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国連は「主体」ではなく「舞台」ですから🐙

2021年07月04日 10時41分34秒 | 国際政治

🐙KABUの大好きな「48グループ」じゃなかったカント哲学でもなかった相矢倉🐙

 
 
保守派の間でも日本では「国連」や「国連の委員会」なるものに
対する誤解があるのではいかと思います。
 
日本では「国連中心主義」とかいう言葉とともに、「国連」をなんか超国家組織の萌芽とか、すくなくとも、国際政治における当事者たる「主体」と考える雰囲気があるように思います、それを応援するにせよ嫌うにせよ。でもね、NMB48の贔屓の安田桃寧さんの桃寧じゃなかった、でもね、これは、国連憲章上も完全な誤解です。国連は、国際政治における唯一の「主体」たる各主権国家が恒常的に意見を交換し、なんらかの--国際行政法や、安全保障政策なりの--案件について合意を行う<常設の国際会議場組織>なのですから。
 
而して、所謂「国連PKO/PKF」もその<常設の国際会議場組織>のお仕着せの「袢纏」を羽織ってはいるものの、それは、突き詰めれば<常設の国際会議場組織>での取り決めに基づき、各主権国家がその人員なり装備なりを--ときには、その<常設の国際会議場組織>の経理手続きを介して--出しているものでしかないのです。
 
実は、これ、もうすぐ始まるかもしれない第二次朝鮮戦争(a second Korean War↖「the」ではまだないですよ、多分)の前の、あの第一次朝鮮戦争(the first Korean War:1950 - 1953↖「a」ではないですから為念)の際の「国連軍」もパラレル。
 
ちなみに、法的には「朝鮮戦争は休戦中」であるとか述べる<識者>も日本ではすくなくないようですが、--要は、その是非は「法的に戦争が終結する」ということの定義問題に収斂するのではありますが--戦争の終結は戦時国際法の適用が解除された時点と解する国際法の通説からは、第一次朝鮮戦争は法的に終結しています(だって、そうでなければ、第三国に求められる中立義務とか、交戦国に認められる敵性艦船の臨検・捕獲とかも現在行われているはずでしょう。それがないということは「戦争は終結」している)。しかし、その戦争にともなう損害の補償なり領土の線引きなりの普通は「平和条約」で行われる戦後処理が終わっていないというだけのことですから、為念。
 
・定義の定義-戦後民主主義と国粋馬鹿右翼を葬る保守主義の定義論-
 
而して、国連は常設の国際会議場組織にすぎない。 
それは、結婚式場の玉姫殿とか葬儀場の公益社さんに近しい存在、鴨。
 
こう書くと、ここは保守系ブログだから国連を誹謗中傷、すくなくとも、過小評価しているだけじゃんとか思われる方もおられる、鴨。
 
違います。
 
いま、国連があるからみんな国連の値打ちをもう空気のようなもと感じて評価できないのかもしれませんが、国際政治の歴史において「常設の国際会議場」が存在しなかった時代のことを考えれば--会議が躍ったウィーン会議や、それが現在のパレスチナ問題の原因となったと悪名高い「英国の二枚舌・三枚舌外交=フサイン=マクマホン協定+サイクス・ピコ協定+バルフォア宣言」等々のあまたの秘密条約・協定のことを想起するだけでも--、その前身の国際連盟にせよ国際連合にせよ、それが、国際政治の透明化・予測可能性、よって、違法な行為を「ならずもの国家」に思いとどまらせる効果を格段と高めたことは十分に評価できると私は思ってます。
 
・完版:保守派のための海馬之玄関ブログ<自家製・近代史年表>みたいなもの
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/a3221c77ea0add17edf737d21088cf96
 
けどね、所詮「国連」は「舞台」であって、ゲゼルシャフト的にせよゲマインシャフト的にせよ、ある<社会>が成立していて、--「国連安保理」の決議だけはある種例外ですがそれについて下記拙稿をご参照ください--そこでの多数決なりが、その案件を容認しないメンバー国をも拘束するようなタイプの、株主総会やスイスのランツゲマインデ(Landsgemeinde)のような「法的な=主体」ではないのです。きっぱり。ちなみに、だから、私は朝日新聞などがよく使う「国際社会」という4文字熟語の意味がわたしはよくわかりません。どなたか教えていただけますか。閑話休題。
 
・【追補版】濫用される「国際社会」という用語についての断想
 
・戦争責任論の妄想:高木健一『今なぜ戦後補償か』を批判の軸にして
 
・[再掲]戦後責任論の崩壊とナショナリズム批判の失速
 
ちなみに、リベラル派の弁護士、海渡雄一氏も認めているように、例えば、国際人権規約にもとづく「自由権規約委員会、社会権規約委員会、拷問禁止委員会、女性差別撤廃委員会、子どもの権利委員会、人種差別撤廃委員会などの・・・委員会は、・・・厳密に言えば、国連そのものではない」のです(『世界』2014年9月号所収「日本の人権状況に示される国際的懸念--国連人権規約委員会の勧告をめぐって」p.217)。
 
ならば、まして、その各種委員会に出入りする国際NPO/NGOなるものなどは、所謂「国連人権理事会の周辺」というのは、「制度的」というより、文字通り「地理的」とか、「人脈的」や「注文主-納品業者の関係」の如きイメージ。要は、「築地の朝日新聞や神保町の岩波書店の周辺に屯するリベラル派」のフリーターとこの語感はパラレル、鴨。
 
>国連=玉姫殿
>国連の委員会=国連の出入り業者
>国連委員会に参加するNPO/NGO
=その出入り業者に納品する孫請け業者
 
 

3手目(≒韓国との断交)が見えたら

簡単な即詰みの問題、鴨。

 
少し混乱しましたか。敷衍します。その玉姫殿じゃなかった「国連=玉姫殿」の「委員会」なるものは「常設の会議場組織」に出入りする業者さんにすぎない。簡単に言えば、ある玉姫殿の駐車場に出入り許可をもらっている業者さんが「国連委員会」なるものなのです。ならば、さらに、国際NPO/NGO等は、それまた、そこに出入りを認められたその出入り業者さんの車の運転を委託され/荷物の搬出をその出入り業者から委託された孫請けさんなのです
 
而して、そんなNPO/NGO等も「非国家主体」とか呼ぶ国際法研究者も日本にはまだおられる。けれども、この「非国家主体」の中の「主体」の意味は、主権国家=国家主体だけが、現在でも唯一の国際政治のプレーヤーである法原則を曖昧にし、少なくとも、紛らわしいので、「非国家国連出入り業者の孫請け業者」とか呼ぶべきだと私は考えています。どうですか、早稲田大学の最上敏樹さん(笑)
 
・国連憲章における安全保障制度の整理
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/9a5d412e9b3d1021b91ede0978f0d241 
 
・資料-国際法のプチレクチャー付:対話が招いた北の核危機…瀬戸際外交“不敗神話”に幕
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/12dc718c3afc09dc57c950a906437c76
 

そして、

・韓国の市民団体の拡声器「国連拷問禁止委員会」は国連の機関では無い
 http://ameblo.jp/kiyosiro-e/entry-12275876819.html

 
 
 
<追補-応用問題>
▼共謀罪 プライバシー制約の恐れ 国連報告者、政府に書簡
プライバシーの権利に関するケナタッチ国連特別報告者は19日までに、衆院法務委員会で可決された「共謀罪」法案について、「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と懸念を示す書簡を日本政府に送った。対象となる犯罪が幅広く、テロや組織犯罪と無関係なものも含まれる可能性があることなどを理由に挙げた。 書簡は18日付で、安倍晋三首相宛て。法案にある「計画」や「準備行為」の定義があいまいで、恣意的に適用される可能性があると指摘。いかなる行為が処罰の対象となるかも明記されておらず問題があるとしている。
 
特別報告者は特定の国やテーマ別の人権状況について事実調査・監視を実施。ケナタッチ氏はマルタ出身のIT法の専門家で、2015年に国連人権理事会により任命された。(毎日新聞2017年5月19日)
↑この人「玉姫殿」とどんな関係の人なのでしょうか(笑)
 
★ヒント:「委員会」と「理事会」??
国連人権理事会(United Nations Human Rights Council:UNHRC)は、国連総会の「補助機関=国連機関」の1つです。国連経済社会理事会の機能委員会の一つであった国連人権委員会(United Nations Commission on Human Rights:UNCHR)を改組・発展させた組織(2006年6月19日)。而して、本編で述べている「委員会」――就中、日本語では同じになりかねない「国連人権(規約)委員会:United Nations Human Rights Committee」は――その更に下の階層のsomethingなのです。
 

▼国連事務総長「総意でない」 「共謀罪」法案懸念の書簡
朝日新聞デジタル 5/28(日) 22:57配信

安倍晋三首相は27日午前(日本時間同日夜)、訪問先のイタリア南部シチリア島タオルミナでグテーレス国連事務総長と会談し、国際組織犯罪防止条約の締結に向けた取り組みや、国会で審議中の「共謀罪」法案について説明した。

日本政府の説明によると、グテーレス氏は、法案に懸念の意を示す書簡を安倍首相に送った国連の特別報告者ジョセフ・カナタチ氏について、「個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」などと述べたという。(タオルミナ=内田晃)

朝日新聞社

 

▼【国連拷問委】その正体は国連憲章に規定
慰安婦問題をめぐる日韓合意の見直しを唐突に韓国政府に勧告したことで注目を集めた拷問禁止委員会。・・・拷問等禁止条約は84年に採択された。拷問禁止委員会は、87年の条約発効に合わせて批准国家の履行状況を監視する組織として設置された。日本は99年に条約に批准している。
 
このような機関は「条約機関」と呼ばれる。国連憲章に根拠規定がないため、総会や安全保障理事会のような「主要機関」、国際原子力機関(IAEA)などの「関連機関」、世界保健機関(WHO)などの「専門機関」とは一線を画するが、広義での国連機関と言ってもよい。国連人権高等弁務官事務所も2013年発行の文書で「条約機関は国連人権システムの中の不可欠な一部である」と説明している。・・・
 
委員会は「独立した専門家」で構成され、定期的に締約国が提出する政府報告を審査し、国連総会で活動報告を行うことが主な任務となっている。だが、各委員会の独立性には疑問符がつく。委員会の政府審査は、国連欧州本部(ジュネーブ)で開かれており、国連事務局が事務的補佐を担い国連の予算措置を受けている。
 
それだけに国連欧州本部の強い影響下にあるのは間違いない。ここを舞台に活動する思想性の強い一部の非政府組織(NGO)【文化帝国主義のリベラル派】と連動していると言っても過言ではないだろう。
 
 
 

畢竟、朝日新聞などが夙に主張するような「粘り強い外交交渉を通じた日韓関係の改善」なるものは、確率的に困難などではなく、原理的に無意味ということになるの、鴨。

蓋し、コミュニケーション能力というべきか<言語能力>の本性というべきか。「話せば分かる」といういうことは、根本的なイデオロギーを異にする、あるいは、お互いの国家の存続にとって死活的に重要な国益を巡っては成り立たない。

・ゲーム理論から考える「不幸な報復の連鎖」あるいは「不毛な軍拡競争」という言葉の傲慢さについて

 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/a8c23f9010e428e55539ee8d2c1cdf84

分析哲学や現象学の認識を持ち出すまでもなく、このことは自明のことでしょう。だからこそ、逆に言えば、より価値中立的でより形式的な「相互の利害を調整するルール」としての実定国際法や確立した国際政治の慣習の値打ちが認められるのではないでしょうか。

ならば、根本的な国家主権の正当性にかかわる歴史認識、ならびに、エネルギーや安全保障という国家にとって死活的に重要な国益、すなわち、そんなイデオロギーと国益を異にする国同士の対話の意味とは、皮肉ではなく真面目な話、①自国内の世論の動向や国際情勢の変化を睨んだ上での両国政府の時間稼ぎであるか、②どの地点までならイデオロギー的と国益的に折り合えるかの相互確認に収斂する。

敷衍すれば、「会議は踊る、されど進まず:The Congress dances, but it does not progress」と自嘲されたウィーン会議や「鹿鳴館の連夜の舞踏会」も満更無価値や無意味ではなかったのかもしれないということ。と、そう私は考えます。そして、残念ながら、支那はともかく韓国に対しては、舞台としての国連をいかに活用しようとも、これら①②さえも期待することなど到底(くどいですが、確率的にではなく原理的に)できないの、鴨です。いずれにせよ、

 
・自家記事紹介:瓦解する天賦人権論-立憲主義の<脱構築>、あるいは、<言語ゲーム>としての立憲主義
 
 
 
 
・・・かえれ、国連人権委!
・・・にどとくんな、国連人権委!
 
 
 
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