「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのかー有料座席列車導入は鉄道活性化のカギ

こんにちは。大塚良治『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)で鉄道活性化策を提言しています。

「生活バスちばにう」目標の400人が間近です!

2014-08-25 10:04:53 | 日記
皆様、こんにちは。

鎌ヶ谷観光バス生活バスちばにう線千葉ニュータウン中央駅~新鎌ヶ谷駅間の2014年6月9日の運行開始から間もなく3か月になります。

8月21日(木)の乗車人員がついに397人に到達し、目標の400人/日が間近に迫ってきました。これもひとえに、多くの皆様にご関心を寄せて頂いているおかげです。心より感謝申し上げます。誠にありがとうございます。

今後、安定的に400人/日を超えるお客様にご利用頂けるよう、引き続きPR活動に尽力してまいります。

なお、8月31日(日)午前9時30分~11時30分に印西市市民活動支援センター「活動室1」にて、「生活バスちばにう友の会」の活動報告会を開催いたします。

この機会にご参加頂き、友の会へのご入会をご検討頂けましたら幸いです。

「生活バスちばにう」の次のステップに是非ご期待下さい!



※以下、過去の関連記事です。

「『生活バスちばにう』おかげさまで順調に乗車人員を伸ばしています!」

「『生活バスちばにう』本日運行開始!」

「全てのステークホルダーに『メリット』を―『生活バスちばにう』が目指すもの」

「『生活バスちばにうミニ・シンポジウム』が開催され、コーディネーターを務めました」

「千葉ニュータウンバス運行を目指して行われたバス社会実験を振り返る」

交通権学会第29回研究大会が四日市で開催され、統一論題とパネルディスカッションに登壇しました

2014-08-09 23:58:48 | 日記
皆様、こんにちは。

2014年7月19日(土)~20日(日)、四日市市総合会館(三重県四日市市)にて、交通権学会2014年度第29回研究大会(主催:交通権学会、共催:特定非営利活動法人四日市の交通と街づくりを考える会(略称YTT)、後援:四日市市)が四日市で開催され、統一論題とパネルディスカッションに登壇しました。

1日目は自由論題報告と研究助成報告「千葉ニュータウン地域における新たなバス運行の意義―『生活バスちばにう』運行実現までの軌跡―」前田善弘(NPO法人交通まちづくり戦略会議)、大塚良治(湘北短期大学)および会員総会が開催されました。

研究助成報告では、前田氏より、事実上高額運賃の北総鉄道しか選択肢がなかった千葉ニュータウン地域における市民提案型の低運賃バス「生活バスちばにう」の企画から運行実現に至るまでの取り組みについて、背景となる問題意識や参考にした各地の事例、そして運行にこぎつけられた成功要因などを中心に報告がなされました。私も「生活バスちばにう」の路線免許申請に係る国土交通省関東運輸局との事前折衝にバス事業者および市民メンバーとともに参加した経緯を踏まえ、フロアーとの質疑応答に臨みました。

夜には、料亭旅館大正館で、交通権学会とYTTが同席した懇親会を開催し、親睦を深めました。



2日目は午前中に内部・八王子線沿線エクスカーションを行いました。途中南日永駅で下車し、「つたえよう 日永つんつくおどり―400年祭に向けて―」を見学しました。



午後は四日市市総合会館に場所を移して、統一論題報告とパネルディスカッションが行なわれました。

私は「ステークホルダーアプローチに基づく鉄道の活性化」と題して統一論題報告をしました。報告要旨は以下の通りです。

・鉄道事業の廃止が許可制から事前届出制に緩和された2000年以降、地方を中心にして鉄道廃止が続出している。
・日本では、公共交通に採算確保が求められる。鉄道の維持には多大な努力が必要。
・1990年代終わりから2000年代にかけて我が国でも活発化した株主価値重視の動きにより、不採算路線の維持が困難に→ステークホルダーアプローチの適用で鉄道活性化を図ることが必要。
・ステークホルダーアプローチ適用の道筋・・・鉄道活性化に向けた関係者間の議論→鉄道の社会的便益の吟味→「現代企業はステークホルダーのニーズに対応する合目的的な社会的機関」ととらえる→株主以外のステークホルダーの利益擁護→ステークホルダーアプローチの適用によって鉄道を活性化。
・「社会貢献積立金」の設定と活用(私案)・・・積立金設定事業者に税制優遇を措置することで、補助金支給を回避しつつ、実質的な補助金支給と同等の効果を発生させる→事業者にとって不採算路線活性化のインセンティブになる*。

まとめ:鉄道を取り巻く諸課題(鉄道の存続問題、利便性低下、鉄道事業者間の連携不足)→対策実施(社会的便益測定、コスト見直し、鉄道事業者間の「戦略的提携」の実施)→ステークホルダー間の協働→鉄道の活性化・持続的運営の実現。

*交通権学会会員勇和孝氏のアイデアより示唆を得て、大塚が考案した。

15時00分からはパネルディスカッション「内部・八王子線の存続問題から見る四日市の公共交通の課題と展望」を行いました。



登壇者の顔ぶれは以下の通りです(敬称略)。

パネリスト:
太田裕治郎(四日市あすなろう鉄道株式会社代表取締役常務)
山本勝久(四日市市役所都市整備部理事)
芳野正英(四日市市議会議員)
安藤たみよ(北勢線とまち育みを考える会会長)
下村仁士(尚絅大学文化言語学部講師、NPO法人四日市の交通とまちづくりを考える会理事)
前田善弘(NPO法人交通まちづくり戦略会議理事)

コーディネーター:大塚良治(湘北短期大学総合ビジネス学科准教授、NPO法人四日市の交通とまちづくりを考える会専務理事)

パネリストの発言要旨は以下の通りです。

太田氏:近鉄の乗車人員はピーク時の平成4年3月期(約8億人)に比べて約3割も減って、不採算路線を維持する余裕がなくなった。そのような中で内部・八王子線の存続について、四日市市と協議を重ねてきた。内部・八王子線は四日市あすなろう鉄道の運営へ移行するが、ご理解を頂きたい。

山本氏:平成24年1月に近鉄より「一定の運営費補助がなければ鉄道という形態での事業継続が困難である。平成25年夏頃を目途に基本的な方向性を打ち出したい」との申し出を受けた。平成25年5月に市議会総合交通政策調査特別委員会から「公有民営方式を基本軸とした上で、市の負担をできる限り最小化するよう、近鉄と協議・交渉を進めることを要望する」という報告を受けて、近鉄と存続に向けた協議を続けた。本当に厳しくしんどい交渉となり、一旦は鉄道での存続をあきらめざるを得ないかもしれないというところまで追い込まれたが、同年9月に何とか鉄道での存続で合意することができた。今後は「鉄道事業再構築実施計画」の策定を急ピッチで進める。内部・八王子線存続のノウハウが他地域でも活用される「ベストプラクティス」となるような事例とするべく進めていきたい。

芳野氏:内部・八王子線存続に向けて、自治会とともに取り組んできた。四日市市には内部・八王子線を鉄道で残すことが必要との思いで活動してきた。(芳野氏も委員として参画していた)「総合交通政策調査特別委員会」も同線の存続を前提として調査を進めていた。

安藤氏:内部・八王子線は鉄道で存続すると確信していた。近鉄がBRT化を持ち出した時点で、近鉄は本音では鉄道で残したいと思っていたに違いないと確信した。

下村氏:四日市の交通と街づくりを考える会(YTT)のメンバーとして、内部・八王子線の存続活動に参画した。YTTはシンポジウムや清掃活動などで同線の存続を後押ししてきた。

前田氏:生活バス四日市の運行や内部・八王子線の存続は多くの市民の支援を得て実現したが、公共交通への市民参加が四日市市全域に広がっているとは言い難い。今後、四日市市全域にムーブメントを広げることが課題だろう。

その後、フロアからも活発な質問が出されました。

研究大会の最後は、20日の新理事会で会長に選出された上岡直見氏(環境経済研究所)より閉会の挨拶がなされ、第29回交通権学会研究大会は盛会のうちに無事終了しました。

そして、私も19日の旧理事会で交通権学会理事に選出され、20日の新理事会で事務局長に指名されました。

30年の伝統を重ねている交通権学会の発展に微力を尽くす所存です。ご指導・ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

なお、今回の研究大会は、四日市市ならびに四日市の交通と街づくりを考える会の全面協力を頂戴しました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げる次第です。

※写真4枚目:四日市の交通と街づくりを考える会宗像氏提供
※※第29回交通権学会研究大会の開催概要は、交通権学会ホームページをご参照ください。

「NPO法人交通まちづくり戦略会議発足記念シンポジウム」が開催されました

2014-08-09 10:35:24 | 日記
皆様、こんにちは。

2014年(平成26年)7月15日(火)19時00分~21時10分、「NPO法人交通まちづくり戦略会議発足記念シンポジウム」が開催されました。

初めに、当法人理事長の春田啓郎 由利高原鉄道株式会社代表取締役社長による基調講演を行いました。



講演要旨は以下の通りです。

「社長としての基本的な考え方」
・(鉄道は)単なる交通機関ではなく、地域にとって貴重な財産であり観光資源。
・一度手放したら二度と手に入らない。
・現在ない地域に作りたくてもつくれない。
・地域の方に乗ってもらうだけでやっていければよいが、秋田県ではとても無理。
・外からお客様に来てもらい、この地域にお金を落としてもらい、地域活性化とセットで取り組む。

「この3年間で取り組んだこと」
・IT戦略の実施と首都圏応援団の結成
・物品(グッズ)販売と他の第三セクター鉄道との連携。
・地域のあらゆる会合へ参加することで、幅広い人間関係を構築。
・会議体の明確化と議事録の作成(週1回 課長会議 月1回 社内会議 企画会議)。
・昇職内規の策定。万年平社員では社員のやる気は生まれない。「主任」に昇進させることで家族にも喜ばれて、本人もやる気になる。
・台湾鉄路管理局平渓線との姉妹鉄道締結。

まとめ:鉄道会社は鉄道ファンを毛嫌いしてきたが、SNSなどを使って無料で宣伝してくれる大切なお客様。ファンの喜ぶ施策を実施して増収を図りたい。マスコミは経常損失の絶対額を喧伝しがちだが、当社の経常損失は年々縮減傾向にあることに注目してほしい。

後半は、当法人理事4人をパネリストにお迎えしたパネルディスカッションに移りました。コーディネーターは私が務めました。春田社長とイーグルバスの谷島社長が講演会で同席されたのは初めてとのことでした。お二人は共に東急観光に在籍されていた間柄です。



各パネリストの発表概要は下記の通りです。

谷島賢 イーグルバス株式会社代表取締役社長「路線バス改善3年モデルと地域おこしによる路線バス維持の取り組み 包括政策モデルをめざして」
・ダイヤ最適化による改善・・・『路線バス事業の見える化「1.運行の見える化」「2.顧客の見える化」「3.コストの見える化」』+『改善過程の見える化 PDCA継続改善サイクル」。
・ダイヤ最適化システムの具現化・・・「運行データ取得システムの開発 第1世代乗降カウントシステム→第2世代乗降カウントシステム→第3世代乗降カウントシステム→第4世代乗降カウントシステム(GPSと乗降センサーによる運行データ取得)」。
・見える化ソフトの開発・・・GPSと乗降センサーによる運行データ取得→データ集計・表示・分析→シミュレーション→運行ダイヤの最適化。
・路線バス改善のステップ・・・PDCA3年継続改善→バス事業者の努力(創意工夫「高麗川団地お出かけ支援バス」「ときがわ町でのハブ&スポークスバス停による路線バス再編」「東秩父村での路線バス事業再編」など)。
・生活路線バスに外客を呼び込む・・・「東秩父村和紙の里ハブ化による包括政策モデル(観光産業による雇用創出、観光客誘致による活性化、交通再編による利便性アップ、ハブ施設機能による生活利便)」。
・ハブ停留所(観光案内所、郵便局、コンビニ、クリニック、調剤薬局の併設)の連携による広域サービス強化。

上野理志 NPO法人四日市の交通と街づくりを考える会理事長「誰もが自由に移動できる 安心して安全に暮らせる街を」
・近鉄内部・八王子線の存続問題をきっかけとして、Facebook「近鉄内部・八王子線同好会」を立ち上げ、この同好会を母体に「NPO法人四日市の交通と街づくりを考える会」を設立。花植えやウォーキングイベント、シンポジウムを開催し、内部・八王子線の存続を後押し。
・鉄道が元気にならないと街が元気にならない。 郷土愛に乗った活動で鉄道を残す。
・四日市がナローゲージの珍しさに気付いていなかった。内部・八王子線は絶対に四日市の観光資源になる。

野田隆 一般社団法人日本旅行作家協会理事「これまでの活動」
・女性ファンは食事など違った嗜好がある。
・大人の休日や青春18などが中高年に人気がある。
・鉄道旅行の魅力を発信することが、より多くの人たちが鉄道に目を向けるきっかけとなる。

パネルディスカッション終了後、フロアから多くの質問が寄せられ、盛会のうちに無事終了しました。

NPO法人交通まちづくり戦略会議は今後も講演会の開催を計画しています。また、鉄道再生や路線バス新設の支援事業も幅広く展開していきたいと考えております。

皆様の温かいご支援をお願い申し上げます。


※シンポジウム開催概要および出演者プロフィールについては、以下の記事をご覧ください。

「7/15(火)NPO法人交通まちづくり戦略会議発足記念シンポジウムを開催します!」