矩形の空

影のない喪失感や葉の緑


樹の思想　地割り上昇スパイラル


ビルの谷　光渦巻く矩形の空


雑踏で一人影置く寂しさよ

ファンタジーⅡ

曇天が溶けたアイスのように甘い


暗闇で影踏み遊びは真の闇


日傘さす影のない日の白日夢


白日の影踏む一歩地に投げて

雨幻想

砂嵐石仏埋もるランプの灯


雑踏に雨染み込んで玄（くろ）く行く


冥暗のガラス研ぎ澄まし雨雫

海の意志

天荒の息急き切った海の意志


俳句する永遠の今を留めたし


風動き我突っ立つて雨の降る

水晶

複眼の目持ちて写生句は


水晶を月夜に照らして呼吸さす


ちゅら島のサイロの悪魔　放擲だ！

夢見の三首

風揺れるお花畑に蜜蜂の
　　　　　　　羽音近づく目を閉じる


丘陵を吹き上がる風胸に受け
　　　　　　　　我白き帆なり海原を越え


奥深い入り江に船を走らせて
　　　　　　　　　　波間に揺られ雲と木々見る

理性ともののけ

丹田を十字架にかけ蛇を揚げる


権力者に取り憑くもののけ皮剥いで


腹の中に東洋の人　蛇龍を飼う


蛇龍に乗っ取られた脳髄は


神道は蛇トーテムの戦艦大和

幻想三句

鳥昏く飛翔して陽の大海


蛇搾る樹液の朝はぬらりぬらり


蟇蛙が轍で潰れ死んでいる

山伏フリークス

額に角の生えてホラを吹く


古本の活字生き生き今一度


贅肉を削ぎ落としたく俳句日和


絶妙な漢字ひらがな釜で煮る

夢のかけら

明け方の鳥の声さえ夢の色


金糸なる静かな時編むまどろみは


ソファーにてなおつづまりて猫の夢


頭頂の夢のかけらが部屋に浮く

南の島

驟雨来る南の風にハイビスカス
　　　　　　　　　揺れて揺れて燃え咲き出でて


石垣に焼き付く太陽音も無く
　　　　　　　　　ハイビスカスは一つ花落とす


ジリジリと攻め来る太陽昼下がり
　　　　　　　　　　　街は静かに海風にねむる
　　　　　　　　　

透明な風

揺さと風　豊穣の胸に抱かれて


陽は流れ雲行きて行くこの窓辺


風の腕木々に触れ　聞く風の音

池田思想

池田思想ポスト冷戦の主流なる
　　　　　　　　　　　諸外国からの讃美たえず


正義とて誰にとっての正義なの
　　　　　　　　創価の正義はダルマ（法）の勝利


雲割れて旭日のなか唱題し
　　　　　　　　　菩薩ら発光人界に散る

茶坊主官僚絶滅危惧種

闇闇暗黒街の排水溝
　　　　　　　銀座祇園でうごめく臭


影強く不協和音の逆マントラ
　　　　　　　　首切り落とし死神は大鎌


偽善者の鉛のマント思いのか
　　　　　　　　　閻魔ついでに舌引き抜けば？

光の国

草の葉の風が光って輝いて


時として光の国へと帰りたし


善悪の出会いがしらの煉獄で


天と地に祈り捧げて今日の日の