英語と書評 de 海馬之玄関

KABU家のブログです
*コメントレスは当分ブログ友以外
原則免除にさせてください。

英文読解 one パラ道場:東京都知事選挙 in 2014

2014年02月14日 10時31分10秒 | 英文読解 one パラ道場


都知事選が終わりました。結果は、自民党の圧勝、かつ、新保守派の躍進。脱原発候補の壊滅、原発推進派の完勝。という、新保守派(田母神候補)の躍進を除けば大方の予想通りのもの。しかも、3年連続の都知事選挙、そして、40数年ぶりという大雪の翌日の選挙ということで投票率は史上3番目に低い46.15%と、正直、盛り上がらない選挙でしたかね。

【選挙結果】
舛添要一(自民系)---211万
宇都宮健児(共産系)--098万
細川護煕(民主系)---095万
田母神俊雄(新保守)--061万


しかし、英語教材としては「選挙ネタ」は悪くないです。日本人の苦手の数字表現が結構でてくるから。ということで、粛々と読んでいきましょう。尚、この2014年の都知事選挙自体に興味のある方は下記拙稿をご一読いただければ嬉しいです。

б(≧◇≦)ノ ・・・頑張ろう日本!




・東京都知事選挙-「選挙」となれば、やっぱ、「前田敦子」でしょう!
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/6d1d3af2b1711e1400b09fe176b46532








Tokyo election goes nuclear
Whether the powers that be liked it or not, nuclear power took center stage in a debate involving four major candidates for the Tokyo gubernatorial election that was streamed live on the Internet Saturday. Three of the candidates came out firmly against atomic power.

Prime Minister Shinzo Abe’s administration has done its best to keep the issue out of voters’ minds ahead of Sunday’s race, framing it as a national, rather than local, concern.

Packed with Abe allies, public broadcaster NHK appears to be downplaying the matter. A noted economics professor resigned last week as a commentator after being told not to discuss the nuclear issue until after the election on Sunday “to ensure fairness.”

But the debate, hosted by seven online firms including Dwango Co., Ustream Asia Inc. and Yahoo Japan Corp., has shown that nuclear power is very much an issue inside the mainstream.

“We have to break away from the system that depends on nuclear energy in the long run, considering the dismal state (caused by the Fukushima crisis),” former health minister Yoichi Masuzoe, 65, said during the 90-minute debate, which, according to the organizers, was seen by some 170,000 people.

Previously noncommittal on the issue, Masuzoe said new energy sources, including shale gas and renewables, could be developed to reduce Japan’s dependence on atomic power.

Former Prime Minister Morihiro Hosokawa, running on an anti-nuclear platform, stressed that the issue is relevant to Tokyo residents.・・・

If elected, Hosokawa said the metropolitan government would ask Tokyo Electric Power Co. to start using more renewable energy sources to replace nuclear power. The Tokyo Metropolitan Government is the fourth-largest shareholder in the utility, with a stake of 1.20 percent.

Another opponent is Kenji Utsunomiya, former chairman of the Japan Federation of Bar Associations.

“Nuclear power generation is not suitable in Japan, which has been hit by many earthquakes and tsunami,” the 67-year-old said. “We should not restart the idled reactors.”・・・

Taking the opposite view, Toshio Tamogami, a former chief of the Air Self-Defense Force, said that nuclear power has been made sufficiently safe and was vital to Japan from an economic perspective.

The higher electricity rates stemming from the cost of importing fuel for the traditional power plants being used to offset the absence of atomic power is weighting heavily on small and midsize firms, the 65-year-old Tamagami said.・・・


(394 words)

【出典:Japan Times, Feb 2, 2014】





【語彙】
go nuclear:核武装をする, like it or not:否応なしに, gubernatorial:知事の, stream live:生で画像が流される, the Internet:インターネット(ちなみに、「定冠詞+大文字」で始まるこの表記法が「インターネット」の正式な書き方ですよ), come out against:~に反対である旨の態度を表明する(cf. 「賛成の旨の態度を表明する」は、come out for, come out in favor of),

Prime Minister Shinzo Abe’s administration:安倍晋三総理の政権/安倍政権(普通は「Abe administration」と書かれますが、このテクストは安倍内閣の行動が主題ではないので、要は、Shinzo Abeが何者か知らない読者もいるという前提で言葉を足して説明調の表記になっています), frame:枠にはめる/位置づける, concern:関心事/取り組むべき仕事,

Pack with:委員会や幹部会のメンバーを自派で固める, public broadcaster:公共放送, downplay:控え目に扱う(cf. play downとほぼ同意), until after:~が終わるまで(untilはしばしば他の前置詞と組み合わせて使われますよ。TOEICに出題されたことはあまりないと思いますが、私的にはパート5の穴埋め問題に出題したい、鴨です), ensure:確保する,

break away from:~からたもとを分かつ, dismal:陰鬱な/惨憺たる, noncommittal:態度を明らかにせず言質を与えない, shale gas:シェールガス, renewables:諸々の再生可能エネルギー(形容詞のrenewableの名詞化用法です。正確には、renewable energy sources), reduce:減らす,

run on:走り続ける/主張し続ける, platform:立候補の際の公約, relevant:適切な/関係している, replace:~を置き換える(cf. 「AをBで置き換える」は「replace A with B」), shareholder in:~の株主, the utility:その公共性の高い企業、つまり、東京電力,

the Japan Federation of Bar Associations:日本弁護士連合会・日弁連,
restart:再稼働する, idled reactor:停止中の原子炉,

chief of the Air Self-Defense Force:航空自衛隊幕僚長, economic perspective:経済的な観点, electricity rates:電気料金, stem from:~に起因する, power plant:発電所, offset:相殺する/穴埋めする, atomic power:原子力発電所, weight on:~にとって負担となっている, small and midsize firms:中小企業(「small and midsize companies」とも表記されます)





【読解躓きの石】
このテクストの躓きの石は冒頭のセンテンスでしょうか。
それも冒頭のwhetherが導く副詞節。

Whether the powers that be liked it or not, nuclear power took center stage in a debate involving four major candidates for the Tokyo gubernatorial election that was streamed live on the Internet Saturday.

この記事の訳を幾つかネット上で見たのですが、いやはや、
凄いバリエーション(?)がありました。例えば、

立候補している各陣営(the powers)が有権者からどう思われようとも・・・
原発(the powers)に対する有権者/各立候補者からの評価にかかわりなく・・・
安倍政権(the powers)にとっても否応なしに・・・

この勢いでいけば、早晩、

アメリカやフランスなどの原発推進国、あるいは、
ドイツやスイスなどの脱原発路線の国々(the powers)にとっても否応なく・・・

という訳も出てくる、鴨。

確かに、「power」は、例えば、「列強」という意味では「the powers」と可算名詞になり、よって、複数形にもなります。けれども、普通、「エネルギー」や「発電」という意味でのpowerは不可算名詞。そう、「equipment:装備/備品」、「furniture:家具」、「information:情報」と同様に不可算名詞なのです。だから、このpowersは「原発」や「原子力エネルギー」自体ではありえない。

また、この副詞節は本テクストの冒頭に置かれているものだから、記事タイトルの「Tokyo election goes nuclear」以外の予備知識を持っていない読者に対して書かれたもの。そして、それなのに「the powers」と定冠詞がついている。と、もちろん、この定冠詞が付いている理由は「the powers」が直後の関係代名詞で限定修飾されているからですが、それにしても、「立候補している各陣営」や「安倍政権」まして「原発推進国または脱原発路線の国々」というのは想像力が逞しすぎるというものでしょう。

では正解は、辞書を引きましょう。powerが可算名詞として用いられるケースには「列強」のほかにも「能力」や「効能」があるではないですか。そして、このセンテンスは、副詞節→主節の流れだから、基本的には、主語もこの両節では共通と解するべきなのです。そう捉えてこそ、予備知識のない読者に対するテクストの冒頭のセンテンスの構造としては筋が通るというもの。

よって、件の箇所は、the powersを、
the powers [of nuclear power] と捉えて、

原子力発電の能力や効能--長所と短所--がどうあれ、
いやおうなく、原子力発電は都知事選挙の中心的争点になってきた・・・。

と解釈すべきなのだと思います。

ポイントは、

複文や重文で語句が省略されている場合、
特別な理由が他にない限り、
両方の節の主語は(実は、述語動詞も目的語も補語も)
共通と考えるべきなんですよぉー、ということです。

言われてみれば、これ、分詞構文等でも同じなんですよね。
そう「主語が主節と同じ場合、分詞構文の意味上の主語は省略される」
というあのルールと同じということ。例えば、

Packed with Abe allies, public broadcaster NHK appears to be downplaying the matter.
Previously noncommittal on the issue, Masuzoe said new energy sources・・・
If elected, Hosokawa said the metropolitan government would ask ・・・
Taking the opposite view, Toshio Tamogami・・・





【和訳】

原発の是非が都知事選の争点に
原子力発電の短所と長所がどうあれ原子力発電の是非が、いやおうなく、土曜日【2014年2月1日】にネットで生配信された東京都知事選挙の主要な4候補者が繰り広げた討論の中心的な争点になった。而して、4候補のうち3人が原発に断固反対する旨を表明したのだ。

安倍晋三総理率いる現政権は、日曜の投票日【2014年2月9日】まで有権者の関心を原発問題からそらすよう全力を尽くしている。つまり、原発の是非は国政の問題であって地方自治体の問題ではないという論理を展開しているということ。

安倍総理の支持者で固められた結果なのだろうか、公共放送のNHKは原発問題を控え目に扱っているように見える。実際、日曜日の投票が終わるまでは「公平を保つ」べく原発問題を俎上に載せるのはやめて欲しいと言われ、先週、ある著名な経済学の教授が番組コンメンテータ-を辞退したのだから。

しかし、Dwango、Ustream Asia Inc、そして、Yahoo Japanを含む7社のオンライン企業が主催した冒頭の主要な4候補者による討論では原発問題が都知事選挙の最も中心的な争点になっていることが見て取れた。

「長期的には原発に依存するエネルギー供給体制から離脱しなければならないでしょう。(福島の大惨事に起因する)現下の惨憺たるありさまを見ればそう言うほかはありますまい」。そう、元厚生労働大臣の舛添要一氏(65歳)は、90分間にわたる件の討論の中でそう述べた。ちなみに、主催者によれば17万人程の人々がこの討論を見たとのことなのだけれども。

以前は原発問題に関する立ち位置について明確な言及を避けていた舛添氏は、この討議の中でシェルガスや再生可能エネルギー等の新しいエネルギー源を開発することにより日本の原発依存の割合を低下させることもできるのではないかと述べたのだ。



元首相の細川護煕氏は端から公約で脱原発を訴えてきた。而して、原発問題は東京都民にとっても無関係とは言えない問題だと力説する。・・・

都知事に当選した場合には、東京電力に対して原発の代わりに再生可能エネルギーを一層多く使うように要求するとも細川氏は述べた。東京都は、その株式の1.2%を保有する、この電力会社の4番目に大きな株主なのだ。

もう一人の脱原発組は元の日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏。

「原子力発電は日本には不向きなんです。だって、日本は地震と津波に頻繁に襲われる国ですもの」、と。67歳のこの候補者は語った。「よって、日本は停止中の原子炉を再稼働させるべきではないんですよ」とも。・・・

これら3候補とは反対の立場を鮮明にしつつ、田母神俊雄候補、元の航空自衛隊幕僚長の田母神氏は、原発は十分に安全であり、また、経済的な観点から日本にとって原発は不可欠だと述べる。

原発を補うために稼働している旧来の【火力】発電所の燃料を輸入するコストをまかなうべく電気料金が値上げされており、原発が稼働していれば負担する必要のないこの割高の電気料金が中小企業の重荷になっているではありませんか。そう田母神候補は語った。・・・







☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
かなり真面目にブログランキングに挑戦中です。
よろしければ下記(↓)のボタンのクリックをお願いします。 

ブログランキング・にほんブログ村へ 海外ニュース部門エントリー中です♪

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★






最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
微妙ですが (keitan)
2014-03-12 19:40:12
 そのJapan Timesの記事は読者の想像力を逞しくさせようとする余りに凝り過ぎて滑っていると思います。
 想像力と言えば大江健三郎『核への想像力』と言う随筆があります。
 多分、その記事の狙いは『色々に解釈させてみること』にあるのではないでしょうか?

 私は一読して"the powers"は4(或いは5)大候補者か電力会社のことかと思いました。
 でも、候補者のことならば彼等の各々の政策は自前ではなく圧力団体に全て宛がわれているとの意味になってしまいます。幾らかはそうなのでしょうが。
 Some pressure bodies would like to give their policies to them the powers ……然しto be liked の後ろに付いているitは何や?と言うことになってしまいます。
 でも、電力会社であろうと何であろうとやはりそのitは???です。『電力会社が国民にどんな批判を受けるかは未だ分からないが、その選挙は原発が争点の一つとなっている』

 受動態に直接目的語は就かないのでは??
――と考えるとThe Japan Timesの誤文に振り回されてしまっていることになりますがどうなのでしょう?
 真意(解答)は不明なので何にせよ取り敢えずはWhether the powers to be liked or not,が正しいのでは?としておくしかありません。
返信する
"Whether the powers that be liked it" (keitan)
2014-03-14 22:11:44
 色々と考えてみましたが、"to be liked"は『好む』、"it"は『それを』のようです。
 "liked"は”to get rid of"の"rid"のような名詞であり、"the powers"が"liked"と言う状況にあるので"to be"なのです。
 "it"は"on it"即ち『それにおいて』の前置詞の要らない地方の方言であり、フランス語の"a celui"が"le"になるようなものです。
 で、その"it"を受けるのが"that"であり、その内容は原発を争点とする東京都知事選挙の状況、で"or not"なので「電力会社がそれを好むか否かに由らずに」です。東京都は東京電力の株主であるだけではなく世論も影響するので電力会社にとってはその選挙の動向は脅威であると。
 前置詞の省略とit-thatの倒置と言うかなり派手な語法です。
 そうであるとしても、やはりthatとitは要らないと思います。 Whether the powers be liked or not だけでよいです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。