「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのかー有料座席列車導入は鉄道活性化のカギ

こんにちは。大塚良治『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)で鉄道活性化策を提言しています。

長距離通学利用が盛んなJR予讃線―鉄道会社の増収と地域活性化のヒントがここに

2015-12-31 10:33:49 | 日記
皆様、こんにちは。

12月25日(金)、JR四国の「内子・大洲町並散策1日パス」(2,780円)を利用して、松山~伊予大洲間の内子経由と伊予長浜経由を乗車しました。

このパスは、松山~伊予大洲間の内子経由・伊予長浜経由の特急自由席が1日乗り降り自由のお得なきっぷです。パスの提示で、内子座など沿線観光施設の入場料割引の特典もついています。

内子は、木蝋生産で栄えた町で、趣のある街並は重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。



内子の街並み散策を終えて、11時51分発特急「宇和海9号」宇和島行き(列車番号:1059D)に乗車します。ホームでは、列車を待っていた内子高校の生徒8人も乗車しました。



次の停車駅伊予大洲で内子高校の生徒8人全員が特急を降り、5人は伊予大洲で下車しましたが、3人は普通伊予長浜経由伊予市行き(4920D)に乗り換えました。



以前の記事「通勤・通学の貴重な足!JR予讃線特急『しおかぜ10号』『いしづち10号』」でも書きましたが、予讃線では、JR四国の特急定期券「快て~き」を利用した特急の通学利用が盛んで、100kmを超える長距離通学も珍しくありません。

件の2人は伊予出石で、もう1人は伊予長浜で下車していきました。私も長浜大橋見学のため、下車します。ホームには下校中の長浜高校の生徒たちでにぎわいを見せていました。



長浜大橋は貴重な跳ね上げ式可動橋で、国の重要文化財に指定されています。



本来は猫の島として有名な青島へ渡るつもりでしたが、1日2本しかない船便のうち14時30分の便が運休と分かり断念し、松山に戻ることにしました。

伊予長浜14時47分発松山行き(列車番号:4922D)に乗車します。途中青春18きっぷのポスターで有名な下灘を通り、伊予上灘に着きます。当駅で由並小学校の児童13人が乗車してきました。

車内は程よく座席が埋まっており、友達同士で座れない男子児童2人組が私の目の前に来ましたので、席を譲ってあげたところ、丁寧にお礼を言って着席しました。

そして、次の高野川に到着すると、「ありがとうございました」と私にお礼を言って、小学生全員が列車を降りていきました。少しの間だけの出来事でしたが、心が温まりました。

鉄道は心と心をつなぐ大切な共有スペースなのだと、改めて実感しました。

また、予讃線の事例は、鉄道会社と地域の双方にとって、win-winになるヒントが満載です。

特急列車を利用した長距離通勤・通学を増やせば、鉄道会社は長距離運賃と特急料金のダブル増収が、そして地域(自治体)にとっては定住人口の増加をそれぞれ図ることができるでしょう。

企業は地域貢献の一環として、そして自治体は定住人口増加策として、特急料金を半額ずつ支給すれば、通勤者の負担はゼロとなります。

特急の速達性を十二分に活用できる良策です。是非注目していただければと思います。

京浜急行電鉄「モーニング・ウィング」運行開始!

2015-12-07 23:37:23 | 日記
皆様、こんにちは。

本日2015年12月7日(月)、京浜急行電鉄(京急)初の朝上り通勤ライナー「モーニング・ウィング」が運行を開始しました。

「京急ウィング」は、1992年4月16日に運行を開始しましたが、平日夜下り方面品川駅→京急久里浜駅・三崎口駅間のみの設定で、長らく朝上り方面の設定はありませんでした。

下りの「京急ウィング」は、品川駅から乗車する場合のみ着席整理券が必要で、途中停車駅から乗車する場合は料金不要ですが、「モーニング・ウィング」は三浦海岸・横須賀中央・金沢文庫・上大岡から乗車可能で、品川まで途中下車できません。

車両は、2ドア転換クロスシート車の2100形を使用しています。

「モーニング・ウィング1号」品川行き(列車番号:671A)は、三浦海岸06時09分発、品川07時28分着のダイヤで、多くの事業所の出勤時間に間に合う時間設定となっています。

一方、「モーニング・ウィング2号」泉岳寺行き(列車番号:773A)は、三浦海岸07時56分発、品川09時19分着、泉岳寺09時22分着で、10時以降出勤の仕事の方でないと利用しづらいダイヤとなっています。

今回は、「モーニング・ウィング1号」に三浦海岸から乗車しました。

駅に着くと、既に行列ができていて、日本テレビの取材も始まっていました。係員による乗車改札が事前にあり、列車の入線を待ちます。1か月定期券"Wing Pass"は提示のみ、当日券"Wing Ticket"にはパンチ穴が係員によって開けられました。なお、2015年12月発売分のみ"Wing Pass"は通常5,500円のところ、3,000円で発売されました。



列車は06時06分頃に引き上げ線から2番線へと入線しました。



三浦海岸では1号車に乗車します。三浦海岸発の"Wing Pass"は15枚、"Wing Ticket"は35枚ですので、発売枚数合計は50席ですが、34人の乗車に留まっていました。この時間帯は一般列車でも着席できますので、「モーニング・ウィング1号」を利用する人たちはゆとりある移動を求める人たちであると思われます。



「モーニング・ウィング」はJRの「ホームライナー」と同様に号車指定制を採用し、発売駅ごとに発売枚数を管理する方法を採用しています。したがって、三浦海岸で売れ残りがあっても、他の駅で三浦海岸の余席分を発売することはできません。あくまでも、各駅で購入できる席数は各駅に割り当てられた発売枚数が上限です。

また、上大岡を出発するまで他の号車へ移動することはできません。警備員がしっかりと見張っていて、他の号車へ行こうとする旅客を制止していました。車間ドアにもその旨の貼り紙がしてあります。また、品川まで途中下車できませんので、車内LCDでは「品川」の表示となっていました。



始発列車の設定がある京急久里浜や本線との接続駅である堀之内等を通過し、横須賀中央に着きます。当駅の発売枚数は112枚(パス34枚、チケット78枚)です。

その後、金沢文庫(パス32枚、チケット74枚、合計106枚)と上大岡(パス51枚、チケット117枚、合計168枚)と停車しました。両駅のホームには、次の一般列車を待つ大勢の行列ができていました。マスコミの報道では、金沢文庫と上大岡の発売分は完売したようです。

07時03分頃横浜を通過し、さらに京急川崎と京急蒲田等快特停車駅も通過し、列車はほぼ定刻に品川に到着しました。



ホームでは多くの人が列車をカメラに収め、関心の高さを感じました。

なお、今日から着席整理券(Wing Ticket)が200円から300円に値上がりになりましたが、夕方の「ウィング」については使用済み"Wing Ticket"20枚で無料着席引換証3枚と交換できるサービスを開始しました。

値上げの影響や「モーニング・ウィング2号」の乗車率など、今後も注目していきたいと思います。

※「通勤ライナー」に関する詳細なレポートについては、「徹底比較!私鉄各社『通勤ライナー』の実力」をご覧ください。