やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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夜中に会いたくて

2011-04-09 22:48:15 | 小説
小さな灯りが見える。

どんどん大きくなるその光は、彼の車だ。

夜中の1時。

急に会いたくなって電話した。

彼は電話口で優しい声で、「今から行くよ。30分だから、、、35分後に家の角で。早く出たらダメだよ。何かあったら困るからね」

そう言って電話を切った。

でも待てない。

玄関前には5分後には立ってた。

まだ25分ぐらいはかかる。

扉一枚向こうのエンジン音に聞き耳を立てていた。


こんな時間に呼びだして。。。と後悔もする。


でも私の我儘を聞いてくれるという喜びもある。

「好き」

その一言でしか言えないぐらい、幸せな時間。

待つという時間が、とても長く感じる半面、その時間が幸福に感じる。

「好き」

じっとしていられなくて、玄関を開けて外に出る。

家族にばれないように。

「好き」

エンジン音が遠くに聞こえる。

ライトが消えた車の助手席に乗り込む。

「俺より先に外に出るなって言ったじゃん」

「・・・好き」
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