「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのかー有料座席列車導入は鉄道活性化のカギ

こんにちは。大塚良治『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)で鉄道活性化策を提言しています。

「千葉都民」の「通勤ライナー」特急「あずさ30号」(4080M)に乗る

2014-09-09 23:33:38 | 日記
皆様、こんにちは。

2014年9月9日(火)、JR篠ノ井線松本3番線17時18分発中央本線・総武本線経由特急「あずさ30号」千葉行き(列車番号 4080M)4号車普通車自由席に乗車しました。



以前から「あずさ30号」の新宿以東の利用状況を見たいと思っていたもののなかなか実現できずにいたのですが、今回は松本市内の高校回りを終えた後の東京への帰宅のついでに千葉まで利用してみることにしました。

JR長野支社松本車両センター(長モト)E257系0番台M201編成2両+M111編成9両による運行でした。車掌は新宿運輸区の2人の乗務員が担当し、車内販売は日本レストランエンタプライズ(NRE)による販売が新宿まで行われる旨の放送がありました。

4号車は、松本+6人、塩尻±0人で目立った乗降はありませんでした。

岡谷では17時31分着予定の飯田線豊橋10時42分発岡谷行き普通列車(列車番号 519M)の遅延に伴う接続待ちで、5分遅れの17時40分に出発しました。岡谷では4号車は3人の乗車がありました。

その後4号車は、下諏訪±0人、上諏訪+3人、茅野+6人、富士見+3人、小淵沢±0人、韮崎-2人+2人の乗降がありました。

上諏訪では私の座席の通路を挟んだ反対側にキャリーカートを携えた女子大生風の若い女性が着席しました。きっと、夏休みを実家で過ごした後、授業開始に合わせて大学近くの下宿に戻るのだろう、と勝手な想像をしてしまいました。この「女子大生」については、また後で述べたいと思います。

甲府到着前に「『特急ワイドビューふじかわ14号』静岡行き(大塚注:列車番号 4040M)にお乗換え予定のお客様は恐れ入りますが、階段に近い2号車・3号車付近へ予め移動をお願い申し上げます」との放送がありました。岡谷での出発遅れで、身延線方面の旅客に影響が出ました。

それにしても、JR東海飯田線の遅れがJR東日本中央東線に波及し、さらにその影響がJR東海身延線に戻るというのは何とも皮肉です。JR東海管内の遅れが、JR東日本を媒介にして、再びJR東海管内に持ち込まれた訳です。

甲府では4人が下車し、入れ替わりに20人前後の乗車がありました。大月には定刻に到着して約30人が乗車し、4号車はほぼ満席となりました。そして、松本以降初めて、釣り道具を携えた高齢男性と相席となりました。

甲府駅発着については中央高速バスとの競合が激しいのに対して、大月駅は中央高速バスのバス停が駅から離れた場所にあり、八王子・新宿方面および甲府・松本方面は事実上JRの独占状態にあります。

八王子は横浜線と八高線の乗換駅であり、ここで20人が下車し、3人が乗車しました。大月で相席となった高齢男性もここで降りました。

南武線、青梅線、および多摩モノレールとの接続駅である立川では、10人が下車し、15人前後が乗車しました。当駅で20代のOL風女性と再び相席となりました。この女性は特急券を所持しておらず、Suicaで特急券を求めていました。特急自由席に普通列車グリーン車と同じSuica改札リーダを設置すれば、車掌の負担を大きく減らせますので、導入を検討する余地があります。

新宿では相席の女性を含む約40人が下車し、入れ替わりに50人以上の乗車があって、座席は一部を除いて再び埋まりました。新宿からの旅客の大半が帰宅するサラリーマンやOLでした。今度は30代前半位のOLと相席となりましたが、この女性も特急券を所持しておらず、車掌に現金510円を支払って、特急券を購入していました。



「あずさ30号」では、全区間で自由席特急券の購入により定期券での乗車が認められていますが、新宿→千葉間は指定席特急券を購入することで定期券での普通車指定席利用も認められており、新宿以東はより「通勤ライナー」としての性格が色濃くなります。

同列車は、新宿21時07分発「ホームライナー千葉3号」(列車番号 3313M)が停車する秋葉原を通過します。 おそらく、新宿でほぼ満席になるため、需要の多い秋葉原からの着席需要に応えることが困難であるためかもしれません。

その後、錦糸町-3人+5人、船橋-20人前後の乗降がありました。

そして、「あずさ30号」は20時50分定刻に終着の千葉9番線に到着しました。家路を急ぐサラリーマンやOLらが続々とホームへ降り立ち、足早に階段を駆け下りていきました。

そして、上諏訪から乗車した「女子大生」も千葉で下車しました。私の大学にも長野県出身の学生が在籍していますが、彼女たちにとって「あずさ」や長野新幹線は「贅沢品」であり、長野と東京の移動には高速バスを利用することがほとんどです。しかし、長野と千葉を結ぶ高速バスがないことを考えると、この若い女性の行動に得心がいくというものです。



実際の「あずさ30号」自由席は、松本→八王子間では主張や用務利用が多く、八王子以東は通勤利用が多いようです。特に、新宿以東の一般列車では各駅停車しか直通列車のない船橋や千葉へ行く数少ない特急列車として、事実上「通勤ライナー」の機能を担っています。

「ホームライナー千葉3号」とともに、「千葉都民」の帰宅の足として重宝されている列車であると言えるでしょう。

※「通勤ライナー」の詳しい分析は、拙著『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)をご覧ください。

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