カウンターの中から客をのぞくといろんなことが見えてくる

日本人が日本食を知らないでいる。利口に見せない賢い人、利口に見せたい馬鹿な人。日本人が日本人らしく生きるための提言です。

まだまだ終わらない検査と治療。今週は最悪の週になってしまった。

2013-01-25 | 人間観察
終わるかと思ってた病院生活がまだ続く。

朝からステロイドを打ち、そしてカメラや採血など、いろんな部署に回される。

午後は4時からまた検査。

病院と病に振り回され、何もできない。

ナオミさんがまた見舞いにきた。

アッコからのメールがあった。

つまらない日だ。

何も起こらないし、何もできない。

金曜日はやっと解放されるが、それでも午後から一時間ほど病院に行く。

今週は何もできなかった。

原稿も、仕事も、女も、すべて中途半端になっている。

消化不良の週だった。

誰かと打ち解けるような話がしたい。

本音で病の悔しさを語り合いたい。

本を読んでも集中しない。

お腹もすかない。

病は、人間であることすら忘れさせる。

病は残酷だ。

それでも金曜日は、ドタバタとあがいてみたい。

痛みも忘れるくらい、ハイになって一日を送りたいと願う。

一日のはずだった手術・治療が3日目になる。本当に僕は生きられるのだろうか?

2013-01-24 | 人間観察
木曜日も病院で続きをやることになった。

転移のせいもあるだろうが、全くの予定外で困ってしまう。

アッコからメールがあった。

何でもない日常だ。

脚が痛み、右腕が痛む。

右腕の痛みは益々強くなってきている。

すごく嫌な予感がする。

もうとっくに終わらなければならない検査や結果に、
あまりにも時間がかかりすぎている。

木曜日こそ、帰りたい。

結果なんてどうでもいい。

このまま死んでもいい。

病院の匂いの中で死にたくない。

明日の昼には帰れるはずだ。

逃げ出したい。

脚さえ痛みがなくなれば、僕は間違いなく脱走している。

病気が憎い。

病院より、悔しさを込めて・・・・。

2013-01-23 | 人間観察
検査の結果が思わしくなかったようだ。

手術の前にやらねばならない検査がたくさんあり、
店に戻ることはできないでいる。

何もできない悔しさ、
痛みに耐えて一人で過ごさねばならない孤独感、

それはまさに、K子の苦しさ・悔しさを澎湃とさせる。

明日は、まさに本番。

一体いつになったら店に戻れるのか?

電話もかかっているようだが、ドライブモードにしてある。

出たくない。

もしかすると、今週いっぱい出られないかも知れない、なんて思うと、
何もできないことの悔しさとともに、
生きて行こうとする気力をも失わせる。

転移した右半身の痛みも、静寂の個室で、僕に沈黙の強襲を実行する。

死にたくなる。

病室は、重病人の思考を止め、気持ちを追い詰める。

追い詰められた病人は、生きる気力をすべて奪い取られるような気がする。

いざ、出発! 手術は慣れたが、今回は新しい生き方のスタートだ。

2013-01-22 | 人間観察
「今夜はゆっくり休みなさい」

Y子さんは、脚や体をマッサージしてくれた。

うとうとするのは気持ちいい。

手を伸ばすと、Y子さんが制止する。

「帰ってきてから。今日は体を休めるの」

僕は目をつむる。

幸せな一瞬だ。

また僕がうとうとしていると、Y子さんはそっと離れ、
お風呂に入る準備をする。

僕は寝てしまった。

目が覚めると、彼女は僕の横に寝ていた。

キスをする。

彼女が僕に絡む。

「今日は手術なんだから、添い寝だけ」

僕はあきらめる。

いい日のスタートにしたい。

「帰れるようになったら、電話ちょうだい。迎えに行くから」

「それより、やりたい」

「だめ! 疲れるから」

「口でして」

「もう」

彼女は僕を温かい感触で包む。

そして、口の中で果てる。

「だめな人」

彼女は僕の体にもたれかかる。

「私だってしたい。でもそれは手術が終わってから」

僕にしがみつくY子さんの体が震えている。

僕が変わるいいきっかけにしたい。

神から与えられた【多発性骨髄腫】という治ることのない難病。

こいつとともに強く生きられたら、それでいいのかもしれない。

僕には、Y子さんも一緒なのだから。

手術も間近。今日と明日は節制して、新しく生まれ変われればいいけれど・・・・。

2013-01-21 | 人間観察
日曜日は、Y子さんと3時ごろまでゴロゴロしていた。

久しぶりに楽しく、落ち着いた休みを迎えられた。

「体調はよさそうね」

「うん、おかげさまで」

「でも22日に手術でしょ。今夜は飲んじゃだめよ」

彼女は僕のことをよく知っている。

一応、前日の食事は控えるように言われている。

「月曜日はきちんとお風呂に入って、奇麗にしていくのよ」

「まるでお母さんだね」

「言うこと聞くのよ」

そしてまた抱きあってしまう。

彰子先生たちのように若さだけではこうはいかない。

僕はやはりY子さんが一番落ち着く。

「明日の夜、お風呂入りに来る?」

「ありがとう。手術の前日はあなたと一緒にいたい」

「怖いんでしょ?」

「少しね」

「頑張るのよ。内臓を切り開くわけじゃないんだから」

「大丈夫だよ。もう何度もやってるんだから」

そろそろ、明日の営業の準備をしなくてはならない。

僕は店に向かう。

メニューを考え、市場の野菜の担当さんに連絡をする。

22日の手術があるから、22日は休む。

きっと店に戻って来るのだろうけど、すぐに動けるかどうかわからない。

痛みとうまく話し合えればいいな、と思う。

今回の手術は少し僕の気持ちが違っている。

今年の生き方を大きく左右する可能性がある。

なぜか、とてもうまくいきそうな気がする。

心が生まれ変われそうな気がする。

この気体が実現することを祈りながら、
僕はこれから、市場に向かう。