kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

広島市現代美術館特別展「交わるいと 「あいだ」をひらく術として」

2018年03月06日 | 展覧会
「交わるいと 「あいだ」をひらく術として」
会場:広島市現代美術館

テーマの難しさからなかなか足を運べないでいた同展だが、会期最終日に滑り込みで観覧。結果、ものすごく伝わるものがあって、早々に行かなかったことに反省しきり。

作品の画像は下記専用サイトでご覧ください。
https://hiroshima-moca.jp/majiwaruito/

北村武資「羅」 
工芸品として仕上がりが素晴らしく、糸の交わりを凝視しながら制作方法を考えていると時間の経過を忘れるぐらい楽しくて仕方ない。
繊維1つ1つの構成が生物の細胞や素粒子の配列を思わせて、今、いる場所のスケール感の混乱を引き起こしてくれる。

熊井恭子「AIR CUBE」
絡み合ったスチールウールの輝きが宇宙の泡構造を想起させる。マルチバースの別宇宙からこの宇宙が観測できたら、この作品のように見えるのかも知れない。私たちはスチールウールのどこか一角の片隅に存在している。

宮田彩加「MRI SM」
コンピュータミシンによって表現された脳のCTスキャン断面図。繊維1本1本が血管やシノプスのようだ。糸を人間の血管に見立てて拡大・立体再現された人間の脳内や人体模型があったら、スチームパンク小説に使えそうだ。

堀内紀子「浮上する立方体の内包する空気」
この作品に限らず布をつかった作品は、平面であり立体でもあるという不安定な存在であることが面白い。
一枚の布の時は向こうが透けて見えるが、枚数が重なるうちに見通せなくなる当たり前のことが新鮮に感じられる。
布や繊維の集合体の中には空間が存在しており、その空間の中に入り込めそうな印象・錯覚を覚える。

いずれの作品も当然、お触り禁止。でも、肌で作品を感じてみたいのも確か。
今まで平面、もしくは縫い合わされた立体でしか見ていなかった布に新しい見方が出来るようになったかな。

ところで、展示作品の中にある細かくほぐされた繊維を見て、「これが火口ならアウトドア用のファイヤースターターで一発着火しそうだ。」と真っ先に閃くワタシは、本質的に退廃芸術狩りや焦土作戦、焚書でも躊躇せずできる人間なんだと思う・・・

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