Asian Cars通信 ~since 2005~

日本とアジア各国の車の紹介と国内・海外の車にまつわる取材記。きっと、新しいアジアカーの時代が来る!!

三菱アイに試乗して

2006年02月15日 | 試乗記
 アイは、経営再建中の三菱自動車が、乾坤一擲の思いで世に放った新型車である。アイは、イギリスのミニに始まり、VWゴルフによって花開いたFF(前輪駆動)方式を捨て、操縦性や安全性の向上を図るため、あえてリアエンジン(ミッドシップ)方式を採用した。「プラットフォーム共通化によるコスト低減」が至上命題となっている昨今の自動車業界において、これはとても珍しい出来事である。
 タイヤをできるだけ車体の外側に追いやったスタイリングも、非常に新鮮である。ボディとタイヤとの一体感が高く、当初のイメージスケッチどおりのデザインを実現しようという意欲が感じられる。
 バックオーダーが1万台を超えたというニュースもあり、個人的にも関心があったため試乗してみることにした。
 結論からいうと、実もフタもない言い方になってしまうが、「軽は軽」だった。
 ターボ付というもののノイジーなエンジン。強風であおられてしまう足回り。チルト機能のつかないステアリング。150万もする車にしては、いささか素っ気ないインパネやドアトリム。座面の短いリアシート。
 もちろん長所もある。後輪駆動だけあって、ハンドルの切りはじめが非常に軽やかであること。乗り心地がフラットであること。低反発ウレタン風のシートは、リアはともかく、フロントはフィット感があること。
 ただ、長所が短所を上回るだけの高い魅力を持っているようには思えず、FF方式を凌ぐアドバンテージもそれほどないように思われた。
 今後、アイの熟成は進むのか?量産効果が出たらさらに安くなるのか?アイをベースとしたリアエンジン車のバリエーション展開はあるのか?そして、最終的にはFF方式を駆逐できるのか?
 アイは未来の自動車の方向性を占う試金石であるが、現在それほどの商品力はないと思われる。動向を見守りたい。