1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 昨今、また、若い年代の引き篭もりや自死についての相談が、ちらほらと拙僧のところに。

2024-07-11 17:39:45 | 法話

【7月15日投稿分】


昨今、また、檀家、知人、拙僧の法話読者から、若者(小、中、高、大、から、30代まで)の引き篭もりや、自死の相談を受ける事が。その要因は様々なれど、拙僧が受けた相談の範疇では、その生い立ち(家庭環境、親子不和)が子供達の将来に、大きく影響(自死の回避、自死の決行)を及ぼしている様に見受けられます。そこで今日の法話は、『子供に関する相談(自殺防止)を受けた折に、親御さんに対し助言した『自殺防止となるやもしれない言葉』を紹介させて頂こうと思います。何かしらの参考になりますれば。


【責任を全て自分以外に押し付けるタイプの親御さんに】

「子供が物心付いて、最初に人間の理不尽(夫婦喧嘩、嘘、偽り、誤魔化し、人の悪口、噂話、誹謗中傷)を目にするは、親の言動からですばい。国や社会に文句ばかり言わず、親はまず、自らの姿勢に目を向けないとあかん。子供に見せたくないテレビ番組で『8時だよ、全員集合』や『俺たち、ひょうきん族』や『クレヨンしんちゃん』などが『子供に悪影響』を、と的にされてきましたが、テレビ番組だけを叩いてもね。1歩外へ出たら、世の中は理不尽な事ばかり。子供達が社会において見聞きしてきた様々な不条理を、濾過する事が出来る家庭を構築する事が、まずもってやらなきゃならん、親の役目ですばい」と。


【自分の子供時代を棚に上げるタイプの親御さんに】

「子供の言動に対し、頭ごなしに怒らず、何故そうしたのか、何故そうなったのかを、しっかりと聞いてあげて、アドバイスをしてあげてくださいな。されば、自分で解決出来ない重荷を背負った時には、必ず親に相談をしてきますから。大人であれ、子供であれ、嘘をつくは、我が身を守る為にて。嘘を付く必要のない家庭環境を親が構築すれば、子供は嘘を付く必要がないので、嘘を付かなくなります。正論を押し付け過ぎたら、優しさが欠けますばい。失敗を許してくれない社会(家庭)は、自由な社会(家庭)とは言えない。失敗を許してくれる社会(家庭)を、自由な社会(家庭)と言うんですよ」と。


【自分の子供に限って、というタイプの親御さんに】

「お寺の法要に子供達を連れて来てください。馬鹿話や面白い教訓話をして、お寺というものに子供達を溶け込ませますから。困った事が起こったら『あの住職なら聞いてくれるかしれない』と、お寺が子供達の心の拠り所に。自殺防止は、話を聞いてくれる大人を何人持っているか、が鍵となるようですよ。拙僧の経験の範疇では、相談をしてくる子供は『まだ死にたくない』の心があるから、死を選択する事は。死ぬ事を既に決めている子供は、邪魔をされたくないから、決行するその日まで、誰にもわからない様に明るく振る舞っております。過去に実行(自死)された子供さんは、スマホの中にもその痕跡(友人との会話にも)は残されていませんでした(警察の調査)。わが寺でも、子供の自殺は数人。その数人の大半が、自殺原因は、いじめや学業ではなく、親子関係のもつれ、でしたよ」と。


【真剣に子供さんと向き合わないタイプの親御さんに】

「幼い頃から子供は『何故、何故』と親に疑問を投げ掛けてきます。子供が幼い頃は、親の方も丁寧に聞いてあげて、しっかりと答えてあげておりますが、何年もそれが続いてくると、段々と煩わしくなっていき、適当に相手をする様に。子供の方は、5歳、7歳、9歳と、年齢が上がっていく程に、切実な問題(勉強や人間関係、社会に対する疑問など)に変わってきているのに。いつの頃からか子供は『この人に話をしても』と、親に対し不信感を抱く様に。1度子供が親に対し、そんなレッテルを貼ったら、なかなか改善するは難しい。以前、子供さんから不信感を持たれ、落胆する親御さんに『今は、親から心が離れていても、本当に困った時には、子供が真に頼れるはやはり親だけです。数年後、頼ろうと思って振り返った時、不信感を抱いていた頃の変わらぬ親がそこにいたら、子供は頼ろうとはしませんよ。親から心が離れていても、子供は社会に揉まれ、成長をしていっております。親も子供と一緒に、成長していってください』とその親御さんに」と。


【何故、そうなっていったかを理解しようとしないタイプの親御さんに】

「暴走族の最盛期は、全国に約5万人も。が、今は全国に約6千人程に。そうなっていったは、昨今は、個人主義が主流となり、徒党を組むのが煩わしくなった様で。世にいう『不良』と言われる子供達は、寂しい家庭の子供が大半であると。わが寺の檀家を見ても、大半はそれに同じでしたね。暴走族以外でも、徒党を組むを嫌がらない時代は、心を病んだ(寂しい環境)若者達が、身を寄せる場所があった。つまり、死ぬ事以外に選択肢(場所)があったという事。暴走族という媒体は、そんな寂しい子供達が身を置ける場所であった、という事でしょうな。暴走族を肯定する訳ではありませんが、若者達にとっては、自分の逃げ場所でもあったという事にて。40年以上前、不良と言われた拙僧の友人達を見ても、そうであった様な気がします。若気の至りは、若い時の心の吐口かな」と。


過去に何度か「私の子供は、大人しく、素直で、親に逆らう事を一切しない、非常に良い子なんですよ」なる勘違いの親御さんが、ある日突然、痛手を味わう事になった事例が。その親御さんに拙僧「親に対し、わがままを言う、反抗をするが、子供にて。それをやりながら、子供は成長していきます。それをしないという事は、親に気を遣って生活をしていると、何故に気付かなかったのですか。15になっていきなり、暴れだす子なんていないですよ」と子供の微妙な変化に気付かない親御さんに注意をした事が。この手の家庭は、檀家の中にも結構に多いかな。


【18歳自死者の葬式で】

会葬者(自死者の友人の保護者達含む)に向けて拙僧「自ら命を絶った者は『地獄に堕ちて未来永劫浮かばれない』と巷では、そんな話が真(まこと)しやかに。この話は方便(嘘)にて。元禄16年(1703年)、近松門左衛門が曽根崎心中を発表した時、世間で心中沙汰が流行を。それを止める為に『自死は地獄行き』と方便を使い、阻止しようとしたが始まり。それが功を奏し、ある程度、自死を食い止める事が。方便(嘘)とはいえ、自死防止にそれなりの成果を上げられた事により、それが現在にまで残っているだけですよ」と。


続けて、拙僧「事故死であれ、災害死であれ、病死であれ、老衰死であれ、突然死であれ、自死であれ、人間の命は、寿命にて。亡くなり方によって死後世界の環境が決まるとは、人間が勝手に決め付けた事にて。哀しく旅立って逝かれた人に、更に、追い打ちを掛ける様な、根拠なき言葉を投げ掛けるは、あかん。最後がこうだったからといって、この子の人生の全てを否定する様な事を言うは、思うは、あまりにも可哀想過ぎる。この子も18年間、この子なりに一生懸命に生きてきたんだから。保護者の皆さん、決して他人事とは思わないでくださいね。あなた達の子供さんは、今、生きとりまっせ。しっかり、我が子と向き合っていきましょう。しっかり、会話をしていきましょうね」と。


上記の葬式での法話は、この18歳で自死された子供さんの親御さんから「私達の様な思いをするは、私達だけでたくさんです。子供の友人の保護者さん達に、それなりのお話をしてください」との依頼を受けて、その様なお話を会葬者さん達に。


下記で拙僧の過去の法話を読む事が出来ます。興味がございましたら、是非。


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次回の投稿法話は、7月20日となります。そうか、今日7月15日は、施餓鬼盆の最終日でしたね。