kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

田中美術館特別展 「第25回平櫛田中賞受賞記念「SP0」小谷元彦」

2012年03月18日 | 展覧会
田中美術館特別展 第25回平櫛田中賞受賞記念「SP0」小谷元彦
会期:1月27日(金)~3月20日(火)

現代美術館で見かけたちょっとグロテスクなチラシ。こういうのが大好きなので、会場を見たら、井原市の(平櫛)田中美術館!以前から「行きたい、行きたい」と思っていただけに、絶好の機会だ。

と、気が付けば会期終了も目前。2月3月と土日は多忙だった上、広島市から井原市は「空き時間には行けない、旅行では短い」の微妙な距離感で、なかなか行くことが出来ない。

その上、作品の一部が盗まれるという事件まで起きて、「会期中で中止」の文字が頭をよぎったりもしたが、とにかく行くことが出来た。

■「SPO」小谷元彦展
会場が小さく、作家の意向で展示方法も限られていて作品数は少ないが、レイアウトから照明まで含めて会場全体がひとつの作品となっていることがよく分かり、異質な空間だが居心地がいい。

「SP extra:人面石に就て」
荒々しい切り口にそぐわないかのような、木に自然にできたワレが生々しい。

「SP4:ザ・スペクター‐心臓を持つ唐草女」
ワタシの好きなタイプの作品。全身を彩る唐草模様の生傷やみみず腫れのような質感が何とも言えません。うつむいた唐草女の表情も病みが入っていて、好きです。

「SP4:ザ・スペクター‐全ての人の脳内を徘徊するもの」
今回のチラシに使われている作品であり、先日、手にした刀が盗まれた作品。スケール感というか、重量感がものすごい。隣に設置された「I See All」とあわせて、地獄巡りをお楽しみいただけます。

常設展の会場の一角に作家のDVDも放映されており、これを見るとより理解が深まると言うか、面白味が増す。「具象彫刻」の説明に「羊たちの沈黙」のクラリスとレクター博士の距離が近付く一瞬を引き合いに出したり、「悪魔のいけにえ」のレザーフェイス・ファッションの作品について詳しく語ったり、「刃物を使うのが好き。」と言ってしまったりと世代とか趣味に近いものを感じてしまう。(入院中でアーティスト・トークの日に何が何でも来ることができなかったのが、かえずがえすも残念。)

そんなDVDの隣には平櫛田中の制作風景の記録写真・・・
ここだけではなく、特別展の会場を出た時にも、今の先を行く「SPO」の展示と平櫛田中作品の昭和の展示のギャップに激しい違和感を感じ、ちょっと頭の中で調整が必要だった。

こういったところで世代や地域間の感性の違いみたいなものを実感する。絶えず、新しいものに触れて、刺激を得ることは大事だよね。

■田中美術館
こちらは一気に昭和な展示。建物の構造や内装、キャプションの付け方など全てにおいて、二世代前の地方の美術館といった感じ。

ひろしま美術館の「平櫛田中展」で見た作品も多いが、それ以外の作品も興味深く面白いし、特に「鏡獅子」関連の作品は押し迫ってくる迫力がある。

以前にも書いたが、前期と後期で作風に変化があり、特に後期の直線で構成された衣服の表現なんて好きだ。

>>田中美術館のホームページ

さて、美術館を出た後、仕事上の興味から井原駅まで足を延ばし、まちめぐりと観光地散策・・・って、何もない・・・。人もいない、店もない・・・。地域住民は何で生活しているのだろうか・・・と別の視点で興味深かったです。

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