主人からのレポートです。
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今、塩野七生(しおのななみ)さんの「日本人へ リーダー篇」文春新書 を読んでいますが
そのP.140に
「カッサンドラになる覚悟」
古代のギリシア民族が神話・叙事詩・悲劇・喜劇を通して創造した人間の種々の相は、二千五百年が過ぎた現代でもその適確さ
をまったく失っていないが、その一人にトロイの王女カッサンドラがいる。
この王女に恋した男神アポロンは、将来を予見する能力を贈り物にすることで彼女に迫った。目的はもちろん、ベッドを共にする
こと。多神教の世界であった古代では、神々といえども人間的なのである。
それゆえか、その神の一人に惚れられた人間のほうも、恐縮のあまりに簡単にOKするなどということはない。カッサンドラも
アポロンに、決然たる態度でNOと言う。それには怒ったアポロンだが、そこはやはり神、ならば贈物は返せなどと、ケチな人間の
男のようなことは求めなかった。贈った予見能力は、以後も彼女がもちつづけることは認めたのである。ただし、ある一事をつけ
加えた形で。
それは、カッサンドラがいかに将来を予見し警告を発しようと、人々からは聴き容れられず信じてもらえない、という一事だったの
である。トロイは、彼女が予告したとおりに滅亡する。だが、落城時の阿鼻叫喚の中で、誰が、これを早くも予想しそれへの対策を
訴えつづけていた王女を思い出したであろうか。予言しても聴き容れてもらえず、それが現実になったときでも思い出してもらえな
いというのだから、これ以上に残酷な復讐もない。
以後、ヨーロッパでは、現状の問題点を指摘し対策の必要を訴えながらも為政者からは無視されてきた人を、「カッサンドラ」と呼
ぶことになる。まるで、有識者や知識人の別称でもあるかのように。これもまた、何かを与えれば別のことは与えないというやり方で、
神でも人間でも全能で完璧な存在を認めなかった、いかにもギリシア的な人間観と言うしかない。
各種の審議会出席の方々はカッサンドラになりたくないのではないか?カッサンドラになる覚悟で意見を言うべきではないか?
等々厳しい言葉で述べられております。
この塩野さんの本はなかなか迫力のある本で「なぜ日本にはリスクをとるリーダーが出ないのか」を彼女の歴史観/政治観を
基にかかれている良書です。
さて、ココに書かれているトロイ戦争のトロイですが、トロイのことを最初に知ったのは確か、学生時代に筑摩書房刊の世界
古典文学全集1
「イーリアス」 ホメロス(Homerus)Tr:呉茂一
「オデュッセイア」 ホメロス(Homerus)Tr:高津春繁
を読んでのことと記憶しますので遙か遙か昔のことです。こちらも再度の読み返しがやっと終わりましたので、9月に行った
トロイの写真集をお届けします。。
・トロイ遺跡入場門。入り口は予想以上に小規模。本当に世界遺産?という感じ。
トロイ遺跡は世界遺産に登録されていますが、年代毎の遺跡が入り乱れていて非常にわかりにくい構造となっています。
シュリーマンはよく夢を忘れず掘り当てたものです。
下の地図は実業之日本社ブルーガイド「わがまま歩き トルコ」からの抜粋です。このガイドブックは今回の旅行で
非常に役立ちました。おすすめです。トロイ遺跡の地図についても非常にわかりやすく纏めてくれています。
年代毎にこうなったという説明図ですが非常にわかりにくい。以下の写真はクリックで大きくなります。しばし古代世界を
想像して下さい。
今、畑になっているところは昔は海だった。
昔海だった場所。
今、IT業界で悪名高い「トロイの木馬:Trojan Horse」、こちらはトロイ戦争で活躍した木馬の復元。
次は何故世界遺産ではないの?と感じたエフェソス遺跡について報告します。
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