少子高齢化とは、貧困化だ
私の住む町の県会議員が情報を発信している。月刊『むぎわら』である。このミニ新聞を読み、ショックを受けた。
私が住む市の国民健康保険に加入している世帯は3万7696世帯、加入者は6万89人(平成30年3月31日現在)だそうだ。加入世帯の平均所得は102万円。平成28年度と比較すると2万円減少しているようだ。確実に貧困化がじわりじわりと進んでいる。更に年間所得が100万円に満たない世帯がおおよそ60%になっているという。これでよく国民健康保険制度が成り立っているものだと不審に思う。
国民健康保険制度を維持するためなのだろうか。今年度から国保は市単位の運営から都道府県単位の運営に制度が改められたようだ。
国民健康保険税の税額は、県が示す標準税率を参考にして市町村が独自の税率で徴収することになった。
私が住む市では、今まで市が徴収していた国保の税額では県が示す税額を納入できないことが判明した。その結果、今後六年間にわたって段階的に毎年市の国保税を増額していく方針を決めた。
その結果、来年度は102万円所得世帯への国民健康保険税の税額は14万4千円になるそうだ。全収入に占める国保税の割合は14.1%になる。更に再来年度には国保税は増額されることになる。市民の貧困化が進んでいくことが予想される。
なぜ貧困化が進むのかと言うと市民の高齢化ではないかと私は疑っている。同じ市内に住む知人は都内の有名私立大学を卒業し、名の知れた旅行会社に就職した。その後、旅行会社を二度ほど転職した。トラバーユなんていう言葉が流行したころだ。彼は結婚をしなかった。そのためだろうか、家を持とうとしなかった。老後のことなど何の心配もしなかった。旅行会社の支店長として楽しく充実したサラリーマン人生を送った。定年後、年金額の少なさに驚いた。なぜこれほど年金額が低いのか、分からなかったが、調べてみて分かった。転職先の会社が厚生年金に加入していなかった。その分、確かに給料は高かったような印象を定年後思った。
プライドの高い彼は貧しい生活を愚痴ることはない。七十を過ぎ、右足が不自由な彼に収入を得る仕事などない。年金が唯一の収入である。家賃の安いアパートに一人で住んでいる。
市の徴税課は過酷である。法令の執行に人情はない。国保税滞納者には差し押さえをする。平成29年度、市は1026件の差し押さえを執行した。その額は4憶3750万円だった。そのうち市が強制的に動産、不動産を金銭に換えたものが653件9740万円だった。この差し押さえ、換価は前年の約二倍近くになっているそうだ。
老人世帯の増加は貧困化だ。私の家の周りでも夫婦二人っきりの世帯が多い。子供はいても親と一緒に住む子供世帯は少ない。子供は結婚すると男の子も女の子も親の家を出ていく。残るのは年老いた老夫婦のみだ。老夫婦が新たに収入の道を得ることは難しい。圧倒的多数の老人たちは老いて収入の道を絶たれているのが現実だ。
憲法25条には、次のように書かれている。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」このことを実現すべく市には頑張ってもらいたい。健康な生活には医療の充実が大事だ。国民健康保険税を滞納しているため、保健医療が受けられないような状況があってはならない。
埼玉県会議員秋山文和は主張している。市の平成29年度の国保特別会計決算審査によると一般会計からの繰入額は約1億634万円だったが前年の平成28年度は7億5955万円だったことが判明したようだ。平成28年度に比べて平成29年度は大幅に国保特別会計への一般会計からの繰入額が減額されている。これまで通りに一般会計から国保特別会計へ繰入を行えば、国保加入世帯一戸に対して1万円引き下げることが可能だと秋山文和埼玉県会議員は主張している。
市民税や地方交付税などをどのように配分するかと言うことについての市民の合意を形成することが市議会議員の仕事である。秋山議員は県会議員であるから市議会への参考意見でしかないのだろうけれども貴重な情報提供であり、意見である。憲法25条実現のためにも市議会は検討してほしい。