カウンターの中から客をのぞくといろんなことが見えてくる

日本人が日本食を知らないでいる。利口に見せない賢い人、利口に見せたい馬鹿な人。日本人が日本人らしく生きるための提言です。

無知な人ほどよくしゃべる!

2011-09-04 | 人間観察
《賞賛願望》という言葉をご存知だろうか?
人間の深層心理のひとつで、すべての人間の行動や言動は、『良かれと思った』結果であるということなのです。
もっとわかりやすくいうならば、すべての行動パターンが、『人からよく見られたい』という意思の現れであるという事なのです。
たとえば、洋服に気を使う人は、そのスタイルが他人に好印象を与えたり、センスがいいと思われるという意識が潜在的にあるということなのです。
人の話にすぐ反論する人は、そう行動によって、『この人はすごく物知りだ』と思われると思っているのです。
すぐに涙を見せる人は、『この人は優しい人だ』と思われると信じ込んでいるのです。
人間なんてみんな同じ深層心理を持っているのですが、価値の判断基準がまったく異なることが多いのです。
もっと具体的に説明してみましょう。
店に始めてやってきた客にもいろんなタイプがいる。
「おい、ここはどんな酒があるんだ」と威圧することが格好いいと思っている人がいる。
そうかと思うと、「選んだコース料理に合ったお酒をくださいませんか」と店のセレクトを信じようとすることで、大切な客として扱ってもらいたいという思惑を見せる人もいる。
しかし、店として困るのは無知な客だ。
当店は料理屋なので、コース料理しかない。
単品はおいていないし、メニューもない。
3300円から12000円までのお任せコースのみ。
料理屋としてはごく普通なのだが、居酒屋しか行ったことのない人ほどよく吼える。
「アラカルトくらいないのか。俺は居酒屋のことは何でも知ってるんだコースしかないなんてところは、日本全国どこにもない。俺は何でも知ってるんだ」と大声で吼える。
周りの客の嘲笑にも気付かず、「コースなんて定食のことなんだから、バラして出したらいいんだ」とわけのわからないことを言う。
この人は50歳も過ぎて、居酒屋しか知らないんだと思うとかわいそうになってくるのだが、無知な人には何を説明しても理解することなどできそうにない。
5+5が10だと知っている人には、3+5がいくつかわかるけれど、5+5が6だと思ってる人には何を言ってもわからない。
そしてこういう人に限って自分が無知だということに気がついていない。
笑い話のような実話をいくつか紹介しよう。

●ナマコを出したら
「こんな硬いものが食べれるか。俺の行く居酒屋は、こんな硬いナマコなんか出ないぞ。普通はもっとやわらかくして出すもんだ』
※ナマコは新鮮なほど硬い。やわらかいナマコは、死んでいるか古くなったもの。この客は今まで腐ったものを食べて、それが普通だと思っていたのだ。

●奥さんが『本マグロの造り』を頼んだら、旦那が大きな声で騒ぎ出した。
「バカヤロウ、マグロなんて、どんなクルクル寿司に行ったって100円なんだ。そんなもの頼むな。マグロなんて一番安いんだ。俺は何でも知ってるんだ」
※マグロは刺身の中で一番高い。特に本マグロは100グラム1500円なんてのはざらにある。この人は、クルクル寿司でシビやカジキをマグロだと信じていた。

●神戸牛のフェアのとき神戸牛を口にした客が
「肉をやわらかくするには、薬を塗るんだよな。俺は何でも知ってるんだから」
※この人はそんな肉しか食べたことがないって事がよくわかった。

●当店では、一定の価格のコース料理の造りには本わさびを出す。
「おい、このわさびきちんと溶いてないぞ。ブツブツが残ったままや」
「本わさびですよ」
「本わさびだろうが、きちんと溶かんとぶつぶつが残るやないか」
※この人はわさびは粉だと心から信じているし、こういうことを主張することで、「凄い!」と思われると思っている。

これらはほんの一例。
よくしゃべるのはいいけれど、恥をかいているってことすらわからない人が多いのには驚くばかりだ。


3 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-06-07 09:40:25
語るに落ちたり
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Unknown (Unknown)
2021-09-25 12:55:20
性格、悪いですね(笑)
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Unknown (Unknown)
2021-10-31 10:14:11
バカほどしゃべるで検索したら
ヒットしました。
家の父親です。すっきりしました(笑)
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