っていなかった。

この時、僕の中で、何かが確かに変わった。長い時間をかけて積み重ねてきたものが、実にあっけなく崩れ去ったかのような感覚が残された。

追い打ちをかけるような、翌月の左手首骨折。

ランナーとしての肉体が衰えた、とは思わない事にしようと決めた。衰えたのではない。走り始める前に戻ったのだ。

まずは歩くことから始めた。高橋尚子は合宿の一番最初に、42.195kmもの距離を歩くのだという。それに倣って、自宅から松山市内の病院まで、片道15kmもの道のりを3時間以上かけて、歩いて通うことから、トレーニングを再開した。ギブスを外してから、ジョギングを始めた。ペースも距離も、好調時とは比べ物にならない。当然だ。まだ、10kmも走れなかった頃のレベルなのだから。

五月より、本格的なトレーニングを再開。走るだけでなく、これまでおざなりにしかやっていなかったウエイト・トレにも「真面目に」取り組むようにした。
好調時に比べて10km重くなった身体が1ヶ月に1kgのペースで絞れてきた。

7月のレース出場は時期尚早だったかもしれない。しかし、大会の連続出場を途切れさせたくなかった。連続出場者は5年毎に表彰されるのである。

目標タイム、1時間40以内をクリアすることができた。それで十分だ。6年前に出した、このコース(上り坂と下り坂のどちからしかなく、平坦の部分は皆無)よりも15分以上かかっている。

しかし、それが一体何だというのだ。6年前に比べると(当時、翌月の北海道マラソンにエントリーして、自己ベストを目指して体を造っていた。)と15分以上遅かったからと言って、今回の走りが「ダメ」だったと、決めつける必要など、全くない!
「6年前はもっと速く走っていた。」
という事実など、何の役にも立ちはしない!

年を取ったのだから、低いレベルで満足しなくてはいけない、と言うのではない。アトランタ五輪の女子マラソン銅メダリストの、あの有名な言葉、
「自分で自分をほめる」
というのは、アマチュアのみに与えられた特権だと思うのだ。
過去の好調時の自分と比べて、現在の自分に物足りなさを感じる必要はない。それをさらなる前進へのモチベーションにしなくても、かまわないのだ!

'92年から始まった、僕のランナーとしてのキャリアは、今年2月の愛媛マラソンで、11年連続の完走を断念した時点で、一旦リセットされたものと考えている。

17日の未明、僕は何度も目を覚ました。クーラーのない部屋がとても寝苦しかったからというだけではない。レースの前夜、眠れないほどの胸のときめきを覚えたのはいったいいつ以来のことだろうか?

もう一度、何をやっても、どこを走っても、新鮮に感じられた頃に戻りたかったから、僕は、過去のキャリアをリセットすることにした。自室の本棚の上で、うっすらとほこりをかぶっていた、過去のレースの参加賞や完走賞等の記念品や大会プログラム(この駄文シリーズの資料となりそうなものは除いて)、12年分の練習日誌等を全て箱に詰めて、押し入れの奥にしまいこんだ。燃やしたり、捨てたりする勇気は無かった。

その代わり、押し入れの奥に積み重ねられていた、ランニング情報誌を整理して、本棚に並べた。もう一度、熟読しようと思ったのだ。

あくまでも予定であるが、順調にトレーニングを積み重ねる事ができたなら、10月にはハーフ・マラソン、年内にフルマラソンに出場する予定である。初めて、それらの種目に出場した時のような気持ちで、スタート・ラインに立つつもりである。

今は2回目の「ビギナー」生活を楽しみたいのだ。



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