詩人の血

今日も作詩、明日もまた、本格詩人のブログ。

月と都市

2008-03-23 21:34:02 | Weblog
月からの 乾いた風が
鉄とコンクリートの都市を吹き抜けて

切れるような触角のガラスに映ると

天界と砂漠のような大地が
暗い夢のように結ばれて

解くことができない 
幻影が月の雫となって
砂のような地面に静かに染み入ると

路地の突き当りの街灯の光の下に
風は溜まり始めて 渦巻いている

きらきらと流砂はビルを埋め始めて
風に砂塵はくねる 魚

乾いた大気を自由に移動する
群れた 個 個 は 揺らめいて

吹き溜まる
風 魚 砂塵

街灯の下 ビルの軒先 路地の末

月が暗い夢を送って
都市の光はまたたきを強めて

遠く 東京湾が静かに闇に映える
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春の女

2008-03-23 14:06:01 | Weblog
春の女 桜の古木にもたれて

ぬめる 初々しい 肌 寄り添う

産毛が細く 金色に光っていて
毛穴は深く 呼吸をしていて

絹の触れあい

暖かな風は 透ける布の裾に戯れ
頬の紅が 陽光を染めて

蛇のようにくねる
あえぐ 体
仄かな 薫り立つ
滑らかな 女体

白く 白く 透ける骨
スカートは踊る
四肢の長さは

この春 幹に添って

午前の陽光に

一尾の蛇

脱皮を終えて
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