シュッシュっと歯ブラシをスプレーで消毒しはじめただけで、
ジュルの耳がピンと立つ。
逃げればいいのに身構えたままだから、このとおり。
表側だけなら、まだおとなしい。
口を大きくあけなきゃいけない裏側はもうたいへん。
よくネコの雑誌に「嫌がったら手をとめてあげて」なんて
悠長なことが書いてあるけれど、それは生来の家ネコの話。
成ネコのノラだったジュルに通用するわけがない。
上下を磨いている様子は さながら格闘技。
磨かれるジュルもたいへんだけど、磨くダンナも傷だらけ。
最後はちゃんと慰めてもらう。
おでこを胸に押しつけると、落ち着くみたい。