KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
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皇帝の、皇帝による、皇帝のためのベルリン・マラソン vol.2

2007年10月27日 | マラソン観戦記
画面は4年前のポール・テルガトが世界新を出したレースに切り替わった。この時、ペースメイカーを務めたサミー・コリルが30km過ぎてもレースを止めずにゴールまでテルガトと競り合ったのが、記録誕生の大きな要因だったと言われた。トラックにおいては、常にハイレの後塵
を拝していた“最強のナンバー2”、“シルバー・コレクター”、テルガトがマラソンで世界の頂点に立った瞬間だった。ちなみに、この時のテルガトのナンバーカードは2番だった。

コリルは今回、エントリーしながらも欠場。ハイレ皇帝の快進撃は続く。20kmを59分10秒で通過。テルガトよりも34秒速い!!1分5秒遅れで2位集団も通過。リー・トループは遅れ始めたが、入船と梅木もついている。こうして見ると、日本の実業団チームのユニフォームというのは、遠くからでもよく目立つ。これはきっと、駅伝で、タスキを渡されるチームメイトがよく分かるようにという配慮から作られているのではないかと思う。


男子の車椅子レーサーのトップがゴールインした。今年の東京マラソンに優勝し、世界選手権のトラックでの車椅子レースでもメダルを獲得している副島正純が1時間26分50秒で優勝した。

中間点をハイレの集団は1時間2分29秒で通過。2位集団は1時間3分40秒で通過。

画面は昨年のレースの映像に切り替わる。ハイレとコリルとの対決が期待されたが、コリルは18km過ぎで失速。ハイレは独走で、35kmまではテルガトの記録を上回るペースで押し切っていたが、終盤失速、それでも2時間5分56秒、世界歴代5位の記録でゴール。梅木も3位でゴールしたが、タイムは2時間13分43秒。コリルをはじめとしたケニアの高速ランナーがことごとく全滅するレースだったのだ。

女子のトップ、ゲテ・ワミが中間点を1時間10分25秒で通過。サブ20には少し厳しいか?

ハイレを引っ張るペースメイカーは3人に減った。

女子の2位集団も中間点に近づいてきた。ピンクのユニフォーム、坂本直子だ。1時間12分29秒で通過。ケニアのキロップと並走している。まだサブ25の可能性は残っている。胸の白抜きのチーム名は「てんまや」ではなく、「TENMAYA」だ。28秒遅れで4位集団、35歳で初マラソンの地元ドイツのイリナ・ミキテンコ、東京国際女子で入賞したこともあるロシアのイリナ・ティモフィエワの顔が見える。

ハイレの集団は25kmを1時間14分5秒で通過。ここまで5kmのラップは1度も15分を越えていない。先頭を引っ張るのはケニアのロジャース・ロップ。ボストンやニューヨークで優勝歴を持つ実力派だ。4年前のコリルのように30km過ぎてもレースを止めずに、ハイレ皇帝に謀反を働くことが出来そうなランナーではある。2位集団は1時間15分21秒で通過。その直前で一昨年の優勝者であるケニアのフィリップ・マニイムがペースを上げた。集団は4人に絞られ、梅木も入船も画面から消えてしまった。

ハイレのペースメイカーは2人に減った。正面からの映像が多い日本のマラソン中継と異なり、欧州のマラソンはオートバイにカメラマンを乗せて撮影するので左斜め後方からの映像が多い。時々、足元をアップで映したりもする。
我々、日本人はマラソンに限らず、スポーツ中継において、選手の表情の正面からのアップを映したがるが、斜め後方からの映像だと、ランナーの位置取りがよく分かるし、何より、背中から肩甲骨の辺りの筋肉がよく見える。自転車のロードレースの撮影のような要領でカメラを向けているのだろう。実際、ベルリンで活躍しているライダーたちは、ツール・ド・フランスの中継にも携わっているという。

ハイレは30kmを1時間28分56秒で通過。ペースメイカーたちに「謀反」を働く体力は残ってなさそうだ。'85年に西本一也さんが熊日30kmでマークし、その後松宮隆行によって17年ぶりに破られた30kmの世界最高記録とわずか10秒差である。

ここから、「皇帝劇場」の始まりである。

(つづく)


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