Asian Cars通信 ~since 2005~

日本とアジア各国の車の紹介と国内・海外の車にまつわる取材記。きっと、新しいアジアカーの時代が来る!!

野球ファンに捧ぐX-Trail(?) <Taiwan>

2005年06月06日 | ニュース
 台湾の裕隆日産汽車は、Xトレイルの特別仕様車、"ストライク"を6月2日より800台限定で発売した。
 この車の特徴は、野球のグローブのような太いステッチが施された本革シートである。縫製は、職人が1日がかりで手縫いで仕上げるとのこと。(注 ホントか?)
 濃い赤色のシートは、商用車のように地味な日本仕様に比べ何ともコージャス且つワイルドなこと。
 ところで、カー雑誌は、最近でこそソウルや上海のモーターショーを取り上げるようになってきたが、なぜ台湾の車は取り上げないのだろう。
 現地で生産されるこのXトレイルをはじめ、カローラ、カムリ、ウィッシュ、ティアナ、ランサー等々は、日本仕様より明らかに豪華仕様になっており、個人的には大変羨ましい。
 Xトレイル"ストライク"は、ベース車からメカニズムの変更はないようだ。
 価格は、2000cc2WDの79万元(約237万円)から2500cc4WDの100.9万元(約302.7万円)まで。

新型セレナに思うこと「モノより思い出、深まる」

2005年06月05日 | 試乗記
 デビューしたばかりの日産セレナを見に行った。
セレナは、これまで全くと言っていいほど興味が湧かない車のひとつだった。
所帯じみた、車好きにとって夢も希望もない、家族サービスの車。そんな印象を持っていた。

1.意外に大きい
 4690ミリ×1695ミリ。かつての国産フルサイズセダンを知る者にとって懐かしい数値であるが、カタログを見るまで新型セレナがこんなに大きいとは思わなかった。御存じ5ナンバーフルサイズである。
 初代のバネットセレナより約30cm長く、エルグランドに変わる前のキャラバン/ホーミーよりも長い。言ってみれば、5ナンバーとしては後がないモデルである。次期セレナは3ナンバーか?そうしないともっと広くならないぞ?!

2.意外にお洒落
 ドライブは義務、A地点からB地点への移動のための運転「台」。ミニバンの運転席に持っていた「偏見」である。 乗り込んでみると、セレナの乗車位置は非常に自然だった。
 センターパネルに目を見やると、シャンパンゴールドの色差しが施されており、下部にはティアナのような木目部分がある。シートはスウェード調で、指でなぞると毛色が変わる。CMで放送されている「プレミアムインテリア」みたいだ。「お洒落じゃないか」と思った。

3.意外に簡単、快適
 シートアレンジ。カタログには色々謳われているが実際には使わないもの。そんな印象だった。
 これも予想を覆された。リクライニング、スライド、収納。それぞれの操作が非常に簡単である。また、力を必要としない。3列目の収納のしやすさには特に感心した。
 また、1列目から3列目まで、座り心地に大きな差がないのが良かった。

4.ジャパン・オリジナル?
 「日本を表現する車」「日本人にしか作れない車」。メーカーは往々にしてこういう表現を使う。
 レクサスやセンチュリーやクラウンの様な高級車だけがジャパンオリジナルではない。
 口さがない人々は、セレナをはじめとするミニバンを「建売住宅のようだ」と言うかもしれない。注文住宅と違い、建売住宅はオーダーを入れる余地が少ない。周囲と同じような住宅が並ぶ郊外。大型スーパーやテーマパークの駐車場では、今日も小山のようなミニバンが並ぶ。
 しかし、これらが体現している生活感そのものが、現代日本の豊かさを表しているとは言えないだろうか。
 所帯じみた、車好きにとって夢も希望もない、家族サービスの車、新型セレナはそんな印象を打破できたのだろうか?

5.モノより思い出、深まる
 旧型セレナのキャッチコピーは、「モノより思い出」という、一度聞いたら忘れられないものだった。「セレナだってモノだろう」とずっと思っていた。
 ところが、新型セレナは「モノより思い出、深まる」といった車だった。車自体が自己主張しない。家族の思い出作りの黒子役として、みんなが使いやすく、楽しい週末が過ごせる車。
 これまでミニバンを忌み嫌っていたモータージャーナリストは、半年でも1年でもいい、セレナを日常の足に使ってみてはいかがだろうか。
 私は独身で一人暮らしなので、今のところこういう車は全く必要としないが、シートアレンジや収納スペースなど、日本人の生活が細かく研究されており設計者の良心を感じた。
 結婚して子どもが生まれても、そんなに車選びを悲観することはないのではないか?
 ついでに見に行ったステップワゴンも見た目が小振りになり、旧型より親しみが湧いた。セレナとは選びがいがあると思った。
 というわけで、両車が気になる人は、カタログだけでなく、ディーラーで実車に触ってみることを薦めます。