カウンターの中から客をのぞくといろんなことが見えてくる

日本人が日本食を知らないでいる。利口に見せない賢い人、利口に見せたい馬鹿な人。日本人が日本人らしく生きるための提言です。

悔しさとあきらめの日。苦しいスタートが始まった。

2013-02-28 | 人間観察
情けないやら悔しいやら。

身体が、自由に動かない。

薬が強すぎてめまいがする。

少し忙しいと、立っていられなくなる。

病院から離れることができない病は、
確実に僕の体を蝕んでいる。

今夜からスタートさせる。

倒れきるまで。

夜の営業は辛い。

そんなことはわかっている。

それでも、この悔しさをそのままに店をやめるわけにはいかない。

強くなる必要はない。

弱くても、見栄を張りながら、背伸びをしながら、
少なくとも、他人からは果敢に生きているように見せたい。

明日から、演出の人生を始めよう。

もちろんブログでも。

僕は弱虫じゃないはずだ。

愚の骨頂? 馬鹿らしくって何も言う気がしない。日本人じゃない日本人の話。

2013-02-27 | 人間観察
「味噌汁はおろか、ご飯も炊かないんだ」

結婚して1カ月の男が言った。

腕が痛くて動かないという気が重い時にこんな話はいやだ。

ほかの客に任せておきたかった。

「恋愛結婚なんだろ?そんなこともわからないで結婚したのか?」

「だって、そんなことまったく気がつかないですよ」

「気がつかないほうがおかしいさ」

「でも、二人で日本料理をよく食べに行ったんですよ」

「ご両親は知ってるの?」

「妻の家族は家でご飯を作らないって言うんですよ」

「朝ごはんもないのか?」

「食パンを自分でトースターに入れて焼く。
冷蔵庫からマーガリンを出して自分で塗る。
インスタントコーヒーを自分で入れて飲む。
お茶はない。
ご飯もない。
昼は会社の近くでランチ。
夜は、ピザの宅配か、インスタントラーメン。
もう我慢の限界だ」

「彼女だって思ってるさ」

「マスター、どう思いますか?」

急に振られて少し戸惑った。

それでもいうことは山ほどある。

「アメリカ人でさえ、パンを焼けない女は結婚する資格はない、といわれるくらいだ。
韓国人はキムチを作れない嫁はいない。
味噌汁を作れない嫁、
漬物を作れない嫁、
米を炊けない嫁は、日本人じゃない。
親の教養の低さを感じるだけだ。
苦痛を感じるなら、ほかの女の所に行けばいいじゃないか」

「そんなことできるはずないじゃないですか」

「じゃぁ、そんなことを聞くな。お前たちは日本人じゃないんだ。
日本に住むことが間違いなんだ」

きつい言葉に男は泣きだした。

情けない。

ほかの客も何も話さない。

著述業の女性が言う。

「セックスが結婚の条件だなんて思ってるからさ」

本当に馬鹿らしくって何も言う気がしない。

日本人が、日本文化を維持していくための個人的努力が結婚だという意識が無くなってしまっている。

僕は早々に店を閉めることにした。

新しい客。うれしいのか? たったそんなことで。心は晴れてはいない。

2013-02-26 | 人間観察
何があっても、いい方向に考えようとする。

ポジティブという言葉で言い表せば、とっても格好イイ。

しかし、このブログでも、僕はウソをついている。

ひとつの事実を、何とかして自分を奮い立たせるような理由ばかりを作っている。

「いいことがあった」

「光明が差したような気がする」

そう思いこもうとしている。

そうでもしないと、じっとしていられないからだ。

脚が動かなくなる回数が増えてきた。

右腕が思うようにきかなくなっている。

ステロイドなくしては、僕はウドの大木でしかない。

そして僕を救っているはずのステロイドは、
僕の内臓を確実に侵略してきている。

不安がますます強くなる。

死に対する恐怖は、毎日毎日強くなる。

なのに、まるで未来があるように口にする。

「助けてくれ!」と叫びたい。

毎夜毎夜、女の身体に沈むことで恐怖から逃げている。

嫌なことは嫌なこと。

本来は、嬉しいことも、本当は感情が移入できなくなっている。

日曜日に、名古屋に戻り、彰子先生のアパートに行った。

24歳の若い身体をむしゃぶるように抱いた。

何度も何度も沈んだ。

恍惚の表情なのか、はたまた苦痛の表情なのか?

好きでしがみつくのか、怖くてしがみつくのか?

そんな若い女の身体と表情を見ながら恐怖と闘う自分がみじめだ。


夜、新規の客が来た。

30歳そこそこの女性の二人連れだ。

日本酒党。

いいものを食べて来たのだろう。

食材のことも、
味も、
作法も、そして酒の飲み方もよく知っている。

僕がもう少し健康だったら、
歓迎する女性だったろう。

きっと大事にしただろう。

常連の汚いオジサンが喜ぶに違いない。

だが、今の僕には、店の将来を考える余裕はなくなってきている。

新しい客が来るということは、
店は発展途上であるということだ。

でも僕の心は、将来もなければ、晴れることもない。

今夜はやけくその気分だ。

また、腕が動かない。

明日さえどうなるかわからなくなってきている。

心も体もリフレッシュ? 家も畑も塀までリフレッシュ。卑しい部分もあるけれど・・・・。

2013-02-25 | 人間観察
できる限り、土曜日に多くのことをすませたかった。

多少の痛みは残っているものの、ステロイドの威力はすごい。

さらに、錠剤のステロイドを処方してくれたおかげで、
すごく安心感がある。

ガス器具の交換、
塀と庭の手入れの打ち合わせ、
コーヒー豆の仕入れ。
家賃の回収、
無農薬野菜の仕入れと、春野菜の仕入れの打ち合わせ。

やってもやっても終わらない。

お墓参りをして、
住職に挨拶する。

百貨店に食器を予約してあるので取りに行った。

畑で少しばかりの収穫をして、除草剤をまく。

もう土筆が生えかけている。

フキノトウも生えている。

裏庭の蠟梅の枝を切り、玄関に飾る。

腹が減る。

風呂に入る。

もう午後7時になる。

あわただしく時間が過ぎるが
充実している気がする。

すべてがうまく回っている。

早朝ののぼの神社のおかげかもしれない。

軽く寿司屋で寿司をつまむ。

そして、智恵子先生のアパートのドアをたたく。

何の連絡もしていないのに驚く様子もなく僕を中に迎えてくれる。

「眠い」

僕はそう言う。

彼女のベッドに入り、僕はきっと死んだように眠りに落ちた。

目を覚ますと、裸の彼女が横に寝ていた。

僕も服を着ていない。

彼女が脱がしたのだろう。

彼女も目が覚めたようだ。

僕は彼女を抱く。

彼女もそれに応える。

狂ったように求める彼女に、僕は少し驚きながらも、
しっかりと彼女を受け止める。

午前9時。

僕はすごくリフレッシュした気分になっていた。

庭師が入っているだろうから、帰らなくてはならない。

もう一度激しく体を重ね、アパートを出る。

この満足感、
安心感は何なのだろう。

雪がちらついている。

いい休みだった。