「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのかー有料座席列車導入は鉄道活性化のカギ

こんにちは。大塚良治『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)で鉄道活性化策を提言しています。

東武東上本線「TJライナー」朝上り運行検討へ

2014-01-31 07:10:38 | 日記
皆様、こんにちは。

本日の『日本経済新聞』首都圏経済面の市川嘉一記者の署名入り記事で、東武東上本線「TJライナー」の朝上り便運行を2015年以降に開始する方向で検討していることが報道されました。朝上り列車検討の方針が明らかになったのはこれが初めてです。



現在は、夕方以降下り列車のみの運行に留まっていますが、朝上り列車の運行でさらなる需要創発につながることは間違いありません。

日経記事には、私のコメントも掲載されておりますので、ぜひご一読いただけましたら、幸いです。

昨年末に発売された拙著『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)で提案した内容がそのまま実現する可能性も出てきました。

今後は、土曜・休日「TJライナー」の池袋発21時台と22時台列車の設定(現時点では20時00分発「TJライナー6号」(列車番号11)が土曜・休日「TJライナー」最終列車)ならびに朝上り「TJライナー」運行をぜひ実現してほしいものである。朝上り「TJライナー」実現のため、座席予約システムを構築することも十分に検討する余地はあると筆者は考えている。(『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』144頁)。

「通勤ライナー」は「乗客の利便性向上と鉄道会社の新たな収益源につながるビジネスモデル」であり、新たな鉄道ビジネスに育ってきていることを実感しています。

「通勤ライナー」の可能性に着目され、このような大きな記事にして頂いた市川記者に心より感謝申し上げます。

千葉市、JR京葉線・りんかい線直通ライナー列車試行を目指す 

2014-01-24 22:16:19 | 日記
皆様、こんばんは。

今日は、千葉市役所都市局都市部交通政策課に標記の件でお話しを伺ってきました。

熊谷俊人市長が、2013年12月議会で、「ホームライナー」によるJR京葉線とりんかい線の直通運転試行を目指す意向を表明し、話題を呼んでいます。

http://www.chibanippo.co.jp/news/local/169599



市長のローカルマニフェストには「総武線、京葉線、京成千葉線等の幹線交通軸を強化し、広域的な利便性を向上(JR京葉線と東京臨海高速鉄道りんかい線との直通運転の模索など)」の記述があり、議会での答弁もこのマニフェストを踏まえたものであったのです。

JR京葉線とりんかい線は線路がつながっていますが、ICカードによる運賃聴衆が問題となっていて、両線を乗継ぐ旅客は、すべて新木場での乗換と両社の改札の通過を強いられています。

一方、りんかい線とJR埼京線は相互直通運転を行っています。ですから、JR京葉線とりんかい線の直通が実現すれば、京葉線沿線と渋谷・新宿が乗り換えなしで結ばれます。

JR京葉線・りんかい線・JR埼京線の直通運転を行うと、ICカードではJR線経由の運賃を引き去ることとなります。例えば、海浜幕張~新宿間はJR京葉線・東京・JR中央本線のルートでは620円、りんかい線経由では920円ですが、ICカードではJR運賃620円を差し引き、りんかい線は運賃を採りはぐれてしまうことになります。

「ホームライナー」であれば、旅客の数も限られるので、運賃920円+ライナー料金を徴収することができる余地があります。

それでも、ICカードで乗車した場合、りんかい線運賃徴収が問題となりますので、車内で車掌が現金で運賃を徴収する必要性が発生してしまいます。

ここからは私案になりますが、運賃はJR線東京経由の620円での利用を認める代わりに、ライナー列車ではなく、全席指定席特急として、1,010円の特急料金(携帯予約では710円)とし、りんかい線運賃相当額として250円~300円程度をJRからりんかい線に配分する方法もあります。これは、3月に登場する「スワローあかぎ」の料金と同じにするという意味もあります。

しかし、千葉市の最終ゴールは、あくまでも一般列車の京葉線・りんかい線の直通運転です。そうすると、特急料金によるりんかい線への収入補てんはできません。

実は類似事例があります。2003年3月19日に営団半蔵門線が押上まで開業し、東武伊勢崎線との直通運転を開始したのですが、当初は北千住~地下鉄線各駅までのパスネット運賃収受が地下鉄経由となって東武線運賃を取りはぐれる問題が発生したことに対して、後の東京地下鉄と東武鉄道の間の話し合いがまとまって、東京地下鉄から東武へ一定の収入補てんをすることで解決したことがあります。つまり、JRから東京臨海高速鉄道に一定の収入補てんを行うことが考えられます。

もしくは、りんかい線内についても、JRが第二種鉄道事業者として列車を運行し、東京臨海高速鉄道に線路使用料を支払う方法もあり得ます。これは、京成成田空港線が北総線等の線路を走行し、北総鉄道等に線路使用料を支払い、運賃は全区間で京成線としての運賃を収受している方法が参考になると思います。

JR京葉線・りんかい線直通運転実現への本ブログの提案
1. 「スワローあかぎ」的な全席座席指定特急による直通運転。特急料金のうち、250円~300円を東京臨海高速鉄道に補てんする(運賃はJR線経由の割安な運賃を適用する)
2. JRが東京臨海高速鉄道に一定割合(JR京葉線八丁堀経由とりんかい線経由の乗車人員割合)で補てんする
3. りんかい線内についても、JRが第二種鉄道事業者として列車を運行し、東京臨海高速鉄道に線路使用料を支払う

いずれにせよ、JR京葉線とりんかい線の直通運転実現への解決策は必ずあると確信しています。私も引き続き、千葉市の取り組みに注目し、応援します。


【参考資料】本ブログの記述・アイデアの一部については、『パスネットの不思議』http://www.desktoptetsu.com/passnet.htm を参考にさせていただきました。

「鉄道と地域の関係について考える」と題して海老名市立中央図書館で講演しました

2014-01-18 21:03:26 | 日記
皆様、こんばんは。

今日は、「鉄道と地域の関係について考える」と題して海老名市立中央図書館で講演する機会を頂きました。

https://webebina.ebinachu-lib-unet.ocn.ne.jp/

定員30人のところ、定員を上回る市民の皆様にご参加いただきました。



講演内容は、海老名市と鉄道の関わりについての話題からスタートし、後半ではとやまライトレールやえちぜん鉄道など地域活性化に貢献している鉄道の事例、そして小田急ロマンスカーの海老名停車による地域と小田急電鉄のメリットについて、写真や文献資料などを基にしたスライド資料で解説しました。

フロアからは、「鉄道車両の標準化によるコスト削減効果の金額はいくらか」「厚木駅に小田急とJRの乗換改札ができるのは残念だが、ICカードでは1円単位運賃になり切符より安いのではないか」と言った質問や、「私は新宿から帰宅するときには本厚木までロマンスカーに乗って、各駅停車で折り返している。町田や相模大野から海老名は距離が長いので苦痛」といった切実な声まで、活発な質疑応答がなされました。

私の試算では、特急海老名停車による小田急電鉄の増収効果は1億円3千万円近くに及ぶと見ています(詳しい計算の根拠については、拙著『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』165~167頁をご覧ください http://www.tokyodoshuppan.com/book/b146929.html )。

今日は熱心に討論に参加いただいた皆様に様々なことを教えて頂きました。貴重な機会を与えてくださった皆様に心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。引き続き、鉄道と地域の関係について、研究を深めて参ります。

なお、海老名市立図書館は、本年4月より、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社と株式会社図書館流通センターの共同企業体による指定管理者制度に移行します。落ち着いた内装とカフェを併設したお洒落な図書館に生まれ変わる予定です。こちらの方もぜひご期待ください。

「ホームライナー鴻巣」「ホームライナー古河」終焉へ

2014-01-18 00:54:32 | 日記
皆様、こんにちは。

2014年(平成26年)3月15日のJRグループダイヤ改正に伴い、「ホームライナー鴻巣」「ホームライナー古河」が廃止されます。

1984年(昭和59年)6月1日より運行を開始した日本国有鉄道初の「ホームライナー」である「ホームライナー大宮」の流れを汲む由緒正しい「ホームライナー」ですが、「ホームライナー大宮」誕生から30年弱の歴史に終止符を打ちます。2010年3月13日のダイヤ改正までは急行「能登」の間合い運用で489系が用いられていたことで知られた列車でもありました。

東北本線「ホームライナー古河」は全廃され、代わりの特急列車は運転されないのに対して、高崎線では「ホームライナー鴻巣」に代わって、特急「スワローあかぎ」が運行を開始します。

「スワローあかぎ」は朝夕の通勤・通学時間帯に運行される「通勤ライナー」的特急列車ですが、自由席を連結する「あかぎ」と異なり、「スワローあかぎ」は全席座席指定制となります。

上野~鴻巣間46.7kmでは、自由席特急料金、ライナー料金ともに500円であるのを、「スワローあかぎ」では普通車指定席1,010円(通常期)、「えきねっとチケットレスサービス」710円、「スワローあかぎ料金券」750円と、約42%以上の値上げとなります。恐らく、同区間の普通列車グリーン料金750円を意識した料金設定なのだと感じました。

車両は651系に置き換えられます。また、「スワローあかぎ料金券」を所持している場合、事前の座席指定を受けずに乗車して空席を利用することが可能ですが、指定券を所持する旅客に座席を譲らなければなりません。この点が気がかりではあります。特に、イライラしがちな朝や宴会が多い週末などは、トラブル防止のための乗務員のフォローが大切になると思われます。

より快適な通勤を実現する新しいタイプの「通勤ライナー」に要注目です。

ブログを開設しました。

2014-01-17 00:18:43 | 日記
皆様、こんにちは。

本日ブログを開設しました。

昨年末『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)より刊行しました。拙著では、これまで定義がなされなかった「通勤ライナー」の定義を確立し、日時や混雑率によってライナー料金を戦略的に変動させる数式モデルを初めて披露し、鉄道会社の収益拡大(イールドマネジメント)の提案を行いました。

http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E9%80%9A%E5%8B%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%80%8D%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E4%B9%97%E5%AE%A2%E3%81%AB%E3%82%82%E9%89%84%E9%81%93%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AB%E3%82%82%E5%BE%97%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B-%E5%A4%A7%E5%A1%9A-%E8%89%AF%E6%B2%BB/dp/4490208537/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1389885732&sr=8-1&keywords=%E9%80%9A%E5%8B%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%BC

このブログでは、「通勤ライナー」の魅力をお伝えすることで、鉄道への関心を深めて頂きたいと願っております。また、「通勤ライナー」以外の鉄道に関するテーマも適宜取り上げて参ります。

皆様のアクセスをお待ちしております。